チュートリアル採譜Songscription•読むのに約8分

ジャズコンボの録音から楽譜を作る

ジャズコンボの録音には、5人分の演奏が1つのトラックに入っています。Songscriptionでピアノ、サックス、トランペット、ベース、ドラムを別々のパート譜とMIDIトラックに分けたら、それぞれを確認します。管楽器のパート譜やリードシート、ソロの採譜も作れます。

1つの録音から採譜したジャズコンボの楽譜。ピアノ、テナーサックス、トランペット、アップライトベース、ドラムのパートが分かれている。

ジャズコンボの録音を採譜するには、SongscriptionにアップロードしてMulti-Instrumentを選びます。1回の処理で、ピアノ、テナーサックス、トランペット、アップライトベース、ドラムなど、聴き取った楽器ごとにパートを分けた楽譜ができます。楽器ごとにトラックが分かれたマルチトラックMIDIも生成されます。その後、各パートを録音と照らし合わせて確認し、ソロ楽器を単一楽器モードで再処理して、よりきれいな旋律を取り出します。印刷前には管楽器のパートを移調します。

ルーパーで録音を繰り返し聴いて採譜すると、週末を丸ごと使うこともあります。Songscriptionなら、数分で読みやすいパート譜を作れます。スウィングの感じや即興ソロの細かな部分には、最後にジャズを演奏する人の耳が必要です。

ジャズコンボの録音から何が作れる?

Multi-Instrumentに録音を1つアップロードすると、聴き取った楽器ごとに譜表が分かれた全パートの楽譜と、楽器ごとにトラックが分かれたMIDIファイルが生成されます。ピアノは左右の手のパートが大譜表の上下の譜表に分かれて書かれます。コード進行も書き出したいときは、音源からコード記号を検出することもできます。

コンボで使われる楽器に対応しています。鍵盤系ではピアノ、電子ピアノ、オルガン、ビブラフォン、ベースはアップライトベースとエレキベース、金管楽器はトランペットやトロンボーンなどです。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの各サックス、クラリネット、フルート、ギター、歌声、ドラムセットも認識します。歌い手の声は1つのボーカルトラックになります。PDF、MIDIのほか、MuseScore、Sibelius、Finale、Doricoで使えるMusicXMLで書き出せます。

ステップ1:録音を選ぶ

まず、採譜したい曲の中で、できるだけ音が明瞭な録音を選びます。各楽器のバランスが整ったスタジオ録音のほうが、クラブの後方からスマートフォンで撮った動画より採譜しやすくなります。同じ音域の管楽器が3本入ったセプテットより、カルテットのほうがきれいに採譜できます。MP3、WAV、FLAC、AAC、M4Aの音声ファイルや動画をアップロードするか、YouTube、TikTok、Instagramのリンクを貼り付けてください。

ライブ録音も使えます。Songscriptionはライブのミックス全体を直接読み込むので、事前にステムを分離する必要はありません。長いコンサートの録音が聴き取りにくいときは、最も音が明瞭なコーラスを切り出します。テーマや、会場が静かなピアノソロが使いやすいこともあります。ライブ録音の採譜に適したツールでは、ライブ音源について詳しく紹介しています。

最初は30秒の抜粋で試してみてください。無料プランではちょうど30秒まで、カード登録不要の14日間トライアルでは曲全体を採譜できます。

ステップ2:Multi-Instrumentで採譜する

楽器を選ぶ画面でMulti-Instrumentを選び、処理を始めます。完了したら再生速度を落とし、楽譜と録音を再生しながら、楽器を1つずつ追っていきます。できた楽譜は下書きとして使い、各パートを確認してください。

バンドの低音側から順に確認すると進めやすくなります。ベースとドラムは曲の構成と拍の土台です。この2つが合っていれば、ほかのパートも確認しやすくなります。

各パートで確認するところ

コンボの楽器には、それぞれ間違いが出やすいところがあります。ベースの音とオクターブ、ピアノのボイシング、一緒に動く管楽器の旋律、ドラムのグルーヴの順に聴いてみてください。修正はエディターの楽譜表示やピアノロールでできます。エディターのアシスタントAnnieに、ベースラインを1オクターブ下げる、1番括弧と2番括弧のあるリピートを追加するなど、言葉で変更を頼むこともできます。

パートSongscriptionが作るもの確認するところ
アップライトベース専用の譜表とMIDIトラックに入ったベースパートオクターブ、キックドラムと重なる音、半音で次の音に向かう経過音
ピアノ左右の手を分けた大譜表音が密集したボイシングの内声、伴奏のリズム
管楽器聴き取ったサックス、トランペット、トロンボーンごとのパートユニゾンやハーモニーで吹くテーマ、同じ音域の管楽器間で取り違えられた音
ドラムドラムセットのパートライドのパターン、2拍目と4拍目のハイハット、フィルが入る位置

