音楽の採譜ツールを比較したガイドの関連記事です。
手元のMP3を楽譜にするのは、以前よりも手軽になりました。今はAIで採譜するツールがいくつもあります。ファイルをアップロードすると、AIが音の高さとリズムを聴き取り、下書きの楽譜を作ります。できあがった楽譜を確認し、間違ったところを直してから書き出す、という流れです。変換自体はすぐに終わりますが、手がかかるのはその後の修正です。これは、ここで取り上げるどのツールにも共通します。
具体的な操作手順は、MP3を楽譜に変換するガイドにまとめています。Songscriptionを最初に載せているのは、私たちPlay Anythingが開発している製品だからです。他のツールのほうが優れている点も含め、用途に合わせて選べるように比較しました。
比較表
| ツール | 動作環境 | 書き出し形式 | 無料で使える範囲 |
|---|---|---|---|
| Songscription | ウェブ | PDF、MIDI、MusicXML、Guitar Pro | 30秒の音源の採譜 |
| AnthemScore | デスクトップ | PDF、MusicXML、MIDI | 30日間の試用 |
| Klangio | ウェブ、DAWプラグイン、API | PDF、MIDI、MusicXML、Guitar Pro | 約20秒のプレビュー |
| La Touche Musicale | ウェブ | PDF、MIDI、MusicXML | 約30秒のプレビュー |
| Melody Scanner | ウェブ | PDF、MIDI、MusicXML | 一部機能は無料、アップロードには課金が必要 |
各ツールの特徴
Songscription
Songscriptionはブラウザで使えます。MP3、WAV、M4A、MP4、MIDIファイルを取り込むほか、YouTube、Instagram、TikTokのリンクを貼り付けたり、マイクで録音したりできます。一度のアップロードで楽譜を作り、PDF、MIDI、MusicXML、Guitar Proの各形式に書き出せます。採譜とあわせてコードも検出します。特に仕上がりがよいのはピアノです。演奏をそのまま採譜する方法と、ピアノカバー用にアレンジする方法があります。ギターやベースなど、後から対応した楽器もいくつかあります。歌声の採譜はまだ実験段階です。
複数の楽器が入ったMP3から、一つの楽器を選んでそのパートを採譜できます。複数楽器モードを選ぶと、バンドやアンサンブルの録音を一度に採譜し、楽器ごとにパートを分けられます。対象は鍵盤、ギター、ベースのほか、弦楽器、金管楽器、木管楽器、シンセ、歌声、ドラムです。無料プランでは30秒の音源を無料で採譜でき、有料プランも試せます。PlusとProでは、月に採譜できる時間と1曲あたりの時間の上限が増えます。音声を楽譜に変換するページから始められます。
AnthemScore
AnthemScoreはLunaverusが開発する、Windows、Mac、Linux向けのデスクトップソフトです。オフラインで動くので、MP3を外部に送らず、パソコン内で処理できます。サブスクリプションではなく、買い切りです。ピアノソロや楽器だけの音源を得意とし、PDF、MusicXML、MIDIに書き出せます。ただし、ギターのTAB譜とドラムには対応していません。ウェブ版やモバイル版もありません。試用期間は30日間ですが、1曲のうち処理できる長さは短く制限されています。SongscriptionとAnthemScoreの比較で、違いを詳しく取り上げています。
Klangio
Klangioには、楽器ごとのアプリであるPiano2Notes、Guitar2Tabs、Drum2Notes、Sing2Notesに加え、Transcription Studio、DAWプラグイン、APIがあります。ウェブとモバイルで使え、PDF、MIDI、MusicXML、Guitar Proに書き出せます。料金はチケットを消費するサブスクリプション制で、無料プレビューは約20秒です。DAWで作業しながら採譜したい場合や、自作のソフトに採譜を組み込みたい場合には、KlangioのDAWプラグインやAPIが役立ちます。一方、用途別にアプリが分かれているので、採譜のたびにどれを使うか選ぶ必要があります。チケットの残数にも気を配らなければなりません。音の多い録音や複雑な音源では、採譜後の修正が必要です。無料プレビューも短いため、料金を払う前に十分に評価するのは難しいです。SongscriptionとKlangioの比較も参考にしてください。
La Touche Musicale
La Touche Musicaleには、PianoConvertや楽器別の変換ツールがあり、ブラウザでMP3をPDF、MIDI、MusicXMLに変換できます。無料で確認できるのは約30秒のプレビューで、全体を変換するにはサブスクリプションが必要です。対応楽器は、ここで紹介している他の多くのツールより少なめです。ピアノロールや細かく編集するための画面もありません。無料で採譜できる時間は短いので、短いフレーズを試しに採譜する用途には向いていますが、それ以上の作業には制限があります。
