この記事は、演奏する人のためのSuno総合ガイドの一部です。
数行入力して生成ボタンを押したら、気に入る曲ができました。最初の十数回は、魔法のように感じるものです。でも、その先に進もうとすると手が止まります。自分ではまだ弾けず、権利が誰にあるのかもはっきりしません。手元にあるのは、パートごとに開けない1本の音声ファイルです。生成履歴に埋もれさせず、演奏や制作につなげるには、ここからいくつか作業が必要です。
まず、手元にあるものを確かめる
手元にあるのは、完成したステレオ音源です。ステムや楽譜、コード表は付いていません。法律上、自分が権利を持つ楽曲だとも言い切れません。曲を覚える、演奏する、リリースする、生の楽器を重ねるといった作業の多くは、この1本の音声ファイルから各パートを取り出すところから始まります。曲の完成形は聴けても、そこに至る音の組み立ては見えないからです。その組み立ては、かなりの部分まで読み解けます。
曲をどう使いたいか決める
次にすることは、曲をどう使いたいかで変わります。主な目的は4つです。
- 誰かに聴いてもらいたい。 ほぼ準備はできています。ただし、商用利用については後で説明する注意点があります。
- 自分で弾けるようになりたい。 音を目で確かめられる形にする必要があります。楽譜と、再生速度を落とせるピアノロールがあると便利です。
- ほかの人に演奏してもらいたい。 渡して読んでもらえるパート譜やコード譜が必要です。テンポやキーも、実際に演奏する人に合うものにします。
- リリースしたい、本格的に作り込みたい。 編集できるパートが必要です。自分が権利を持てる範囲と、持てない範囲も把握しておきます。
最初の目的なら、これ以上の作業は必要ありません。残りの3つは、どれも音源に入っている音を編集できる形に取り出す必要があります。
音源から各パートを取り出す
取り出すものには、混同しやすい二つの種類があります。ステムは、ボーカルだけ、ドラムだけというように分離した音声トラックです。音をデータや楽譜で表したものには、MIDIや、楽譜、リードシートなどがあります。ステムはパートに分けても音声のままです。楽譜なら、読んで演奏できます。
Sunoの有料プランでは曲をステムに分離でき、Premierで使えるSuno StudioではステムをMIDIに変換できます。パートをDAWに入れて制作したい人には便利な機能です。ただし、思い描いたものがそのまま出てくるとは限りません。MIDIにあるのはグリッド上の音だけで、コード名や楽譜、サビの位置を示す情報はありません。変換にはステムごとにクレジットがかかります。レビューでも、コードが簡略化され、リズムも大まかにしか合わない下書きだという点で評価が一致しています。
読んで覚えたり、演奏する人に渡したりするなら、音声を書き出して採譜するほうが整った形になります。Songscriptionにファイルをアップロードして楽器を選ぶと、楽譜、ピアノロール、検出されたコードを確認できます。MIDI、MusicXML、PDF、Guitar Proへの書き出しもワンクリックです。ブラウザで一度アップロードすれば、ここまで進められます。楽器を一つ選ぶと、そのパートをできるだけきれいに取り出せます。Multi-Instrumentを選ぶと、すべてのパートを一度に採譜できます。鍵盤、ギター、ベースから弦楽器、金管楽器、木管楽器、シンセ、歌声、ドラムまで、聴き取った楽器ごとにパートが分かれます。複数の譜表にまとめた楽譜と、DAWで使えるマルチトラックMIDIを受け取れます。どちらを選んでも、音を目で確かめて修正できる形になります。詳しい手順は、Sunoの曲を楽譜にする方法で説明しています。
利用する権利と、著作権の違い
曲を使うときには、Sunoの規約で認められる利用の権利と、著作権法に基づいて権利を持ち、作品を保護できるかを分けて考える必要があります。
Sunoの無料プランで作った曲は、個人的かつ非商用の利用に限られ、クレジット表記も求められます。後から有料プランに変更しても、無料で作った曲にさかのぼって商用利用の権利が付くわけではありません。有料のProとPremierでは、契約中に作った曲を商用利用する権利が認められます。Sunoは2025年にWarner Musicと和解した後、この部分の文言を改めました。権利を全面的に譲るというより、商用利用を許諾する内容になっています。生成物に著作権が発生する保証はないことも明記しています。
