このページは、曲をさまざまな楽器用にアレンジするガイドの一部です。
ピアノ用に書かれていない曲をアレンジするときは、元の曲のどの音をピアノで弾くかを決めます。ポップスには歌、ギター、ベース、ドラムなどのパートがあります。それらを、その曲だと分かる持ち味を残しながら、両手で弾ける形にまとめます。何を残し、何を省き、音が薄くならないようにどう埋めるか。編曲では、こうした選択を重ねていきます。
元の録音を先に採譜しておくと、メロディーやコードを材料にして編曲を始められます。一からすべてを書き起こす手間を減らせます。
採譜と編曲の違い
採譜は、実際に演奏された音をできるだけ忠実に書き留める作業です。編曲は、使う楽器で何を弾くかを決める作業です。同じ意味で使われることもありますが、目的が違います。ピアノの編曲では、音を省いたり、複数のパートをまとめたりして、両手で弾けるように音楽を作り替えます。
採譜が正確な記録なら、編曲は自分なりの工夫を加えた作り替えです。ピアノの編曲も、多くは採譜したものをもとに手を加えていきます。先に採譜してメロディーとハーモニーをそろえ、その材料をどう使うか考えると、作業を進めやすくなります。採譜の形式については、音楽の採譜の種類で紹介しています。
まずメロディーとコードをそろえる
ピアノ編曲の土台は、メロディーとコードの二つです。先にこの二つを押さえると、曲全体の骨組みができます。ほかの音は、その上に足していきます。
メロディーは、口ずさむときに歌う旋律です。多くのピアノアレンジでは右手で弾きます。コードはその下でメロディーを支えるハーモニーで、移り変わるたびにメロディーの響きや表情が変わります。コード進行が分かり、メロディーを弾ければ、たどたどしくても基本的なアレンジを弾き始められます。もともとピアノのパートがない曲でも同じです。
元の録音を先に採譜すると、土台となるメロディーとコードの両方が手に入ります。ピアノ採譜で曲を採譜できます。
左手の伴奏を作る
右手でメロディーを弾くなら、左手はコードをもとに伴奏を作ります。伴奏の弾き方で、アレンジ全体の雰囲気が変わります。よく使うパターンには、次のようなものがあります。
- 拍に合わせて、コードの音をまとめて弾きます。シンプルで、メロディーをしっかり支えられるので、編曲に慣れるまでは基本の形として使えます。少し硬い響きになることもありますが、どの曲にも使える弾き方です。
- コードの音を1音ずつ弾き、決まったパターンを繰り返します。流れるようなピアノらしい響きによく使われる形です。コード以外の音を足さなくても、音の間を埋められます。
- 低音とコードを交互に弾きます。低い位置でルートを弾いてから、残りのコードの音を高い位置で弾きます。ベースラインとリズムがはっきりする形で、フォークやポップスによく使われます。
- アルペジオで広い音域を使います。コードの音を低いほうから高いほうへ、また高いほうから低いほうへと順に弾きます。バラードや、ゆったりと広がりのある響きにしたい曲に合います。
勢いのあるポップスならリズムを出すパターン、やさしいバラードならアルペジオやコードの音を1音ずつ弾くパターンが合います。長いアレンジでは、曲のセクションごとにパターンを変えると、単調になるのを防げます。
両手で無理なく弾ける形にする
楽譜の上では書けても、実際には手が届かない形はあります。編曲を始めたばかりのころは、1人が両手で弾くことや、手が届く範囲に限りがあることを忘れがちです。弾ける形に整えるには、次の点を確かめます。
- 無理なく手が開く幅の目安は、1オクターブほどです。それ以上の幅が必要なコードは、音を一つ省くか、同時に弾かずにずらして弾きます。
- 原曲の音をすべて入れる必要はありません。バンド全体の音を詰め込んで濁らせるより、メロディーがはっきり聴こえるように、伴奏をすっきりさせます。