ウォーキングベース

ウォーキングベースは採譜した楽譜の土台になるので、最初に確認します。ウォーキングベースは主に4分音符で進むため読みやすい一方、アップライトベースは音が低く、キックドラムやピアノの左手と混ざって聴こえることがあります。オクターブが違って書かれた音や、次のコードへ半音で向かう経過音を聴き取ってください。こうした経過音がウォーキングベースにジャズらしさを与えます。

ピアノの伴奏

ピアノの伴奏は音が密集しているため、確認に手間がかかります。左右の手は大譜表に書かれ、コード進行も添えれば、曲の伴奏に必要な情報がそれで足りることも多いです。ルートを省いたボイシングや近い音が重なる箇所では、内側の音が抜けることがあります。書かれたボイシングをコード進行と照らし合わせ、耳でも確かめてください。ジャズピアノのコードを採譜する方法では、楽譜に書かれたボイシングを確認する方法を詳しく紹介しています。

管楽器のテーマとソロ

管楽器には、テーマとソロの2つの役割があります。テーマは曲の最初と最後に演奏する、あらかじめ作られたメロディです。ふつうはユニゾンかシンプルなハーモニーで演奏します。バンドで最もよく読む部分なので、丁寧に確認してください。サックスとトランペットが同じ音域で近い音を吹くと、片方の音がもう片方の譜表に入ることがあります。そのときはエディターで音を移します。ソロは次のステップで確認します。

ドラムのライドとハイハット

ジャズのドラムパートでは、ライドシンバルのパターン、2拍目と4拍目のハイハット、フィルやキックが入る位置を押さえます。そこを録音と照らし合わせ、残りは大まかにしておきます。多くのジャズドラマーは、スネアの伴奏音を一つひとつ読むより、曲の構成や決めの位置を楽譜で確認します。録音をそのまま細かく書くより、整理して簡略化したドラムパートのほうが使いやすいことが多いです。

ソロをできるだけきれいに採譜する

ソロ楽器を単一楽器モードでもう一度処理します。サックス、トランペット、フルート、ピアノ、ギター、ベース、コントラバスから選ぶと、モデルはバンドのほかの音を除き、選んだ楽器だけを聴き取ります。1回で全パートを採譜したときよりソロがきれいに書き出されるので、一音ずつ研究したいときに役立ちます。

できたソロは全パートの楽譜の該当パートと差し替えるか、独立した採譜として残します。ジャズソロを採譜する方法では、その後の作業を紹介しています。フレーズをループして歌い、アーティキュレーションや演奏の感じを耳で聴いて書き加える方法です。単一楽器モードはピアノ以外すべてベータ版なので、ソロもコンボの楽譜と同じように一通り確認してください。

B♭管とE♭管のパートを移調する

採譜された楽譜は実音で書かれます。ピアノやベース、全パートをまとめた楽譜にはそのまま使えますが、管楽器の演奏者は移調されたパート譜を読みます。トランペットとテナーサックスはB♭管です。トランペットは実音より長2度高く、テナーサックスは長9度高く記譜します。アルトサックスとバリトンサックスはE♭管で、実音より長6度高く記譜します。バリトンサックスはさらに1オクターブ高く記譜します。

移調はSongscriptionの中でできます。エディターのアシスタントAnnieに「トランペットの譜表を長2度上に移調して」や「アルトサックスの譜表を長6度上に移調して」と頼んでください。テナーサックスなら、長2度上げた後に1オクターブ上げるよう頼みます。Annieは新しい調に合うように臨時記号を異名同音で書き換えることもでき、変更は一つずつ元に戻せます。

実音の楽譜を残し、そこから移調されたパート譜を印刷したいときは、MusicXMLを書き出してMuseScore、Sibelius、Doricoで各譜表の楽器を設定します。印刷前には各パートの調号を確認してください。実音でB♭の曲なら、トランペットではC、アルトサックスではGになります。移調楽器の解説には一覧表があり、アルトサックスとテナーサックス、トランペットの移調手順も紹介しています。

コンボの録音からリードシートを作る

バンドで各パートの楽譜ではなくリードシートを読むなら、Songscriptionで録音からリードシートを作ることもできます。メロディを1つの譜表に書き、その上にコード記号を置いた形式です。多くのジャズミュージシャンがこの形式を見て演奏します。出版された楽譜がない曲をレパートリーに加えたいときにも、手早く用意できます。

