1曲を5つの難易度にアレンジすると、メロディーは同じでも、その周りは大きく変わります。同時に鳴る音の数、左手の動き、リズムの細かさ、両手の移動する範囲がそれぞれ違います。
Songscriptionのピアノカバーには、初中級、中級、中上級、上級、Adaptiveの5つのレベルがあります。採譜する前に1つ選び、後から別のレベルで作り直すこともできます。グレードや検定、曲の難しさを決める要素については、楽譜の難易度の解説を読んでみてください。教室の生徒に合わせた難易度の調整方法は、ピアノの生徒に合わせた採譜の難易度調整で紹介しています。
例に使う曲
例に使うのは、パブリックドメインの賛美歌「Amazing Grace」です。口ずさめる人も多いこの曲は、ゆったりした3拍子で、メロディーはところどころ跳躍しながらも、主に隣り合う音へと進みます。ハーモニーは3〜4個のコードでできています。シンプルな曲なので、アレンジで加わる音の重なりを聴き分けやすくなります。
カバーは録音に含まれる音をもとに作られるため、音符が必ず以下の説明どおりになるわけではありません。
初中級:メロディーとシンプルな伴奏
初中級では右手が主に1音ずつメロディーを弾き、左手が最もシンプルな形でハーモニーを支えます。左手は小節の1拍目で単音のベースやシンプルな2音の和音を弾き、1小節いっぱい伸ばすような形です。
- 音の重なり: 薄く、同時に鳴る音は両手で2〜3音程度のことが多いです。
- 左右それぞれの音数: 右手は主に単音、左手は1〜2音です。
- 左手: コードのルート音やルートと5th(ルートの5度上)の2音を伸ばし、コードが変わるところで弾き替えます。
- リズム: 主にメロディーのリズムを使い、装飾音やフレーズに入る前の音は簡単にします。
- 音域: 両手とも主に鍵盤の中央付近を使い、位置の移動はあまりありません。
曲がすぐに分かる形を保ちながら、一定の伴奏の上でメロディーを歌うように弾けます。
中級:音が厚くなっても弾きやすい
中級では、両手で弾きやすい形を保ちながら音が厚くなります。右手は要所でメロディーの下にハーモニーの音を加え、左手は小節の中で動き始めます。
- 音の重なり: フレーズの始まりや終わりのコードが厚くなります。
- 左手: ベース音を弾き、2拍目と3拍目にコードを弾くといったシンプルなパターンです。3拍子の曲でよく使うワルツの形です。
- リズム: 動きは少し増えますが、主に拍に合わせて弾きます。
- 音域: 左手は低いベース音に手を伸ばし、コードの位置に戻ります。
メロディーに伴奏を添えた形から、ピアノ曲らしい響きに変わってくるのがこのあたりです。
中上級:ハーモニーと手の動きが増える
中上級ではハーモニーが厚くなり、両手の動きも増えます。中級ではコードを伸ばしていたところにも音が入ります。
- 音の重なり: 右手はメロディーを一番上に置き、その下にハーモニーの音を2つ重ねることが多くなります。
- 左手: コードの音を順に弾く分散和音が小節の中を流れ、要所ではベースをオクターブで弾きます。
- リズム: メロディーのフレーズの間に、音をつなぐ経過音や短いフレーズが入ります。
- 両手の動き: 左右で違う動きを同時に弾きます。これがこのレベルで新たに求められる主な技術です。
中級は楽に弾けるけれど、録音の豊かな響きも欲しいときは、中上級が次の候補になります。
上級:細部まで弾く
上級は最も難しく、細部まで音が入るレベルです。録音で聴こえる音を、両手で弾ける範囲でできるだけ取り込みます。
- 音の重なり: 音を厚く重ねたコードやメロディーとベースの間の声部が入り、メロディーをオクターブで重ねることもあります。
- 左手: 1オクターブを超えることもある広いパターンや、動きのあるベースラインを弾きます。
- リズム: 録音にシンコペーションや細かい音の動きがあれば、それも入ります。
- 音域: 大きく跳躍し、鍵盤の高いところや低いところも使います。
音の多いコードを読み、鍵盤の上を素早く移動できる人に向いたレベルです。ゆっくりした賛美歌なら豊かな響きになり、速いポップス曲ならかなり弾きごたえのあるアレンジになります。
Adaptive:録音にできるだけ近く
Adaptiveは、ほかの4つとは作り方が違います。決まった難易度を目指さず、録音にできるだけ近づけます。同じ「Amazing Grace」でも、静かなピアノソロの録音ならシンプルで音と音の間にゆとりのある仕上がりに、大編成のゴスペルアレンジなら音が多く、難しい仕上がりになることがあります。
