オーディオをMIDIに変換するときは、何に使いたいかでツールを選びます。無料で手早くMIDIを作るならSpotify Basic Pitch、音符を一つずつ細かく調整するならMelodyneが向いています。DAWで制作している最中なら、内蔵の変換機能が使えます。実際の録音を最も正確に採譜し、MIDIと一緒に読みやすい楽譜も作るならSongscriptionです。汎用ツールを転用せず、録音された音楽に特化してモデルを学習させています。
どのツールも録音から音を読み取りますが、読み取りの精度も、最終的に作れるものも違います。その違いを踏まえて選ぶと、余計な作業を減らせます。
この比較を書いているのは、Songscriptionを開発する私たちです。採譜精度でSongscriptionを1位に挙げていますが、私たちの製品なので、評価には利害関係があります。そのうえで、別のツールのほうが用途に合う場面も、できる限り率直に書きました。実際に試せば、それぞれの違いは分かります。
オーディオをMIDIに変換するとできること、できないこと
オーディオからMIDIへの変換では、録音された音を、DAWや楽譜作成ソフトで編集できるデータにします。記録されるのは、ピッチや発音のタイミング、一つひとつの音を弾いた強さなどです。MIDIにすれば、音符を移動したり、楽器の音色を変えたり、キーを変えたりできます。完成したオーディオ録音ではできない編集です。
ただし、変換したデータは、そのままでは整っていないのが普通です。オクターブの間違いを直す、タイミングをクオンタイズする、余分な音符を削除するといった手直しが必要になります。楽譜にする作業も別にあります。MIDIは音符のデータなので、人が読める楽譜の形にするには、もう一段階の処理が必要です。
MIDIそのものについては、MIDIとは何かで基本を説明しています。オーディオをMIDIに変換する方法では、作業全体の流れを確認できます。変換後のオクターブやタイミングの修正、余分な音符の削除については、変換したMIDIを整える方法を参照してください。
2026年のおすすめオーディオMIDI変換ツール
各ツールの得意な用途、料金体系、出力できる形式をまとめました。
- Spotify Basic Pitch。 無料でオープンソースです。ブラウザで使えるデモと、pip、npmのライブラリがあります。複数の音が同時に鳴る音源に対応し、楽器の種類を問わず使える軽量なツールです。ピッチベンドも検出します。出力はMIDIファイルのみです。自分で手直しする前提で、費用をかけずに手早くMIDIを作るときの定番です。
- AnthemScore。 オーディオを印刷できる楽譜とMIDIに変換します。複数の音を同時に読み取るのが得意で、Windows、Mac、Linuxで動きます。買い切りで約20米ドルからです。30日間の体験版があります。最新の料金を確認してください。楽譜とMIDIの両方を出力し、読みやすい楽譜まで作れる数少ないツールの一つです。
- Klangio。 Piano2NotesやGuitar2Tabsなどを含むオンラインのツール群です。MIDI、MusicXML、PDFの楽譜、Guitar Pro形式で書き出せます。短い音源を試せる無料デモがあり、有料のサブスクリプションでは月ごとにチケットが付きます。最新の料金を確認してください。MIDIも読みやすい楽譜も出力できます。
- Melodyne。 ピッチとタイミングを細かく調整するプロ向けのオーディオ編集ソフトです。MIDIとして保存する機能があり、音符を一つずつ精密に編集できます。複数の音が同時に鳴る素材を編集するにはEditorが必要で、永続ライセンスの表示価格は約399米ドルです。入門用のEssentialは約99米ドルですが、単旋律だけに対応しています。最新の料金を確認してください。高度なオーディオ編集を済ませてからMIDIを書き出すため、細部の調整を優先する用途に向いています。
- Ableton Live 12。 ハーモニー、メロディー、ドラムをMIDIに変換する機能を内蔵しています。別のツールを用意せず、制作中のセッション内で変換できます。Liveに含まれる機能です。最新の料金を確認してください。変換結果はプロジェクト内のMIDIクリップになります。
- Logic Pro。 Flex PitchのデータからMIDIを作れます。対応するのは単旋律のみで、コードには対応していません。Logicに含まれる機能です。最新の料金を確認してください。制作中のセッション内で、一つのメロディーパートからMIDIを作れます。
- Songscription。 ブラウザで録音を読みやすい楽譜にするAIです。MIDI、MusicXML、ギターのタブ譜も一度に作れます。実際の演奏を録音した音源でモデルを学習させているため、ここに挙げたツールの中では、実際の録音を最も正確に採譜できます。音やリズムの読み取り、左右の手への振り分けにも、その精度が表れます。無料枠では30秒の音源を無料で採譜できます。長いファイルの採譜や、すべての形式での書き出しには有料プランがあります。最新の料金を確認してください。人が読んで演奏するための楽譜と、DAWで使うための音符データを一緒に作れます。
