この記事は、音源の採譜と楽譜作成におすすめのツールガイドの一部です。
MP3を楽譜にするには、SongscriptionなどのAI採譜ツールにオーディオをアップロードします。音符が検出され、1〜2分で編集できる楽譜、MIDI、PDFが出力されます。仕上がりを大きく左右するのは、元の音源です。楽器が一つだけの録音や、ステム分離でパートを取り出した録音なら、音が重なり合ったミックスより、ずっと読みやすい楽譜になります。できれば、採譜したいパートを先に分離してください。
変換はほぼ自動で進みますが、音源に合わない手順を選ぶと、修正に1時間もかかってしまいます。元の音源からうまく採譜できないときも、音源の準備や変換後の修正で改善できます。
MP3が楽譜になるまでの仕組み
変換はいくつかの段階に分かれます。まず、モデルがオーディオを解析し、どの音がいつ鳴っているかを識別します。次に、それぞれの音をMIDIデータに変換します。MIDIには、ピッチ、鳴り始める時刻、音の長さ、強さを表すベロシティーが記録されます。最後に、そのMIDIを楽譜にします。この段階では、音のタイミングを拍に合わせて整えるクオンタイズ処理をし、調号を選び、音符を各譜表や声部に振り分けます。
再生して聴いたときの正確さは、主に最初の段階で決まります。楽譜としての見やすさは、主に最後の段階で決まります。どの段階が得意かはツールによって異なります。同じ音源でも、使うツールによって楽譜の仕上がりがはっきり違うのは、そのためでもあります。
採譜に向いている音源
実用的な採譜ツールには、共通して次の傾向があります。
- 楽器が一つだけの録音は、全パートを混ぜた音源より正確に採譜できます。ピアノだけの録音なら、ピアノ、ベース、ドラムが一緒に入った録音より、ずっと読みやすい楽譜になります。
- スタジオ録音は、ライブ録音より正確に採譜できます。部屋の反射音、観客の声や物音、別の楽器の音がマイクに入り込むことは、どれもモデルが音を識別する妨げになります。
- アコースティック楽器は、エフェクトを強くかけた楽器より正確に採譜できます。ギターなら、リバーブやコーラスをかけた音より、エフェクトをかけていない音のほうが識別しやすくなります。
- シンプルなアレンジは、複雑なアレンジより正確に採譜できます。メロディーが一つで伴奏パターンも一つのポップスは、ジャズトリオが自由に即興演奏している音源より採譜しやすいです。
難しい音源でも、採譜できないわけではありません。ただ、修正は増えます。作業時間にはその分を見込んでおいてください。
音源の準備から仕上げまでの手順
手順1:採譜に合った音源を選ぶ
採譜したいパートのステムや、そのパートだけを演奏した録音があれば、それを使います。全パートが入ったミックスしかなく、目的のパートがほかの音に埋もれているなら、先にステム分離ツールで音源を分けてください。MoisesやLALAL.AIのほか、ステム分離機能のあるDAWも使えます。分離したオーディオを、そのまま採譜ツールに読み込ませます。ひと手間増えますが、できあがる楽譜の精度は大きく上がります。
手順2:音源を採譜する
Songscriptionなどのツールにオーディオをアップロードします。一般的な曲なら、通常は1〜2分で処理が終わります。楽譜とMIDIの両方が出力されます。Songscriptionのように、元の音源と同期したピアノロールで結果を確認できるツールもあります。採譜の間違いを見つけるには、この表示がいちばん役に立ちます。
手順3:元の音源と照らし合わせる
音源がきれいでも、モデルは間違えます。ベース音のオクターブが違ったり、コードの中に一つだけ違う音が入ったり、伸ばす音が途中で切れたりします。書き出す前の確認は省かないでください。
採譜結果を見ながら、元の音源を聴きます。音源と合わないところは、たいてい数秒も聴けば分かります。間違いは、書き出す前にツールのエディターで直します。
手順4:書き出して仕上げる
