アプリでピアノは弾けるようになります。多くの人が思っている以上に上達できます。正しい音を、正しいタイミングと順番で弾いたかどうか。マイクやMIDIキーボードで確認できることは、アプリの得意分野です。ただ、その音を出すときに手や手首、体をどう使っているかは見られません。ときどき先生に習うかどうかは、この違いを踏まえて考えるとよいです。
多くの人にすすめたいのはAnything Pianoです。収録曲に限らず、本当に弾きたい曲を練習できるからです。どんな録音でも持ち込めば、ピアノで弾けるパートを作ります。それに合わせて弾くと、一音ごとにリアルタイムで確認できます。ピアノをやめる人が多いのは、始めてから最初の数か月です。その時期を越えて続ける支えになるのが、弾きたいと思える曲です。
私たちはSongscriptionを作っており、同じチームがAnything Pianoも開発しています。以下で説明するアプリの限界は、Anything Pianoにも当てはまります。
ピアノアプリで身につけやすいこと
アプリで身につけやすいのは、鍵盤で音の位置を覚えること、拍に合わせて弾くことです。毎日のフィードバックで練習を続けたり、弾ける曲を増やしたりする助けにもなります。どれも、実際に弾いた内容から確かめられます。
表示と鍵盤を結びつける
画面に見える音と、押す鍵盤を結びつける練習を繰り返せます。週1回のレッスンよりも、多くの回数をこなせます。ピアノロールでは、表示の位置が音の高さを表します。先に楽譜の記号を読み解かなくても、押す鍵盤をすぐに見つけられます。楽譜を使う場合との違いは、ピアノロールと楽譜の比較で説明しています。
リズムとタイミング
音を出すのが早かったか、遅かったかをアプリが聴き取ります。ずれを指摘してくれるメトロノームのようなものです。タイミングのずれは自分では判断しにくいので、その都度分かるのは助かります。
練習を続ける気持ち
アプリの地味な強みは、ピアノに向かうきっかけを作れることです。その場で結果が分かること、短い時間で練習できること、進み具合が見えることも役立ちます。でも、一番の支えになるのは、好きな曲を練習することです。
弾ける曲を増やす
アプリには練習する曲があります。大人がピアノを始める理由も、多くは曲を弾きたいからです。ここはアプリによる違いが大きく出ます。収録曲から選ぶアプリは、弾きたい曲がなくなると、開く理由もなくなってしまいます。Anything Pianoは収録曲に縛られません。どんな音声ファイルでも、YouTube、TikTok、Instagramのリンクでも使えます。曲を、演奏に反応するピアノロールに変えます。音符は上から流れてきます。
おすすめはAnything Piano
Songscriptionと同じチームが作るAnything Pianoは、音楽の先生とAI研究者が開発しました。Songscriptionは、これまで100万人を超えるミュージシャンを支えてきました。Anything Pianoは、好きな音楽を弾きながら練習を続けられるように作っています。
- 曲もジャンルも自由です。 音声ファイルやリンクを持ち込めます。今週リリースされた曲でも使えます。練習できる曲が尽きることはありません。
- どんな録音からでもピアノのパートを作ります。 ピアノソロの録音なら、弾かれた音をそのまま再現します。ピアノが入っていないロックやポップス、歌ものの曲なら、原曲らしく聴こえるピアノのパートを作ります。
- どのピアノでも使えます。 MIDIキーボードから演奏を読み取れます。アコースティックピアノや電子ピアノの音は、ケーブルをつながずにマイクで聴き取れます。
- 弾いた結果がその場で分かります。 正しく弾けた音と、弾けなかった音をリアルタイムで確認できます。
- ピアノロールに指番号を表示できます。 指番号の表示をオンにすると、どの指で弾くかが分かります。1が親指、5が小指です。
- 練習に必要な機能がそろっています。 片手ずつでも両手でも練習でき、再生速度を落としたり、区間を繰り返したりできます。正しい音を弾くまでピアノロールが待つモードもあります。曲をいくつかの部分に分けて一つずつ覚えることもでき、進み具合が表示されます。
表示するのはピアノロールです。楽譜はありません。
ピアノアプリでは教えられないこと
