チュートリアル採譜Andrew Carlins•読むのに約12分

耳コピで楽譜を作るには? 初めて耳コピする人のための手順とAIの使い分け

録音を聴いて音を探る力は、AIが使える今も身につける価値があります。AIによって変わったのは、手間をかけるところです。耳コピとAI採譜は、場面に合わせて組み合わせられます。

初めての耳コピの手順と、音楽の作業にAI採譜を取り入れる方法

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録音を聴いて音を探り、楽譜にする採譜は、身につける価値のある技術です。耳コピを重ねるうちに、コードの変化を聴き分け、リズムを体で覚え、アレンジがどう成り立っているかをつかめるようになります。音符を書き込む作業の大部分をAIに任せられるようになっても、その経験は役立ちます。変わるのは、どこに注意を向けるかです。

耳コピで一から採譜する方法も、AIが作った楽譜を耳で確かめる方法も使えます。音楽を仕事にしている人の多くは、場面に合わせて両方を組み合わせています。

今も耳コピを身につける意味

コードやリフ、ベースラインを聴いて、どの音でできているかを探る力は、演奏の土台になります。説得力のある即興演奏にも、曲を素早く覚えることにも、好きな音楽の仕組みを理解することにも、同じ力を使います。AIは楽譜ファイルを作れますが、その場で耳を働かせる必要があるときに、代わりに聴いてくれるわけではありません。

耳コピの練習では、聴き取る力を育てます。その力が身についたあとも、すべての曲を毎回一から耳コピするのは時間がかかります。AIの結果を自分で確かめられるようになれば、AIに頼りきりにならず、作業を早める道具として使えます。

耳コピの手順

1. 今の自分に合う曲を選びます

今できることより、少しだけ難しい曲から始めます。難しすぎて先へ進めない曲や、簡単すぎて学ぶことがない曲は避けてください。楽器の音が聴き分けやすく、メロディーがはっきりしていて、コード進行を予想しやすい曲が取り組みやすいです。いくつもの別の旋律が重なる、音数の多いアレンジは難しくなります。始めたばかりなら、たくさんのパートを重ねた音源に取り組む前に、ソロや少人数のアンサンブルの録音を選びます。

2. キーを探ります

音を一つずつ採る前に、曲のキーを探ります。手がかりになるのは、曲が落ち着く音です。多くの場合、メロディーの最後の音や、サビで最も強く感じるベース音が候補になります。その音が、キーの中心になる主音である可能性が高いです。そこからメジャーかマイナーかを聴き分けると、キーが分かります。

先にキーが分かると、続きの作業がずっと楽になります。採る音の大半は、そのキーのスケールに含まれる音です。スケールから外れた音も、一音ずつ手探りするのではなく、ほかの音との違いを手がかりに見つけやすくなります。

3. コード進行をつかみます

まずベースラインを聴いてください。ベース音はコードのルートに当たることが多いので、先にベースラインを採ると、コード進行の骨組みが見えてきます。そこから各コードがメジャーかマイナーか、7thや9thのような音が加わっているかを聴き分けます。多くのポピュラー音楽では、コード進行が分かれば、使える楽譜にするまでの作業は8割ほど進んだことになります。

4. メロディーを採ります

キーとコード進行が分かっていると、メロディーを採るのも速くなります。メロディーの音の多くは、コードトーンか、そのキーのスケールに含まれる音です。コードトーンとは、その場のコードを作るルート、3rd、5th、7thなどの音を指します。それ以外の音が聴こえたところは、少し時間をかけて確かめてください。そうした音に、その曲らしさが表れることが多いです。

5. 再生速度を落とします

速いフレーズには、ピッチを変えずに再生速度を落とせるツールを使います。定番はSeventh StringのTranscribe!です。多くのDAWにも同じような機能があり、スマートフォンのアプリも使えます。再生速度を50%にすると、元の速さでは聴き取りにくいフレーズも、一音ずつ聴き取りやすくなります。再生速度を落として確かめるのは、採譜を仕事にしている人も使う普通の方法です。

6. 録音に合わせて弾いて確かめます

最後は、採譜した楽譜を録音に合わせて弾き、音が合っているか確かめます。音源と重ねると、タイミングのずれや音の間違い、抜けているパートを、ほかの方法より素早く見つけられます。違うところがあれば、その都度直してください。