次の作業に合った形式で書き出します。印刷するだけならPDF、MuseScoreなどの楽譜編集ソフトで仕上げるならMusicXML、DAWに取り込むならMIDIを選びます。多くの場合、楽譜編集ソフトで一度は見直したほうが仕上がりがよくなります。組段の区切り位置や強弱記号、アーティキュレーションなどの細かな調整は、音源から自動で読み取るより、手で加えるほうが簡単です。
よくある問題と直し方
音のオクターブが違う
ベース音でよく起きる間違いです。低い音域で、モデルが1オクターブ取り違えることがあります。エディターで該当する音符を選び、正しいオクターブへ移せば直せます。曲全体で同じようなオクターブの間違いが続くなら、元の音源のEQによる音のバランスが、モデルの想定と合っていないのかもしれません。別の音源を使ってみてください。
録音にない音が入っている
余分な音符は、背景のノイズやリバーブの余韻、伸ばした音の倍音を、モデルが別の音として拾ったときによく生じます。まずは、よく聴いて確かめてください。間違いに見えた音が、実際には録音に小さく入っていて、聴き逃していただけのこともあります。録音にない音なら、その音符を削除します。
調号が違う
ほとんどのツールは調号を自動で検出します。検出を間違えると、本来は調号に含まれるはずのシャープやフラットが、臨時記号としてあちこちに付きます。楽譜編集ソフトで調号を変えれば、たいていは臨時記号も自動で整理されます。
リズムの書き方が読みにくい
MIDIから楽譜への変換で難しいのが、クオンタイズです。聴くと単純なフレーズでも、楽譜ではタイでつながれた音符や付点のリズム、見慣れない連符が入り組んだ形になることがあります。多くの場合、楽譜を生成する前にクオンタイズの設定を調整すれば改善します。生成後に、楽譜編集ソフトで該当する小節を書き直す方法もあります。
仕上がりと作業時間の目安
MP3から作れる楽譜の質は、大きく上がりました。楽譜への変換に使えるツールがそろった今は、出力後の修正にどれだけ時間がかかるかで、作業全体にかかる時間が決まります。短時間で仕上げるには、質のよい音源と、編集機能が充実したツールを組み合わせます。AIの出力は下書きとして扱い、確認してから仕上げます。
録音状態のよいピアノソロなら、修正を含めて15分足らずで、MP3から印刷できる楽譜まで仕上がります。複雑な曲で全パートが入ったミックスなら、1時間ほどかかることもあります。それでも、わずか3年前に同じ作業にかかっていた時間の何分の一かです。最初から耳コピで曲全体を採譜するのと比べれば、かかる時間は桁違いに短くなっています。
よくある質問
MP3を楽譜にするにはどうすればいいですか?
変換はいくつかの段階に分かれます。まず、モデルがオーディオを解析し、どの音がいつ鳴っているかを識別します。次に、その音をMIDIデータに変換します。最後に、音のタイミングを拍に合わせて整え、調号を選び、各音を譜表に振り分けて楽譜にします。Songscriptionなどのツールにオーディオをアップロードすると、1〜2分で処理されます。書き出す前に、元の音源と照らし合わせて結果を確認してください。
採譜に向いている音源はどんなものですか?
楽器が一つだけの録音は、全パートを混ぜた音源より正確に採譜できます。同じように、ライブ録音よりスタジオ録音、エフェクトを強くかけた楽器よりアコースティック楽器、複雑なアレンジよりシンプルなアレンジのほうが向いています。ピアノだけの録音なら、ピアノ、ベース、ドラムが一緒に入った録音より、ずっと読みやすい楽譜になります。難しい音源でも採譜はできますが、修正に時間がかかるので、その分を見込んでおいてください。
MP3に全パートが入っているときはどうすればいいですか?
採譜したいパートが全体のミックスに埋もれているなら、先にステム分離ツールで音源を分けます。MoisesやLALAL.AIのほか、ステム分離機能のあるDAWも使えます。分離したオーディオを採譜ツールに読み込ませてください。ひと手間増えますが、できあがる楽譜の精度は大きく上がります。