難易度より録音への忠実さを重視するときは、Adaptiveを選んでください。元のピアニストが実際に弾いた内容を聴きたいときや、アレンジを自分で編集したいときにも向いています。
レベルを比べる
| レベル | 音の重なり | 左手 | リズム | 音域 |
|---|---|---|---|---|
| 初中級 | メロディーとシンプルなベース | ルート音や5thを伸ばす | メロディーのリズムを簡単にした形 | ミドル Cの近く |
| 中級 | 要所で音が厚くなる | ベースの後にコードを弾くなどのシンプルなパターン | 多少動きが増える | 手を少し広げる程度 |
| 中上級 | ハーモニーが厚くなる | 分散和音、オクターブ | 短いフレーズや経過音 | 移動の範囲が広がる |
| 上級 | 細部まで音が入る | 広いパターン、動きのあるベース | 録音にあるシンコペーション | 大きな跳躍 |
| Adaptive | 録音に沿う | 録音に沿う | 録音に沿う | 録音に沿う |
レベルの選び方
最初の数小節をゆっくり弾いて、少し頑張れば届きそうなレベルを選びます。ほとんどの音で手が止まるなら、レベルを1つ下げてください。初めてでも曲の速さに近い状態で弾けるなら、1つ上げます。
次の目安も参考にしてください。
- 両手で弾き始めたばかり: 初中級から始めます。
- 右手でメロディーを弾きながら、左手のパターンも弾ける: 中級を試します。
- コードを素早く読めて、より豊かな響きが欲しい: 中上級か上級を選びます。
- 録音で実際に鳴っている音に近づけたい: Adaptiveを選びます。
曲全体を覚えるのにどのくらいかかるか知りたいときは、ピアノで1曲を弾けるようになるまでの時間も参考になります。
次のレベルに進むには
1つのレベルで曲を覚えたら、1つ上のレベルで作り直します。採譜ページでは、約30秒で別の難易度のカバーを作り直せます。各レベルは録音から作り直されます。メロディーや曲の構成をすでに知っているので、最初から覚え直すというより、音を重ねていく感覚に近くなります。
録音ではなく、すでに楽譜がある場合は、Sheet Music Levelerを使えます。読み込んだMusicXMLファイルなどの楽譜の難易度をレベル1〜5に下げ、レベル6には元の楽譜を残します。ルールに基づいて楽譜上の音を減らす仕組みなので、オーディオからアレンジし直すわけではありません。ピアノ曲を弾きやすくする方法では、手作業で簡単にする方法も紹介しています。
関連ガイド
- 難易度について: 楽譜の難易度の解説
- 先生向け: ピアノの生徒に合わせた採譜の難易度調整
- 楽譜を簡単にする: ピアノ曲を弾きやすくする方法、好きな曲の簡単なピアノアレンジ
よくある質問
ピアノの難易度が変わると、何が違いますか?
大きく変わるのは5つです。同時に鳴る音の数、左右の手でそれぞれ弾く音の数、左手のパターン、リズムの細かさ、両手が動く音域です。低いレベルではメロディーと基本のハーモニーを残し、その周りの音を減らします。高いレベルではコードの音が厚くなり、左手の動きやリズムも細かく、跳躍も大きくなります。
ピアノカバーの難易度はどう選べばいいですか?
最初の数小節をゆっくり弾いたとき、少し頑張れば弾けて、どこを弾いているか分からなくならずに済むレベルを選んでください。どの小節も苦労するなら1つ下げます。ほぼ初見で弾けるなら1つ上げます。迷ったら低めから始め、曲を覚えてからレベルを上げるとよいでしょう。
Adaptiveとは何ですか?
Adaptiveは、元の録音にできるだけ近づけるレベルです。決まった難易度を目指すのではなく、曲の中で実際に鳴っている音に沿って作ります。音数の少ないバラードは少ないまま、音数の多い曲は多いままです。録音にできるだけ忠実な版が欲しいときはAdaptiveを選びます。技量に合わせてアレンジしたいときは、残りの4つから選んでください。
ピアノカバーを作った後に難易度を変えられますか?
はい。採譜ページでは、別の難易度でカバーを作り直せます。所要時間は約30秒です。各レベルは前の版の音を減らすのではなく、録音から作り直します。読み込んだMusicXMLファイルなど、すでに楽譜がある場合は、Sheet Music Levelerで難易度をレベル1〜5に下げられます。レベル6は元の楽譜です。
好きな曲で試すには、録音から簡単なピアノ楽譜を作成してください。