アプリは、読み取れないことを教えられません。姿勢、手の形、手首の力み、音色、ペダルの使い方、指使いの癖。先生なら数秒で気づくことでも、マイクには見えません。こうした癖は上達が止まる原因になり、ときには体の痛みや違和感にもつながります。弾けるようになるほど、見てもらう必要が出てきます。
姿勢と手の形
椅子の高さ、鍵盤との距離、落ちた手首、伸びきった指。アプリはどれにも気づきません。弾いている本人も、癖になるとそれが普通に感じられるので、気づけません。
音色と強弱
アプリが確認するのは、正しい鍵盤を押したかどうかです。伴奏の上でメロディーが歌っているか、フォルテの音がきつくなっていないかまでは判断できません。音色の出し方は、演奏を聴いてもらい、どう聴こえたかを伝えてもらいながら身につけます。
ペダルの使い方
音を濁らせずにペダルを使うには、踏み替えやすいところではなく、和音の変化に合わせて踏み替えます。これは指導を受けながら、耳で確かめて覚えることです。
弾き方への助言
スケールの粒がそろわない、親指の音だけ強く出る、薬指の関節がへこむ。アプリの表示では、せいぜいタイミングが少しずれたと分かる程度で、何も表示されないこともあります。指番号は助けになります。Anything Pianoではピアノロールの音符に表示できます。Songscriptionのピアノ指番号生成機能なら、紙に印刷する楽譜にも指番号を付けられます。ただ、その指を実際に使っているかは、どのアプリも見ていません。
ピアノの練習項目で比べるアプリと先生
ピアノで身につけることの多くは、アプリと先生のどちらが得意か、はっきり分かれます。下の表は、その得意分野を比べたものです。苦手な側からは何も学べない、という意味ではありません。
ピアノの練習項目ごとに見た、アプリと先生の得意分野
| 項目 | アプリ | 先生 |
|---|---|---|
| 鍵盤で音の位置を覚える | 得意。繰り返す回数が多いです | 得意ですが、繰り返す回数は少なめです |
| リズムとタイミング | 得意。一音ずつ確認します | 得意です |
| 弾きたい曲を覚える | 得意。好きな曲を持ち込むアプリなら、どんな曲でも練習できます | 得意ですが、時間がかかります |
| 日々の練習を続ける支え | 得意です | 週1回です |
| 姿勢と手の形 | 見られません | 得意です |
| 音色と強弱 | 苦手です | 得意です |
| ペダルの使い方 | 苦手か、対応していません | 得意です |
| 弾き方の癖を直す | 苦手です | 得意です |
| 費用 | 低めです | 高めです |
どんなアプリを選ぶか
多くの人には、どんな録音からでも好きな曲を練習できるアプリが合っています。初心者にAnything Pianoをすすめるのも、そのためです。よくあるのは、順を追って学ぶアプリのほうが堅実そうだと選んだものの、弾きたい曲がなくて開かなくなることです。
Simply PianoやSkooveのようにコースに沿って学ぶアプリは、楽譜の読み方を順番に習いたくて、収録曲にも満足できる場合に向いています。どちらも学べるのは、あらかじめアレンジされた曲だけです。自分の録音は持ち込めません。どれを選ぶにしても、使う楽器の音を認識できるかは確かめてください。Synthesiaのように、MIDIだけを読み取るアプリもあります。大人の初心者向けピアノアプリの比較では選び方を詳しく説明しています。無料の選択肢は、無料で使えるピアノ学習アプリで紹介しています。
アプリで習うにも楽譜は読めたほうがよいか
楽譜が読めなくても始められます。五線譜を読まないまま、弾きたかった曲を弾けるようになる人はたくさんいます。読譜が必要になるのは、手に取った楽譜を弾きたいとき、クラシックの曲を楽譜から弾きたいとき、グレード試験を受けたいときです。
楽譜を読む力と、弾く力は別々に身につけるものです。ピアノロールなら、早く曲を弾き始められます。楽譜も読みたければ、曲の練習と並行して、初心者向けの教本に1日10分取り組む方法があります。好きな曲を練習する時間を削りすぎずに、読譜も学べます。
先生にも習い始めるタイミング
こつこつ練習しても上達が止まったとき、どこかが痛むとき、クラシックの曲をしっかり弾きたいとき、ABRSMやRCMなどの試験を受けるときは、先生に習うことをすすめます。小さな子どもは、最初から先生に習うとよいです。毎週通わなくても、レッスンから学べることはあります。
