Synthesiaは使いやすいソフトですが、使うには2つの条件があります。付属の約150曲以外を弾くには曲ごとのMIDIファイルが必要で、弾いた音を認識させるにはMIDIキーボードが必要です。どちらかがなくてもアプリは動きますが、やりたかったことができなくなります。
Anything Pianoなら、MIDIファイルもMIDIキーボードも必要ありません。録音から音符を作るのでファイルを探す必要がなく、MIDIに加えてマイクでも音を聴き取るのでキーボードを買う必要もありません。
この記事を書いている私たちはSongscriptionを作っています。同じチームがAnything Pianoも作っています。以下では両方を取り上げますが、用途によっては他のアプリをおすすめします。
Synthesiaを使うために必要なもの
Synthesiaは、MIDIプレーヤーに練習機能を加えたソフトです。この仕組みのおかげで動作が速く、価格も手頃で、曲をいくらでも追加できます。一方で、2つの制約もこの仕組みから生まれています。
曲ごとのMIDIファイル
Synthesiaは音を採譜しません。すでにある音符のデータを読み込むので、練習できるのは内蔵ライブラリの曲と、見つけたMIDIファイルの曲に限られます。有名なクラシックやメジャーなポップスなら、たいていファイルが見つかります。特定のカバーやライブ用のアレンジ、あまり知られていないゲーム音楽、先月リリースされた曲となると、見つからないことも多いものです。見つかっても、聴いたアレンジとは違う、誰かが大まかに打ち込んだデータであることも少なくありません。この違いはSongscriptionとSynthesiaの比較で詳しく紹介しています。
演奏を確認するためのMIDIキーボード
SynthesiaはMIDI経由で音符を検出し、マイクでは音を聴き取りません。アップライトやグランドのアコースティックピアノでも、落ちてくる音符を見ながら一緒に弾くことはできます。ただ、正しい音を弾いたかはアプリに分からないので、採点や待機モードは使えません。この種類のアプリの多くはマイクの音を解析します。実際に使ううえでは、そこがSynthesiaと他のアプリのいちばん大きな違いです。
代替アプリの比較
曲の入手方法、演奏の検出方法、Synthesiaのどの制約を解消するかを比較します
| アプリ | 曲の入手方法 | 演奏の検出方法 | 解消する制約 |
|---|---|---|---|
| Anything Piano | 録音されているあらゆる曲 | マイク、Bluetooth MIDI、USB MIDI | 両方 |
| flowkey | 用意された1,500曲以上 | マイクまたはMIDI | キーボードの必要性 |
| Skoove | 用意された曲 | マイクまたはMIDI | キーボードの必要性 |
| Simply Piano | 用意された曲 | マイクまたはMIDI | キーボードの必要性 |
| Piano Marvel | 教本とレパートリーのライブラリ | MIDIのみ | どちらも解消せず、カリキュラムを追加 |
| Songscription | あらゆる録音のファイルまたはリンク | 演奏は聴き取らない | MIDIファイルの不足 |
代替アプリの紹介
Anything Piano:Synthesiaに最も近いアプリ
Anything Pianoは、2つの制約を同時に解消します。鍵盤に向かって音符が落ちてくる画面はそのままで、左右の手も色分けされています。違うのは音符の作り方です。音声ファイル、YouTube、TikTok、Instagramのリンク、またはライブ録音を読み込ませると、採譜モデルが音声からピアノパートを作ります。既存のピアノのチュートリアルがなくても、録音から作れます。MIDIファイルは必要ないので、探す手間もありません。
入力方法はSynthesiaよりも幅広く、Bluetooth MIDIとUSB MIDIのどちらにも対応しています。今使っているキーボードを同じように接続でき、マイクも使えます。Synthesiaでは音を拾えなかったアコースティックピアノでも練習できます。再生速度は元の4分の1から2倍まで変えられ、その範囲で再生速度のプリセットも選べます。音符のまとまりを弾くまで待つ待機モード、任意の2つの音符の間を繰り返すループ、片手ずつ練習するための左右の手の切り替えもあります。フィンガリングをオンにすると、音符に指番号が表示されます。元の録音を遅くして聴きたいだけなら、SongscriptionとAmazing Slow Downerの比較で、そのためのツールを紹介しています。
練習方法にも違いがあります。ループの範囲はバーをドラッグするのではなく、練習したい部分の最初と最後の音符をタップして決めます。鍵盤数を49、61、76、88鍵から選ぶと、表示が手元の鍵盤に合います。録音どおりのピアノパートにするか、バンド全体の曲をピアノ用にしたものにするかも選べます。ダウンロードしたMIDIファイルでは、すでにどちらかが決まっています。
表示されるのはピアノロールで、楽譜ではありません。落ちてくる音符に加えて印刷できる楽譜が欲しいときは、同じ録音をSongscriptionに読み込ませると、数分で楽譜ができます。
flowkey:Androidを使う人や人が編曲した曲を弾きたい人に
flowkeyで練習できるのは、あらかじめ用意された曲です。1,500曲以上が複数の難易度に編曲されているので、最初から原曲どおりの難しさで弾く必要はありません。どの曲にもピアニストの手元の動画が付き、指の動きを見られます。マイクまたはMIDIで演奏を聴き取り、Androidでも動きます。ダウンロードしたMIDIファイルで練習はできても、アレンジが大ざっぱだと感じるなら、候補になります。Synthesiaを数か月使った人からよく聞かれる不満です。ただし、1,500曲が用意されていても、選べる曲の範囲は決まっています。