用途に合った選び方
最終的に欲しいものに合わせて選びます。
- 録音をできるだけ正確に採譜したいなら、Songscriptionです。 実際に録音された音楽でモデルを学習させています。明瞭なテスト音よりも、複数の音が重なる実際の録音で、その差がよく表れます。
- 無料で手早くMIDIを作りたいなら、Basic Pitchです。 費用はかからず、ブラウザで動きます。必要ならスクリプトからも使えます。
- DAWの中で作業を済ませたいなら、Ableton Live 12かLogic Proです。 変換機能を内蔵しているので、制作中のセッションを離れずに使えます。
- 音符を一つずつ細かく調整したいなら、Melodyneです。 MIDIを書き出す前に、ピッチやタイミングを最も細かく編集できます。
- 音符データに加えて読みやすい楽譜も欲しいなら、Songscription、AnthemScore、Klangioです。 どれもMIDIデータだけでなく、人が読める楽譜を作れます。
無料でMIDIを作るか、読みやすい楽譜まで作るかで迷っているなら、SongscriptionとBasic Pitchの比較で、その違いを詳しく比べています。
MIDIから楽譜を作るには
MIDIだけを出力する変換ツールを使って楽譜を作るには、変換したMIDIを楽譜作成ソフトで開きます。読みやすくするには、タイミングをクオンタイズして音価を整え、音符を五線上に配置する必要があります。この作業には手間がかかります。具体的な手順は、MIDIから楽譜を作る方法で説明しています。
録音から直接楽譜を作る方法もあります。Songscriptionのようなツールは、クオンタイズと楽譜のレイアウトを一度の変換で済ませます。MIDIを別途整える作業を挟まず、オーディオから読みやすい楽譜を作れます。制作に使うMIDIが欲しいのか、読んで演奏するための楽譜が欲しいのかで、選ぶ方法が変わります。両方を一緒に使いたい人も多いです。
よくある質問
オーディオをMIDIに変換するには、どのツールがおすすめですか?
用途によって選ぶツールが変わります。実際の録音を最も正確に採譜できるのは、録音された音楽でモデルを学習させているSongscriptionです。無料で手早くMIDIを作るなら、Spotify Basic Pitchが定番です。音符を一つずつ細かく調整するならMelodyneが向いています。DAWでの制作中に変換するなら、Ableton Live 12やLogic Proの内蔵機能を使うのが手軽です。MIDIと一緒に読みやすい楽譜も必要なら、音符データに加えて楽譜を作れるSongscription、AnthemScore、Klangioが候補になります。
無料でオーディオをMIDIに変換できますか?
無料のツールもあります。定番は、無料でオープンソースのSpotify Basic Pitchです。ブラウザで使えるデモのほか、pipとnpmのライブラリもあります。無料枠や体験版があるツールもあり、AnthemScoreは30日間の体験版、Klangioは短い音源を試せる無料デモを用意しています。MIDIデータよりも読みやすい楽譜が欲しいなら、Songscriptionの無料枠で30秒の音源を無料で採譜できます。
オーディオをMIDIに変換してから、楽譜にできますか?
できます。ただし、MIDIだけを書き出すツールでは、二段階の作業が必要です。まずオーディオをMIDIに変換し、そのMIDIを楽譜作成ソフトで開きます。読みやすい楽譜にするには、タイミングをクオンタイズして音価を整え、音符を五線上に配置する必要があります。Songscription、AnthemScore、Klangioなら、録音から読みやすい楽譜を直接作れます。MIDIを楽譜にするために、別途データを整える作業は不要です。
オーディオからMIDIへの変換は、どのくらい正確ですか?
精度を大きく左右するのは、元の音源です。リバーブが少なく、一つの楽器で単旋律を弾いた明瞭な録音は、複数の楽器の音が重なって聞き分けにくい録音よりも、はるかに正確に採譜できます。ツールによっても差があります。Songscriptionのように録音された音楽に特化して学習したモデルは、軽量な汎用変換ツールよりも実際の録音を正確に読み取ります。音が重なる録音では、その差が特に分かります。それでも、変換直後のMIDIには通常、手直しが必要です。オクターブの間違いを直したり、短く切れた音を伸ばしたり、タイミングをそろえたりします。自分でできる工夫の中で最も効果が大きいのは、手元にある中で最も良い録音を使うことです。
同じ録音から楽譜とMIDIを一度に作り、MIDIを楽譜用に整える手間を省くなら、Songscriptionで曲を採譜できます。