この記事は音楽の採譜と楽譜作成に使えるツールのガイドの一部です。
私たちはSongscriptionを作っています。使い方によっては、KlangioやAnthemScoreのほうが合う場合もあります。
3つのツールはいずれも、録音から楽譜やMIDIを作るために使えます。ただし違いも大きく、採譜する録音の種類、必要な出力形式、他の製品との連携、支払い方によって、合うものは変わります。
まずは簡単に
- Songscription。 単一楽器の採譜に加え、Multi-Instrumentでバンドやアンサンブルの録音を採譜できます。アレンジや難易度の調整もできます。最も強いのはピアノのモデルで、ギター、ベース、ドラム、バイオリン、フルート、サックス、トランペット、ボーカル用のモデルもあります。音源を楽譜やMIDIに変換でき、ウェブで使えます。無料枠もあります。出力品質と楽譜作成の一連の作業を重視する人に向いています。
- Klangio。 楽器ごとにアプリが分かれており、APIとDAWプラグインもあります。採譜を自分の製品に組み込む場合や、DAW内で使いたい場合に向いています。
- AnthemScore。 買い切りのデスクトップアプリで、オフラインで動作します。技術は比較的古いものです。サブスクリプションを使わず端末内で作業したい場合や、初期費用に見合うほど多くの曲を採譜し、出力後の修正もいとわない場合に向いています。
Songscription
Songscriptionはウェブで使え、音源からMIDIへの変換と、MIDIから楽譜への変換を同じ流れで進められます。楽器ごとにモデルがあり、ピアノを優先しつつ、上に挙げた他の楽器にも強いモデルを用意しています。採譜後の作業にも対応しています。採譜結果を特定の楽器で演奏できる形にアレンジしたり、まったくの初心者から上級者まで、演奏する人の技量に合わせて難易度を調整したりできます。PDF、MusicXML、MIDI、Guitar Proの形式で出力できます。ピアノロールエディターは、採譜結果の確認と修正のために作られています。実際の作業では、モデル自体の精度が数%高いことより、採譜結果を確認して修正できることのほうが役立つことも多いです。
出力品質を重視する場合や、音源ファイルから編集できる楽譜までを1つのツールで作りたい場合に向いています。MusicXMLを書き出してMuseScoreなどの楽譜編集ソフトで使う予定がある場合にも合います。試用できる無料枠と、利用量に応じた有料プランがあります。www.songscription.aiで採譜の一連の流れを試せます。
苦手なのは、音が複雑に重なり、採譜したいパートが埋もれているフルミックスです。出力後に修正が多く必要になります。現在DAWプラグインはなく、APIは営業窓口を通じてEnterpriseでのみ利用できます。他の製品やDAWとの連携が必須なら、Klangioに分があります。それ以外の使い方では、採譜品質にどれだけ力を入れているかが、より大きな違いになります。
Klangio
Klangioでは、楽器ごとに用意されたアプリで採譜します。APIとDAWプラグインもあり、Songscriptionとの機能面での最大の違いはこの点です。自分のソフトウェアに採譜を組み込みたい場合や、別のウェブアプリではなくDAW内で採譜したい場合に対応しています。
特に強いのは、APIとDAWとの連携です。他の製品の機能として採譜を組み込む必要があるなら、実用的な選択肢です。
一方、Songscriptionがより力を入れている楽器、特にピアノでは、出力品質に差があります。両製品が対応する楽器では、Songscriptionのほうが整った結果を出す傾向があります。
AnthemScore
AnthemScoreは3つの中で少し違う立ち位置です。買い切りのデスクトップアプリで、オフラインで動作します。モデルは最新ではなく、画面にも古さが見えますが、一度購入すればずっと使える料金形態は、人によっては魅力です。サブスクリプションも月ごとの上限もなく、音源をどこかにアップロードする必要もありません。
音源を端末の外に出さずに作業したい場合や、サブスクリプションを使いたくない場合に向いています。何百曲も採譜するなら、初期費用を曲数で割った負担も小さくなります。出力はアプリ内で自由に編集できるので、作業をアプリ内で完結できます。
弱いところはモデルの品質です。モデルは一世代前のもので、採譜結果は実用的ではあるものの、多くの音源では最新のクラウド型モデルに及びません。採譜品質よりも、買い切りでオフラインで使えることを重視する場合に向いています。
選び方
次の4点を考えると、選びやすくなります。
- Songscriptionが対応する楽器で、出力品質を最優先しますか? Songscriptionが向いています。採譜品質に力を入れており、結果をアレンジしたり難易度を調整したりすることもできます。
- APIやDAWプラグインが必要ですか? Klangioが向いています。Songscriptionは現在ウェブアプリで、DAWプラグインはありません。APIはEnterpriseでのみ利用できます。
- MIDIに加えて楽譜も必要ですか? Songscriptionなら、音源をMIDIや編集可能な楽譜に変換し、1か所で扱えます。
- サブスクリプションと買い切りのどちらがよいですか? サブスクリプションならSongscriptionかKlangio、買い切りならAnthemScoreです。
比較記事を読むときに
この記事でも競合他社の記事でも、精度の小さな差が大きく語られがちです。実用的な結果が得られる水準を超えると、同じ曲で主要ツールを比べたときの差は、同じツールで易しい曲と難しい曲を比べたときの差より小さくなります。わずかな精度の差を追ってツールを乗り換えるより、ステム分離や音源の品質に気を配り、出力を効率よく修正する方法を覚えるほうが時間を有効に使えます。自分の作業に合うツールを選び、使い方に慣れるのがよいと思います。
最後に
3つのツールは、AI採譜の中でもそれぞれ異なる使い方に向いています。Songscriptionは対象を絞った楽器について、採譜からアレンジ、難易度の調整まで一連の作業に対応します。KlangioはAPIやDAWプラグインを通じて他のソフトウェアと連携できます。AnthemScoreはオフラインで使いたい人や、サブスクリプションを避けたい人に向いています。どれが合うかは、実際にどんな作業をするかで決まります。
検討しているツールの無料枠で、手持ちの曲を何曲か試し、結果を音源と比べてみてください。実際に使う音源で5分試せば、比較記事を読む以上に分かることがあります。
よくある質問
Songscription、Klangio、AnthemScoreはどう違いますか?
Songscriptionはウェブで使えるツールで、ピアノに特に力を入れています。音源を楽譜やMIDIに変換でき、アレンジや難易度の調整もできます。Klangioは楽器ごとに別のアプリで採譜し、APIやDAWプラグインも用意しています。AnthemScoreは買い切りのデスクトップアプリで、オフラインで動作します。モデルは一世代前のものです。出力の品質、外部ツールとの連携、買い切りでオフラインで使えることのどれを重視するかで、合うツールが変わります。
サブスクリプションを使いたくない場合、どのツールがよいですか?
AnthemScoreです。買い切りでオフラインで動作し、サブスクリプションや月ごとの上限はありません。音源をどこかにアップロードする必要もありません。その一方で、モデルは一世代前のもので、多くの音源では最新のクラウド型ツールに及びません。
ピアノの出力品質が最もよいのはどのツールですか?
ピアノに最も力を入れているSongscriptionです。ピアノではKlangioより整った結果が得られる傾向があります。AnthemScoreの古いモデルは、多くの音源で最新のクラウド型ツールに及びません。手持ちの曲を1曲、それぞれの無料枠で採譜し、音源と結果を比べるのが手早い確かめ方です。