特定のベースラインや管楽器のソリ、ドラムの決めなど、実際に演奏されたパートが欲しいときは、コンボの全パートを含む楽譜を使います。曲のメロディとコード進行だけを押さえ、残りを即興で演奏するならリードシートを使います。

演奏者の耳で確認するところ

スウィングの感じ、アーティキュレーション、即興の細かな部分は、ジャズを演奏する人が確認します。採譜では音と読みやすいリズムが得られますが、8分音符をどれくらい後ろに置くか、どこにゴーストノートを入れるか、ベンドが意図されたものかまでは決まりません。演奏のスタイルに関わる部分は耳で判断します。

ジャズの楽譜では、8分音符を均等に書き、スウィングの指示を添えるのが一般的です。細かいリズムがどう書かれたかを確認し、実際の音より複雑に見えるフレーズは簡略化してください。コード記号も確認しておきます。同じボイシングに2つの名前が付くこともあるので、曲のハーモニーに合うほうを選びます。最初から耳で採譜し直す必要はありません。Songscriptionが音符を書き出す作業の大部分を担うので、ジャズらしい表現の判断に耳を使えます。

よくある質問

ジャズアンサンブルの録音から、楽器ごとのパート譜を作るにはどうすればよいですか?

録音をSongscriptionにアップロードし、Multi-Instrumentを選びます。ピアノ、サックス、トランペット、アップライトベース、ドラムなど、聴き取った楽器ごとにパートが分かれた楽譜と、マルチトラックMIDIが生成されます。エディターで各パートを録音と照らし合わせて確認してください。ソロをよりきれいに採譜するには、単一楽器モードでソロ楽器をもう一度処理します。PDF、MusicXML、MIDIで書き出せます。

ジャズコンボの楽器ごとにMIDIトラックを分けられますか?

はい。Multi-Instrumentは聴き取った楽器ごとにMIDIトラックを作るので、DAWでもピアノ、管楽器、ベース、ドラムが別々のトラックに入ります。楽譜に書かれたパートに沿うMIDIと、演奏の自由なタイミングやベロシティーを残した採譜直後のMIDIをダウンロードできます。後者のほうがバンドの演奏の雰囲気をより多く残せます。

AIでジャズのライブ録音を採譜できますか?

はい。Songscriptionはライブのミックス全体をそのまま読み込むので、ステムに分離する手順は要りません。ファイルでもYouTubeのリンクでも使えます。音が明瞭なライン録音や、各楽器のバランスがよいクラブ録音なら、よりよい結果が得られます。観客の声や強いリバーブ、同じ音域に楽器が重なる箇所があると修正が増えます。長いライブ録音が聴き取りにくいときは、最も音が明瞭なコーラスを切り出してください。

スウィングの感じや即興演奏も採譜されますか?

即興ソロを含め、演奏された音とリズムを読みやすい楽譜にします。スウィングの感じやゴーストノート、スクープ、リズムセクションのゆったりしたノリは、ジャズを演奏する人が耳で確認し、書き足す部分です。Songscriptionが音符を書き出す作業の大部分を担い、演奏のスタイルに関わる判断は人がします。

採譜した楽譜からB♭トランペットとE♭アルトサックスのパート譜を作るにはどうすればよいですか?

実音で採譜してから、各管楽器のパートを演奏者用に移調します。トランペット、テナーサックス、クラリネットは実音より長2度高く記譜し、テナーサックスはさらに1オクターブ高く記譜します。アルトサックスは長6度高く記譜します。エディターのアシスタントAnnieに各管楽器の譜表をそれぞれの音程で移調するよう頼み、印刷前に調号を確認してください。MusicXMLを書き出して、MuseScore、Sibelius、Doricoで各楽器を設定する方法もあります。

最後に

コンボの演奏を耳で採譜するのは、ジャズを学ぶ過程で多くの人が通る道です。自分で弾けるようになりたいソロなら、今も取り組む価値があります。一方、バンド用のパート譜を用意するときや、出版されていない曲の楽譜を作るとき、リズムセクションの組み合わせを研究するときは、全パートを採譜した楽譜から始めるほうが時間を有効に使えます。各パートが一度に手に入り、必要なところを耳で確かめられます。

Multi-Instrumentでバンド全体を採譜したら、単一楽器モードでソロを再処理し、各パートを確認します。最後に管楽器のパートを移調します。バンドで演奏したい曲があれば、Multi-Instrumentでコンボを採譜できます。

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音楽を演奏する人が、演奏する人のために作っています

Songscriptionは、どんな録音も楽譜、MIDI、タブ譜に変換します。この記事を書いているのは、自分たちが欲しかった道具を作っているミュージシャンとエンジニアです。音符には真剣ですが、ダジャレにはもっと真剣です。ときどき滑っても、どうか大目に見てください。

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