ピアノロールで曲を覚えるガイドの関連記事です。
ピッチを変えずに曲をゆっくり再生するのは、難しいフレーズを耳コピするときの昔からの方法です。それが得意なアプリもいくつかあります。主なアプリは、得意なことも料金の目安も異なります。料金は時期やプラットフォーム、地域で変わるので、購入前に最新の価格を確認してください。
紹介するアプリの多くは、音をゆっくり再生するためのものです。何の音を弾いているかは、自分の耳で拾います。最初に紹介するSongscriptionとAnything Pianoは、再生速度を落として練習しながら、実際の音符も見られます。
選ぶときに見るところ
練習用のアプリを選ぶなら、確かめたい機能は4つです。基本になるのは、ピッチを保ったまま再生速度を変える機能です。音は本来のオクターブに保たれるので、遅くしても元の曲として聴けます。ループがあれば、難しい小節だけを繰り返せます。ピッチシフトは、曲全体を弾きやすいキーや声に合うキーへ移す機能です。ピッチやスペクトルの表示に対応するアプリも少数あります。音に含まれる周波数を目で確認でき、耳コピで音を探す手がかりになります。あとは、使う端末と予算で絞れます。
Songscription
Songscriptionは私たちが開発しています。ほかのアプリと少し違うのは、再生速度の変更に加えて採譜もできることです。録音をアップロードすると、楽譜と操作できるピアノロールに書き起こします。ピッチを変えずに再生速度を落とせるので、難しいフレーズを半分の速さでさらい、覚えてきたら速さを戻せます。
このあとに紹介する専用アプリとの違いは、楽譜とピアノロールで音符を見ながら、ゆっくり再生できることです。音を一つずつ耳で探す必要がありません。どの端末でもブラウザで動き、無料で使える範囲もあります。
弾きたい曲が決まっていて、耳で音を探すよりも音符を見て覚えたいときに向いています。音符の表示は必要なく、オーディオファイルの再生速度だけを落としたいなら、後述のAmazing Slow Downerのような専用アプリのほうがシンプルで安く使えます。
Anything Piano
Anything Pianoも私たちが開発しています。Songscriptionと同じように、音符を見ながら練習できます。スマートフォンでの練習に合わせて作っています。曲のファイルやリンクから、操作できるピアノロールを作ります。再生速度を大きく落とし、曲に合わせて弾けます。
この一覧のほかのアプリと違うのは、演奏した音を聴き取ることです。マイクで演奏を追い、どのくらい合っているかを表示します。MIDIキーボードでもアコースティックピアノでも使えます。片手ずつ練習してから両手を合わせられ、ピアノロールには各音をどの指で弾くかを示す指番号が表示されます。
iPhoneとiPadで使えます。Android版とウェブ版の案内を受け取るには、ウェイトリストに登録します。ピアノでゆっくりさらいながら、そのフレーズを実際に弾けたか確かめたいときに向いています。表示はピアノロールなので、楽譜を見て練習したい場合には合いません。
Transcribe!(Seventh String)
パソコンでじっくり耳コピするためのツールです。ピッチを保った再生速度の即時変更、名前を付けて保存できるループ、EQ、ピッチシフトに対応しています。特に特徴的なのは、スペクトル分析の表示です。ピアノの鍵盤に重ねたグラフで、選んだ瞬間にどのピッチがどれだけ強く鳴っているかが分かります。音やコードの自動推定も、演奏内容を聴き取る手がかりになります。
Windows、macOS、Linuxに対応するパソコン専用ソフトで、モバイル版やウェブ版はありません。通常は約39ドルの買い切りで、30日間無料で試せます。パソコンで一つのパートを細かく耳コピしたいなら、この一覧では最も深く音を調べられるツールです。ただし、画面の作りは古めで、スマートフォンでは使えません。
Amazing Slow Downer
定番として使われてきたアプリです。ピッチを変えずに曲の再生速度を下げたり上げたりする、基本の機能を確実にこなします。ピッチシフト、A-Bループ、簡単なEQも使えます。対応するのはWindows、macOS、iOS、Androidです。
どのプラットフォームでもサブスクリプションではなく買い切りです。通常はモバイル版が安く、パソコン版はそれより高めです。曲の一部だけを再生できる無料のLite版もあり、購入前に試せます。音符やピッチを図で見る機能はなく、音を聴くためのアプリです。一度購入して使い続けられる、シンプルで実績のあるアプリを探しているなら候補になります。
Anytune
Apple製端末で使うなら、練習機能が最も充実した選択肢です。ピッチを保った再生速度の変更、数の制限がないループとマーカー、細かく調整できるEQ、インターバルトレーナーがあります。パートを分離したりミュートしたりする「ReFrame」も使えます。iOS、macOS、Androidに対応し、Windows版とウェブ版はありません。
料金の仕組みはプラットフォームごとに異なります。iOS版のPro機能は、約15ドルのアプリ内購入で使えるようになります。Mac版はそれより少し高く、Android版はサブスクリプションが中心です。使う端末によって、支払う金額は大きく変わります。
iOSで練習機能の豊富さを重視し、端末ごとの料金体系の違いが気にならなければ向いています。「Transcribe Mode」という機能名もありますが、これは再生位置を変えるためのモードです。自動採譜ではなく、楽譜は作りません。
Moises