AI採譜を作業に取り入れるには

耳で聴き取る力が身についたら、まずAIで採譜し、その結果を耳で確認するやり方が役立ちます。音符をすべて楽譜に書き込む作業をAIに任せ、自分は間違いを聴き取り、仕上げていきます。

Songscriptionのようなツールなら、1〜2分で変換し、楽譜とMIDIを作れます。特にすべてのパートをミックスした音源では、完全に正確な結果はなかなか得られません。それでも、白紙から始めるよりずっと作業を進めやすくなります。耳コピで身につけた力が特に役立つのは、音源を聴きながら楽譜を確認して直すときです。一から曲を聴き取るのに比べ、下書きの確認なら間違いを素早く見つけられます。

場面に合わせた使い分け

  • 聴き取る力を育てたいときは、AIを使わずに耳コピします。難しいところも自分で音を探る経験が、耳を育てます。
  • 音楽の仕事で必要な楽譜を作るときは、AIの下書きを耳で確かめます。どちらか一方だけで進めるより、速く正確に仕上げられます。
  • 生徒向けの教材を作るときは、ほとんどの場合、AIを使う価値があります。作業時間を短くした分、より多くの教材を用意できます。
  • 変拍子、複数の旋律が複雑に重なる曲、テンポが自由に揺れる曲は、AIが苦手とする素材です。難しい部分は耳コピし、簡単な部分をAIに任せるほうが、早く仕上がることもあります。

耳コピとAIを組み合わせる

録音を聴いて音を探ると、曲の組み立てや、そのジャンルならではのフレーズが身についていきます。バンドの演奏に加わって、その場でコード進行をつかむ感覚も育ちます。こうした力を育てるには、録音と向き合い、何が鳴っているかを探りながら、聴こえる音と自分の理解を結びつけていく経験が必要です。

採譜した結果を素早く確認できるようになれば、AIを使って数時間かかる作業を20分で終えられます。浮いた時間は、アレンジをどうするか、演奏の細部をどう表すかといった、ツールに任せられない作業に使えます。耳コピの力がAIの結果を確かめる助けになり、AIが採譜の手間を減らします。音楽を仕事にしている人の多くも、必要に応じて両方を使っています。

よくある質問

録音から楽譜を作るにはどうすればいいですか?

耳で聴き取る方法とAIを使う方法があり、音楽を仕事にしている人の多くは両方を組み合わせています。耳コピでは、まずキーを探り、ベースラインからコード進行をつかんでからメロディーを採ります。速いところは再生速度を落とし、最後に録音に合わせて弾いて確かめます。作業時間を短くするなら、先にAIで採譜してから耳で確認します。音符を書き込む作業をAIに任せ、聴きながら間違いを直すやり方です。

AIは正確に採譜できますか?

AI採譜では、確認して直すための下書きが得られます。初めから間違いのない楽譜ができるわけではありません。ソロや少人数のアンサンブルの録音に向いていて、変拍子、複数の旋律が複雑に重なる曲、テンポが自由に揺れる曲は苦手です。特にすべてのパートをミックスした音源では、完全に正確な結果はなかなか得られません。それでも、白紙から始めるよりずっと作業を進めやすくなります。

AIがあっても耳コピを練習したほうがいいですか?

はい。耳コピで育つ聴く力は、即興で弾くとき、曲を素早く覚えるとき、音楽の仕組みを理解するときにも使います。自分で聴き取る経験は、AIを使うだけでは積めません。その力が身につくと、一から採譜するよりずっと短い時間で、AIの下書きを確認できます。AIに頼りきりにならず、作業を早める道具として使えるようになります。

著者について

Andrew Carlins

著者

Andrew Carlins

Songscription共同創業者・CEO

アンドリューは、弾きたい曲の楽譜が見つからないことにうんざりしていた音楽仲間数人と、スタンフォード大学でSongscriptionを共同創業しました。子どもの頃からピアノとバリトンサクソフォンを演奏し、ミュージカルの舞台にも立っていました。もう何年も舞台には立っていませんが、今も腕は鈍っていないつもりです。録音から音を拾って楽譜にすることについて書いています。

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