- 左右の手がぶつからないようにします。メロディーが低い音域に下がるところでは、左手をさらに低い位置へ移すか、伴奏の音数を減らします。
- 休符や音の間も、アレンジの一部です。音を隙間なく詰め込むと、弾く人も聴く人も疲れてしまいます。
録音全体を採譜したものから始めたなら、この段階では主に音を減らしていきます。音が密集したところを整理し、ほかの楽器のパートを省き、残った音を両手で弾ける形に整えます。コードの音の配置を決めるボイシングや、コード同士を滑らかにつなぐ方法は、初めてのピアノ編曲で詳しく扱っています。
音を減らしてから組み直す考え方は、弦楽器セクションや合唱など、ほかの編成に編曲するときにも使えます。
AIで下準備を進める
原曲の音やコードを一つひとつ聴き取る作業には時間がかかります。AIを使うと、この下準備を短縮できます。Songscriptionは録音を採譜し、そこからピアノで弾けるアレンジを生成できます。生成したアレンジを、選んだ難易度に合わせて簡単にすることもできます。初めて弾く人には簡単なアレンジを渡し、音数の多いアレンジは後で弾くために残しておけます。難易度の調整については、楽譜の難易度を変える機能で紹介しています。
伴奏の弾き方、どの音を省くか、コードの音をどう配置するか、どこに間を置くかは、弾く人が決めます。こうした選択を重ねて、音を正確に再現したアレンジに、自分なりの表情を加えていきます。生成したアレンジを下書きにして、ピアノロールエディターで手を加えてください。ピアノアレンジ生成から、アレンジを作れます。
書き出して仕上げる
思いどおりに弾ける形になったら、アレンジを書き出します。譜面台に置くためにきれいに印刷したいならPDFが使えます。運指を書き込んだり、楽譜の見た目を細かく整えたりしたいなら、MusicXMLでMuseScoreなどの楽譜作成ソフトに渡せます。DAWで使うならMIDIです。次に何をするかに合わせた形式の選び方は、音楽の書き出し形式にまとめています。
よくある質問
曲をピアノ用にアレンジするには、どうすればいいですか?
まず、メロディーとコードをそろえます。右手でメロディーを弾き、左手はコードをもとに伴奏を作ります。コードの音をまとめて弾く、1音ずつ弾く、低音とコードを交互に弾くなど、曲に合うパターンを選びます。そのうえで、1人が両手で無理なく弾ける形に調整し、音が多すぎるところを整理します。元の録音を採譜すれば、土台になるメロディーとハーモニーを用意できます。
採譜と編曲はどう違いますか?
採譜は、実際に演奏された音をできるだけ忠実に書き留めることです。編曲は、使う楽器で何を弾くかを決めることです。ピアノなら、音を省いたり、複数のパートをまとめたりして、両手で弾ける形に作り替えます。採譜は正確な記録、編曲は自分なりの工夫を加えた作り替えです。ピアノの編曲も、多くは採譜したものをもとに手を加えていきます。
ピアノ用に編曲するには、楽譜を読める必要がありますか?
楽譜を読めると役立ちますが、始めるための必須条件ではありません。耳で音を探しながら、鍵盤でコードや左手の伴奏パターンを考えても編曲できます。楽譜の読み書きができると、構成を考えたり、細部を直したり、人に渡したりする作業がずっと楽になります。録音から編集できる楽譜を作るツールを使えば、すべてを一から書かずに、グリッド上の音符を調整しながら編曲できます。
AIで曲をピアノ用にアレンジできますか?
AIで編曲の土台を用意できますが、それで完成というわけではありません。Songscriptionは録音を採譜し、そこからピアノで弾けるアレンジを生成できます。そのアレンジを、選んだ難易度に合わせて簡単にすることもできます。自分らしいアレンジにするには、伴奏をどんな弾き方にするか、何を省くか、コードの音をどう配置するかを、弾く人が決めます。