- 何週間も同じところで止まっています。 練習を続けても、同じフレーズで崩れてしまいます。こうしたときは、ほとんどが弾き方の問題です。アプリでは原因を見つけられません。
- 体に痛みや違和感があります。 手首や前腕、肩に違和感があれば、先延ばしにせず先生に見てもらってください。
- クラシックの曲を弾きたいです。 ショパンやドビュッシーでは、音色とペダルの使い方が演奏を左右します。どちらもアプリが特に苦手な分野です。
- 試験を受ける予定があります。 ABRSMやRCMのグレード試験では、スケール、初見演奏、聴音なども評価されます。アプリだけでは、その試験に必要な準備をすべて済ませられません。
月1回のレッスンなら、無理なく組み合わせやすいです。練習中の曲を持っていき、手の動きを見てもらってください。教わったことを、毎日のアプリでの練習に持ち帰れます。
アプリを使った毎日の練習
練習は短く、ほぼ毎日続ける形がおすすめです。目安は20分ほどです。最初の数分は指ならしに使い、残りの大半は好きな曲の短い区間をゆっくりさらいます。最後の2分ほどで、すでに弾ける曲を弾きます。
両手を合わせる前に、片手ずつ練習してください。同じフレーズを3回続けて正しく弾ける速さまで落とします。Anything Pianoなら、片手ずつの練習に切り替え、再生速度を下げて、難しい小節をループします。ピアノを片手ずつ練習する方法とピアノは1日どのくらい練習するかで、それぞれ詳しく説明しています。
よくある質問
アプリだけで本当にピアノが弾けるようになりますか?
はい。初級の基礎をしっかり身につけ、中級の入り口まで進めます。アプリは音やリズム、実際の曲を教えるのが得意で、練習を続ける助けにもなります。おすすめはAnything Pianoです。持ち込んだどんな曲でも練習でき、弾いた音をリアルタイムで確認できます。ただ、どのアプリも手の動きは見られません。ときどきレッスンを受けて、姿勢や力みを見てもらうとよいです。
ピアノを習うなら、どのアプリがおすすめですか?
大人の多くにはAnything Pianoをすすめます。音声ファイルかYouTube、TikTok、Instagramのリンクを持ち込むと、音符が上から流れるピアノロールになります。MIDIキーボードから演奏を読み取るほか、マイクでピアノの音を聴き取って演奏についてきます。収録曲から選ぶアプリで学べるのは、あらかじめアレンジされた曲だけです。初心者の多くは、弾きたい曲がなくなるとやめてしまいます。
アプリでピアノを習うと、どのくらいで弾けるようになりますか?
初心者の多くは、数か月こつこつ練習すれば、簡単な曲を両手で弾けるようになります。好きな1曲に絞って練習すれば、その曲だと分かるくらいには、もっと早く弾けます。Anything Pianoでは再生速度を落とし、難しい小節を繰り返し、片手ずつ練習できます。週2回まとめて長く練習するより、ほぼ毎日20分ずつ弾くほうが効果的です。
ピアノはアプリと先生、どちらで習うほうがよいですか?
アプリと先生では、得意なことが違います。音やリズムを毎日確認すること、好きな曲で練習を続けること、費用の低さではアプリが勝ります。弾き方や姿勢、音色を見てもらい、癖がつく前に気づいてもらうなら先生です。大人の多くには、Anything Pianoのようなアプリで始めて、月に1回ほどレッスンを受けるやり方が合っています。
アプリで始めて、必要なところを先生に習う
最初の1年ほどなら、多くの部分をアプリで学べます。次に弾く音を見つけること、拍に合わせることを学べて、練習したい曲もあります。中でも、弾きたい曲があることは、初心者が練習を続ける大きな支えになります。習う内容がまだあっても、弾きたい曲がなくなると、やめてしまいます。
好きな曲を持ち込めるアプリをすすめる理由も、そこにあります。収録曲から選ぶと、いつか次に弾きたい曲が見つからなくなります。どんな録音でも使えれば、その心配はありません。ときどき先生に手の動きを見てもらえば、毎週のレッスンより費用をずっと抑えられます。日々の練習では、好きな音楽を弾けます。今夜練習する1曲を選んだら、Anything Pianoで練習を始められます。