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録音を聴いて音を探り、楽譜にする採譜は、身につける価値のある技術です。耳コピを重ねるうちに、コードの変化を聴き分け、リズムを体で覚え、アレンジがどう成り立っているかをつかめるようになります。音符を書き込む作業の大部分をAIに任せられるようになっても、その経験は役立ちます。変わるのは、どこに注意を向けるかです。
耳コピで一から採譜する方法も、AIが作った楽譜を耳で確かめる方法も使えます。音楽を仕事にしている人の多くは、場面に合わせて両方を組み合わせています。
今も耳コピを身につける意味
コードやリフ、ベースラインを聴いて、どの音でできているかを探る力は、演奏の土台になります。説得力のある即興演奏にも、曲を素早く覚えることにも、好きな音楽の仕組みを理解することにも、同じ力を使います。AIは楽譜ファイルを作れますが、その場で耳を働かせる必要があるときに、代わりに聴いてくれるわけではありません。
耳コピの練習では、聴き取る力を育てます。その力が身についたあとも、すべての曲を毎回一から耳コピするのは時間がかかります。AIの結果を自分で確かめられるようになれば、AIに頼りきりにならず、作業を早める道具として使えます。
耳コピの手順
1. 今の自分に合う曲を選びます
今できることより、少しだけ難しい曲から始めます。難しすぎて先へ進めない曲や、簡単すぎて学ぶことがない曲は避けてください。楽器の音が聴き分けやすく、メロディーがはっきりしていて、コード進行を予想しやすい曲が取り組みやすいです。いくつもの別の旋律が重なる、音数の多いアレンジは難しくなります。始めたばかりなら、たくさんのパートを重ねた音源に取り組む前に、ソロや少人数のアンサンブルの録音を選びます。
2. キーを探ります
音を一つずつ採る前に、曲のキーを探ります。手がかりになるのは、曲が落ち着く音です。多くの場合、メロディーの最後の音や、サビで最も強く感じるベース音が候補になります。その音が、キーの中心になる主音である可能性が高いです。そこからメジャーかマイナーかを聴き分けると、キーが分かります。
先にキーが分かると、続きの作業がずっと楽になります。採る音の大半は、そのキーのスケールに含まれる音です。スケールから外れた音も、一音ずつ手探りするのではなく、ほかの音との違いを手がかりに見つけやすくなります。
3. コード進行をつかみます
まずベースラインを聴いてください。ベース音はコードのルートに当たることが多いので、先にベースラインを採ると、コード進行の骨組みが見えてきます。そこから各コードがメジャーかマイナーか、7thや9thのような音が加わっているかを聴き分けます。多くのポピュラー音楽では、コード進行が分かれば、使える楽譜にするまでの作業は8割ほど進んだことになります。
4. メロディーを採ります
キーとコード進行が分かっていると、メロディーを採るのも速くなります。メロディーの音の多くは、コードトーンか、そのキーのスケールに含まれる音です。コードトーンとは、その場のコードを作るルート、3rd、5th、7thなどの音を指します。それ以外の音が聴こえたところは、少し時間をかけて確かめてください。そうした音に、その曲らしさが表れることが多いです。
5. 再生速度を落とします
速いフレーズには、ピッチを変えずに再生速度を落とせるツールを使います。定番はSeventh StringのTranscribe!です。多くのDAWにも同じような機能があり、スマートフォンのアプリも使えます。再生速度を50%にすると、元の速さでは聴き取りにくいフレーズも、一音ずつ聴き取りやすくなります。再生速度を落として確かめるのは、採譜を仕事にしている人も使う普通の方法です。
6. 録音に合わせて弾いて確かめます
最後は、採譜した楽譜を録音に合わせて弾き、音が合っているか確かめます。音源と重ねると、タイミングのずれや音の間違い、抜けているパートを、ほかの方法より素早く見つけられます。違うところがあれば、その都度直してください。
AI採譜を作業に取り入れるには
耳で聴き取る力が身についたら、まずAIで採譜し、その結果を耳で確認するやり方が役立ちます。音符をすべて楽譜に書き込む作業をAIに任せ、自分は間違いを聴き取り、仕上げていきます。
Songscriptionのようなツールなら、1〜2分で変換し、楽譜とMIDIを作れます。特にすべてのパートをミックスした音源では、完全に正確な結果はなかなか得られません。それでも、白紙から始めるよりずっと作業を進めやすくなります。耳コピで身につけた力が特に役立つのは、音源を聴きながら楽譜を確認して直すときです。一から曲を聴き取るのに比べ、下書きの確認なら間違いを素早く見つけられます。
場面に合わせた使い分け
- 聴き取る力を育てたいときは、AIを使わずに耳コピします。難しいところも自分で音を探る経験が、耳を育てます。
- 音楽の仕事で必要な楽譜を作るときは、AIの下書きを耳で確かめます。どちらか一方だけで進めるより、速く正確に仕上げられます。
- 生徒向けの教材を作るときは、ほとんどの場合、AIを使う価値があります。作業時間を短くした分、より多くの教材を用意できます。
- 変拍子、複数の旋律が複雑に重なる曲、テンポが自由に揺れる曲は、AIが苦手とする素材です。難しい部分は耳コピし、簡単な部分をAIに任せるほうが、早く仕上がることもあります。
耳コピとAIを組み合わせる
録音を聴いて音を探ると、曲の組み立てや、そのジャンルならではのフレーズが身についていきます。バンドの演奏に加わって、その場でコード進行をつかむ感覚も育ちます。こうした力を育てるには、録音と向き合い、何が鳴っているかを探りながら、聴こえる音と自分の理解を結びつけていく経験が必要です。
採譜した結果を素早く確認できるようになれば、AIを使って数時間かかる作業を20分で終えられます。浮いた時間は、アレンジをどうするか、演奏の細部をどう表すかといった、ツールに任せられない作業に使えます。耳コピの力がAIの結果を確かめる助けになり、AIが採譜の手間を減らします。音楽を仕事にしている人の多くも、必要に応じて両方を使っています。
よくある質問
録音から楽譜を作るにはどうすればいいですか?
耳で聴き取る方法とAIを使う方法があり、音楽を仕事にしている人の多くは両方を組み合わせています。耳コピでは、まずキーを探り、ベースラインからコード進行をつかんでからメロディーを採ります。速いところは再生速度を落とし、最後に録音に合わせて弾いて確かめます。作業時間を短くするなら、先にAIで採譜してから耳で確認します。音符を書き込む作業をAIに任せ、聴きながら間違いを直すやり方です。
AIは正確に採譜できますか?
AI採譜では、確認して直すための下書きが得られます。初めから間違いのない楽譜ができるわけではありません。ソロや少人数のアンサンブルの録音に向いていて、変拍子、複数の旋律が複雑に重なる曲、テンポが自由に揺れる曲は苦手です。特にすべてのパートをミックスした音源では、完全に正確な結果はなかなか得られません。それでも、白紙から始めるよりずっと作業を進めやすくなります。
AIがあっても耳コピを練習したほうがいいですか?
はい。耳コピで育つ聴く力は、即興で弾くとき、曲を素早く覚えるとき、音楽の仕組みを理解するときにも使います。自分で聴き取る経験は、AIを使うだけでは積めません。その力が身につくと、一から採譜するよりずっと短い時間で、AIの下書きを確認できます。AIに頼りきりにならず、作業を早める道具として使えるようになります。