AIの機能を使いたいならMoisesです。再生速度の変更に加え、AIによるステム分離でボーカル、ドラム、ベースなどを分け、それぞれをミュートしたり、単独で鳴らしたりできます。ピッチシフト、スマートメトロノーム、再生中のコード検出表示もあります。
iOS、Android、ウェブに対応しています。機能に制限のある無料枠があり、有料のPremiumとProはサブスクリプション方式です。パートを分けて聴き、コードも確認したいなら、この一覧では最も多くのことができます。
ただし、継続的な支払いが必要です。コード記号はアプリ内で表示できますが、楽譜、タブ譜、コードをファイルに書き出すことはできません。詳しい比較はSongscriptionとMoisesの比較で紹介しています。
AudioStretch
スマートフォンで耳コピするなら、価格に対してできることが多いアプリです。波形をドラッグしたり、一点を押さえたままにしたりすると、その瞬間のピッチを聴けます。再生速度とピッチシフトは広い範囲で調整でき、ループも柔軟に設定できます。鍵盤とスペクトログラムの表示も、音を探す手がかりになります。
iOSとAndroidに対応しています。通常は約10ドルの手頃な買い切りで、無料のLite版もあります。Transcribe!のようにピッチを分析する機能を、スマートフォンで安く使いたいときに向いています。
Spotifyでできること
Spotifyでは、曲の再生速度を落とせません。再生速度を変えられるのは、ポッドキャストとオーディオブックだけです。曲をゆっくり再生するには、上で紹介した専用アプリか、再生速度を落とせる採譜ツールが必要です。
再生速度を落としても、音符は自分で探します
オーディオの処理に特化した5つのアプリでは、録音をゆっくり再生して聴き取りやすくできます。ただ、曲を覚えるには、一つひとつの音を自分の耳で拾う必要があります。Transcribe!とAudioStretchのスペクトル表示はピッチを推測する助けになり、Moisesはコード記号を表示しますが、どれも音を音符に書き起こしてはくれません。ゆっくり聴ける録音を、目で読める音符にする作業が採譜です。Songscriptionをこの一覧に入れたのは、その作業もできるからです。
Songscriptionでも、ほかのアプリと同じように、ピッチを保ったまま再生速度を落として練習できます。すでに採譜された音符が目の前にあるので、自分で音を探さずに、ゆっくりさらえます。再生速度を落とす方法はピッチを変えずに曲をゆっくり再生する方法、練習全体の進め方はAIを使ってピアノの曲を早く覚える方法で紹介しています。
目的に合わせた選び方
- パソコンでパートを耳コピするなら、スペクトル表示と音の推定機能があるTranscribe!が向いています。
- 複数の端末でシンプルに使いたいなら、買い切りのAmazing Slow Downerが候補になります。
- iOSで練習機能の豊富さを重視するなら、Anytuneです。
- ステムを分離し、コードも確認したいなら、サブスクリプションのMoisesが向いています。
- スマートフォンで安くピッチを分析したいなら、AudioStretchです。
- 実際のピアノで練習し、音が合っていたか確かめたいなら、Anything Pianoが使えます。スマートフォンで演奏を聴き取り、弾けた音に印を付けます。
- 曲をゆっくり再生し、音符も読みたいなら、Songscriptionで両方できます。録音を採譜し、ピッチを保ったまま再生速度を落とせるので、音符を見ながら自分に合う速さで練習できます。
よくある質問
ピッチを変えずに曲をゆっくり再生するには、どのアプリがおすすめですか?
どれが最適かは、使う端末と目的で変わります。パソコンでじっくり耳コピするならTranscribe!、複数のプラットフォームでシンプルに使うならAmazing Slow Downer、iOSで練習機能を重視するならAnytuneが向いています。スマートフォンで安く使いたいならAudioStretch、再生速度の変更に加えてAIによるステム分離も使いたいならMoisesです。いずれもピッチを保ったまま再生速度を落とせますが、音を採譜する機能はありません。Songscriptionでもピッチを変えずにゆっくり再生でき、これらのアプリと違って、練習中に音符も見られます。
再生速度を変えるアプリでは、音符も見られますか?
再生速度の変更に特化したアプリは、聴きたいパートを耳で拾いやすくするためにオーディオを処理します。音を音符に書き起こす機能はありません。Transcribe!やAudioStretchにはピッチを推測する手がかりになるスペクトルやスペクトログラムの表示があり、Moisesは再生中に検出したコード記号を表示します。ただし、どれも楽譜やタブ譜は作りません。録音から音を拾って譜面にする作業は、採譜と呼ばれます。Songscriptionでは採譜に加え、ピッチを保ったまま再生速度を落とせます。ゆっくり聴く練習と、音符を読む練習を一緒に進められます。
Spotifyで曲をゆっくり再生できますか?
音楽では使えません。Spotifyで再生速度を変更できるのは、ポッドキャストとオーディオブックだけです。曲をゆっくり再生して練習するには、この記事で紹介する専用アプリか、再生速度を下げられる採譜ツールが必要です。
曲をゆっくり再生すると、なぜ練習しやすくなるのですか?
元の速さでは音がつながって聴こえる速いフレーズも、ゆっくり再生すると一つひとつの音を聴き取りやすく、弾きやすくなります。ピッチを変えなければ、音は本来のオクターブのままです。まずゆっくり覚え、手が追いつくにつれて速さを戻します。難しい曲を耳コピするときの、昔から使われている確かな方法です。