著作権について、米国著作権局は、プロンプトからAIだけが生成した作品には人間の著作者がいないため、登録できないという見解を示しています。連邦裁判所もこの見解を支持し、2026年に至るまで維持しています。登録の対象になりうるのは、自作の歌詞、自分で録音した演奏、素材に創作性を加えた編曲や編集など、人間が創作した部分です。AI生成の部分は、登録で保護を求める対象から除外する必要があります。プロンプトは指示として扱われ、著作者による創作とは認められません。曲の権利を自分で持ちたいなら、実際に音楽へ手を加える必要があります。そのためにも、音声だけの状態から、作り直せる形にしておくと役立ちます。登録については、自作曲の著作権を登録する方法で詳しく説明しています。
曲を仕上げるまでの現実的な流れ
まず、気に入るバージョンができるまで生成し、音声をダウンロードします。使いたいパートを楽譜とMIDIに起こしたら、元の音源と照らし合わせて、明らかな間違いを直します。コード、メロディー、曲の構成が目で分かるようになるので、演奏を覚えたり、演奏するメンバーに合わせて編曲したり、バンド用のパート譜を印刷したりできます。
自分が権利を持つ作品としてリリースしたいなら、この段階で録音し直します。パート譜を見ながら、AIの歌声を自分の歌に置き換え、ギターのフレーズを実際に弾き、狙いに合わせて編曲を作り直せます。プロンプトから始まった曲に、自分の演奏と編曲が加わります。生成した音源は、その完成版を作るためのデモとして使えます。
よくある質問
Sunoで作った曲は自分のものになりますか?
利用しているプランによります。ただし、曲を自分のものとして扱えることと、著作権が認められることは別です。無料プランで作った曲は、後から有料プランに変更しても、個人的かつ非商用の利用に限られます。ProとPremierでは、契約中に作った曲を商用利用する権利が認められます。一方、Sunoは、生成物に著作権が発生する保証はないと明記しています。米国法では、AIだけが生成した曲には人間の著作者がいないため、そのままでは著作権登録ができません。著作権を持ち、作品を登録するには、通常、自作の歌詞、自分で録音した演奏、創作性のある編曲など、人間による創作を加える必要があります。
Sunoの曲から各パートやMIDIを取り出すにはどうすればよいですか?
Sunoの有料プランでは、曲をステムに分離できます。Premierで使えるSuno Studioでは、ステムごとにクレジットを使ってMIDIに変換することもできます。このMIDIはDAWで使うには便利ですが、コード情報も楽譜もなく、音が込み合った部分は簡略化されるため、大まかな下書きとして考えるのがよいです。読みやすく整った楽譜が欲しいときは、音声を書き出して専用ツールで採譜します。楽譜、MIDI、MusicXMLと、編集できるピアノロールが得られます。楽器を一つずつ採譜する方法も、Multi-Instrumentですべてのパートをまとめて採譜し、マルチトラックMIDIとして取り出す方法もあります。
Sunoで作った曲をSpotifyなどの音楽配信サービスでリリースできますか?
Sunoの有料プランで作った曲なら、通常は配信に必要な商用利用の権利が認められます。ただし、Sunoの現行規約に従う必要があります。規約は、2025年にレコード会社との和解が成立してから厳しくなっています。より難しいのは著作権の問題です。生成された音源には人間の著作者がいないため、そのままでは著作権登録ができず、コピーされたときに権利を主張する根拠も弱くなります。本格的にリリースを目指す人の多くは、実際の演奏で録音し直すか、編曲を作り直しています。人間が創作した作品として保護できる形にするためです。
Sunoで気に入った曲ができたら、どうするのがおすすめですか?
アプリから曲を取り出して、手を加えられる形にします。楽譜とMIDIに起こせば、コードを確かめ、曲の弾き方を覚え、ほかの人にパート譜を渡せます。そこから演奏したり、生の楽器で録音し直したり、自分が権利を持つ編曲の土台にしたりできます。生成した音源を下書きにして、自分で形を整え、演奏したものを完成版にします。
生成した曲をパートごとに取り出すなら、音声から楽譜を作るから始められます。作業全体のつながりは、2026年版・AIを使った音楽制作の全手順で読めます。