Melody Scanner
Melody ScannerはKlangioの一般向けアプリです。マイク入力とYouTubeに対応し、一部の機能は無料で使えます。ただし、無料プランでは音声ファイルのアップロードに課金が必要なことが多く、MP3を使うには有料プランが必要になることがあります。手軽に使えて、メロディーをさっと採譜する用途に向いています。MP3ファイルのアップロードが目的なら、使い始める前に、現在の無料プランの制限を確認してください。詳しくはSongscriptionとMelody Scannerの比較にまとめています。
MP3の変換には使えないツール
MuseScoreやFlat.ioは楽譜の編集に向いていますが、音声ファイルの読み込みには対応していません。MP3を渡しても、録音を音符に変換することはできません。先に上の変換ツールで楽譜を作り、MusicXMLで書き出してから、編集ソフトで開いて整えます。音符を手で入力して楽譜を作りたい場合は、オンラインで使える楽譜作成ツールの記事を参考にしてください。
用途に合わせた選び方
- ブラウザで複数の楽器を採譜し、4形式に書き出すならSongscriptionです。MP3を楽譜にする多くの用途に合い、特にピアノに向いています。
- オフラインで使える買い切りのデスクトップソフトならAnthemScoreです。TAB譜やドラムの採譜が必要かどうかを先に確認してください。
- DAWプラグインやAPIが必要ならKlangioです。
- ブラウザで短いフレーズを試しに採譜するならLa Touche Musicaleです。
- メロディーを手軽に採譜するならMelody Scannerです。音声ファイルのアップロードの制限には注意してください。
ほかの候補も比べたい場合は、おすすめの採譜ソフトと無料で使える採譜ソフトの記事も参考にしてください。印刷する楽譜が必要なく、音符のデータだけを使いたい場合は、音声をMIDIに変換するガイドと音楽の書き出し形式の解説で、用途に合う形式を選べます。
よくある質問
MP3を楽譜に変換した後は、どの形式で書き出せばよいですか?
楽譜を印刷したり、演奏する人に渡したりするならPDFが向いています。MuseScore、Sibelius、Doricoなどの楽譜編集ソフトで修正したりパートを足したりするなら、MusicXMLを選びます。DAWに音符のデータを取り込んで曲作りに使うならMIDIです。ギターやベースを採譜してTAB譜を使いたいなら、Guitar Proを選びます。4形式すべてに書き出せるツールもあります。Songscriptionなら、一度のアップロードでこの4形式に書き出せます。
MuseScoreやFlat.ioでMP3を楽譜に変換できますか?
できません。MuseScoreとFlat.ioは楽譜を編集するためのツールです。音符の入力や修正、楽譜のレイアウト調整には向いていますが、MP3を読み込んで音符に変換する機能はありません。音声ファイルを渡すだけでは楽譜になりません。まず変換ツールで楽譜を作り、MusicXMLで書き出します。そのファイルをMuseScoreやFlat.ioで開いて整えてください。採譜と楽譜の編集には、それぞれ別のツールを使います。
バンド全体のMP3を最も正確に採譜できるツールはどれですか?
多くの音が重なるバンド全体のMP3を、完璧に採譜できるツールはありません。Songscriptionの複数楽器モードでは、バンドやアンサンブルのMP3を一度に採譜できます。鍵盤、ギター、ベースのほか、弦楽器、金管楽器、木管楽器、シンセ、歌声、ドラムまで、聴き取れた楽器ごとにパートを分けます。ただし、修正が必要なパートもあります。一つのパートの精度を優先するなら、全体をまとめて採譜するより、楽器を一つずつ採譜するほうが向いています。Songscription、AnthemScore、Klangioはいずれも、音が幾重にも重なる録音より、きれいに分離されたステムや一つの楽器がはっきり聴こえる録音のほうが正確です。一つのパートを分離するか、採譜する対象を絞れれば、精度は大きく上がります。どんな音源でも、できあがった楽譜を確認して直す時間は見込んでおいてください。
MP3を無料で楽譜に変換できるツールはありますか?
無料で使えるのは、たいてい短いプレビューまでです。La Touche Musicaleでは約30秒のプレビューを確認でき、それ以降はサブスクリプションが必要です。Klangioのプレビューは約20秒です。Melody Scannerには無料で使える機能がありますが、無料プランでは音声ファイルのアップロードに課金が必要なことが多いです。Songscriptionでは30秒の音源を無料で採譜でき、有料プランも試せます。曲全体の採譜や制限のない書き出しには、どのツールでも料金がかかると考えてください。