SkooveとSimply Piano:レッスンを受けたい人に
Synthesiaは練習ツールで、先生の代わりではありません。指使いや姿勢についての指導はありません。レッスンを受けたいなら、SkooveとSimply Pianoには段階的なコースがあり、楽譜の読み方もきちんと教えてくれます。音符が落ちてくるアプリでは扱わないスケールやテクニックも練習でき、マイクで演奏を聴き取ります。楽譜を読めるようになりたい人にも向いています。Anything Pianoを含め、ピアノロールを使うアプリでは楽譜の読み方は学べません。曲を自由に選ぶ代わりに、順序立てて学ぶ形です。Simply Pianoの代替アプリでも、こうしたアプリを詳しく紹介しています。
Piano Marvel:先生と一緒に学んでいる人に
Piano MarvelにはSynthesiaと同じくMIDIが必要です。そのうえで、段階的に学べる教本、初見演奏の評価、先生が指導に使える進捗レポートがあります。レッスンを本格的に続けている人には、次に使うアプリの候補になります。一方、金曜日までにゲームのテーマ曲を弾きたいだけなら、機能が多すぎるかもしれません。
選び方
- MIDIファイルもMIDIキーボードも用意せず、落ちてくる音符で練習したい: Anything Piano。録音から音符を作り、マイク、Bluetooth MIDI、USB MIDIに対応しています。
- 今のデスクトップ環境でSynthesiaを使い続け、曲だけ追加したい: Songscriptionで録音から足りないMIDIファイルを作ります。作ったファイルはSynthesiaに直接読み込めます。
- Androidを使っている: Anything Pianoのウェイトリストが利用できるようになるまでは、flowkeyかSkooveを選びます。
- スケールや段階的なテクニック練習をしたい: SkooveまたはPiano Marvel。Synthesiaを含め、音符が落ちてくるアプリには基礎練習がありません。
- 印刷できる楽譜が欲しい: 練習に使うアプリとあわせてSongscriptionを使います。
Synthesiaの代わりに限らず、ピアノ学習アプリ全体を比べたい人には、おすすめのピアノ学習アプリの記事もあります。MIDIキーボードなしでピアノを学ぶ方法では、アコースティックピアノを使う方法を詳しく紹介しています。
よくある質問
Synthesiaの代わりに使うなら、どのアプリがおすすめですか?
Anything Pianoです。録音からピアノパートを作るので、MIDIファイルを探す必要がありません。Bluetooth MIDIとUSB MIDIに加えてマイク入力にも対応し、アコースティックピアノでも演奏のフィードバックを受けられます。楽譜から学びたい人、Androidを使っている人、段階的にテクニックを練習したい人には、flowkeyやSkooveがおすすめです。
MIDIキーボードがなくてもSynthesiaを使えますか?
どのピアノでも、落ちてくる音符を見ながら一緒に弾けます。ただし、MIDIキーボードがなければ、Synthesiaは何を弾いたか認識しません。音符はMIDI経由でのみ検出し、マイクでは音を聴き取らないためです。採点、待機モード、演奏の正確さについてのフィードバックには、USBまたはBluetoothで接続したMIDI対応楽器が必要です。
Synthesiaにない曲のMIDIファイルはどうやって手に入れますか?
フォーラムでファイルを探す代わりに、録音を変換する方法があります。探しているファイルが存在するとは限りません。Songscriptionなら音声ファイルやYouTubeのリンクからMIDIを作れます。作ったMIDIはSynthesiaに直接読み込めます。一般的なMIDIアーカイブには見つかりにくいカバーやライブ録音、あまり知られていない曲にも使えます。
アコースティックピアノで使えるSynthesiaのようなアプリはありますか?
Anything Pianoは、同じように落ちてくる音符を表示し、端末のマイクで演奏を聴き取ります。アップライトやグランドピアノで正しい音を弾けたかどうかを、ケーブルなしで判定します。必要なときはMIDIキーボードも使えます。flowkey、Skoove、Simply Piano、Yousicianもマイクで音を検出しますが、4つとも練習できるのは用意された曲に限られます。
最後に
Synthesiaは、落ちてくる音符を見ながら学ぶ方法を、初めて本格的な選択肢にしたツールとして広まりました。「音符を合わせるだけでは本当の音楽の力は身につかない」という批判も今なおありますが、Synthesiaに助けられた人たちにとっては、少し不公平な言い方です。Synthesiaで最初の曲を覚え、その後きちんと楽譜を読めるようになった人もたくさんいます。今は、誰かが作ったファイルを用意しなくても、この形式で練習できるようになりました。
20年間、落ちてくる音符で何を学べるかは、MIDIアーカイブにある曲に左右されてきました。ピアノと一緒に身につくのは、ファイルを発掘する技術です。どのフォーラムで誰が作ったファイルなのか、6つあるバージョンのうち、カバーのMIDIをさらにMIDIにしたものではないのはどれかを調べます。音声を直接読み取るモデルを使えば、この作業は丸ごと不要です。弾きたい曲を誰かが打ち込んだかどうかを調べる必要はありません。録音さえあれば使えます。