2026年は、音楽制作の一つひとつの作業が、これまでになく手軽になりました。一文から曲を丸ごと生成する、録音をパートごとに分ける、オーディオを楽譜にする、再生速度を半分にして曲を覚える。どれもブラウザでできます。それでも、アイデアを実際に演奏できる形まで仕上げるには、手をかける必要があります。それぞれのツールが、次のツールへ自動でデータを渡してくれるわけではないからです。作業が途切れやすいのは、ツール間でデータを受け渡すところです。
5段階で見る制作の流れ
生成ツールで作った曲でも、自分で弾いて思いついた曲でも、流れは同じです。
- アイデアをオーディオとして残します。
- オーディオを保存先のツールから取り出します。
- オーディオを採譜して、楽譜、MIDI、ピアノロールにします。
- 編集とアレンジで、欲しい形に整えます。
- 曲を使います。覚える、演奏する、リリースする、といった目的に合わせて使います。
最初の2段階で、素材となるオーディオを手元に用意します。3段階目の採譜で、その音を音符などの記号に置き換えます。4段階目と5段階目では、それを編集して、練習や演奏などに使える形にしていきます。
第1段階:アイデアをオーディオにする
始め方は二つあります。SunoやUdioなどに文章を入力して曲を生成する方法と、思いついたものを録音する方法です。スマートフォンに向かって鼻歌を歌う、リフを弾く、ピアノで即興演奏をする、といった録音でもかまいません。どちらの方法でも、手元に残るのはオーディオです。演奏の指示を書き並べたものではなく、波形として記録されています。その後の作業では、生成した曲もボイスメモも同じ種類の素材として扱います。アイデアの生まれ方が違っても、ここから先の流れは共通です。形にする前にアイデアを忘れてしまうなら、音楽のアイデアを忘れる前に残す方法で、録音の習慣について読めます。
第2段階:ツールからオーディオを取り出す
自分で録音した場合は、すでにファイルがあるので、この段階は飛ばせます。生成した曲をツールから取り出す方法は、2026年に最も状況が変わったところです。Sunoでは引き続き、有料で使っている人はオーディオをダウンロードできます。曲を書き出せば、次の作業へ進めます。
Udioは2025年後半にUniversal Music Groupと和解した後、ストリーミング専用に移行しました。ほとんどの人は、新しく作った曲をダウンロードできなくなっています。新しい曲はアプリの中にとどまるので、次のツールに渡すファイルを取り出せません。この違いと、目的に合った生成ツールの選び方は、SunoとUdioの比較で詳しく扱っています。書き出せない曲は、次のツールで作業できません。余計な音の入っていないオーディオファイルを手元に用意できたら、第2段階は完了です。
第3段階:オーディオを採譜する
生成ツールから楽譜へ進むには、採譜を挟みます。生成ツールは楽譜を作りません。MIDI書き出しが付いていても、出てくるのはグリッドに音を大まかに並べたもので、コードや読みやすい構成はありません。曲を楽譜で読み、編集して演奏するには、オーディオから音を拾って楽譜にします。
Songscriptionにファイルをアップロードし、楽器を選びます。Songscriptionはミックスからその楽器のパートを分離し、楽譜、ピアノロール、検出したコードを作ります。PDF、MIDIやMusicXML、Guitar Proへの書き出しもワンクリックです。ここまでブラウザで進められます。
採譜する前に、1パートだけ欲しいのか、すべてのパートが欲しいのかを決めておきます。楽器を一つ選ぶと、Songscriptionはそのパートをできるだけきれいに分離します。複数楽器の採譜を選ぶと、バンドやアンサンブルの録音を一度に採譜します。聴き取った楽器ごとにパートを分け、複数の譜表を使った楽譜と、複数トラックのMIDIを作ります。鍵盤、ギター、ベースのほか、弦楽器、金管楽器、木管楽器、シンセ、歌声、ドラムも対象です。
採譜の結果は、手直しするための下書きだと考えてください。そのまま出版できる完成譜ではありません。音数が少ない録音よりも、音が重なり、加工の多い曲のほうが、直すところは増えます。どの採譜ツールを使っても、採譜の後には編集が必要です。形式ごとの違いや用途は、オーディオからMIDIを作るガイドで詳しく説明しています。
第4段階:編集してアレンジする
音符を編集できる形になったら、ツール間の受け渡しから、曲そのものを整える作業に移ります。採譜した曲を原曲と聴き比べ、AIが聴き違えたところを直します。ピッチが違うところや、細かなリズムが単純化されているところなどです。この修正はピアノロールで進めるのが手早く、採譜の間違いを直すガイドには、よくある間違いをまとめています。
そこから、演奏したい形に整えます。楽器や歌声に合うキーへ移調します。鍵盤のパートなら、左右の手に音を振り分けます。演奏するメンバーに合わせてアレンジし、音が多すぎるところは減らし、薄いところには音を足します。楽譜が欲しい形になったら、次の用途に合う形式で書き出します。読んだり印刷したりするならPDF、別のソフトで編集を続けるならMIDIかMusicXML、タブ譜にはGuitar Proを使います。DAWや楽譜編集ソフトへ移す流れは、採譜を作曲の流れに組み込む方法で確認できます。
第5段階:覚える、演奏する、リリースする
ここから何をするかは、曲を作り始めた目的によって変わります。曲を覚えるなら、楽譜とピアノロールを見ながらさらいます。ピッチを変えずに難しいところの再生速度を落とし、少しずつ元の再生速度へ戻していきます。AIを使ってピアノの曲を早く覚える方法でも、このやり方を紹介しています。演奏するなら、パート譜を印刷してバンドや合唱のメンバーに渡します。ここまで来れば、読んで演奏できる楽譜が手元にあります。
リリースするなら、権利を考える必要があります。文章の指示だけから生成した曲には、人間の著作者がいません。米国では著作権登録ができず、2026年に至るまで、裁判所もこの線引きを維持してきました。自分の演奏で録音し直す、自分で歌詞を書く、創作性のあるアレンジを加えるといった作業で、人による著作物として保護できる形にします。登録時には、AIが生成した部分を保護の対象から除外して申告できます。第3段階で作った楽譜があれば、こうした形で曲を作り直せます。法律と制作の両面については、Sunoの曲を仕上げるガイドで扱っています。
作業が途切れやすいところ
制作が止まるときは、ほとんどが四つのつなぎ目のどこかです。今はUdioからオーディオを取り出しにくいので、生成ツールを制作に使う前に、書き出せるかを確かめます。生成ツール自体のMIDI書き出しは大まかな下書きです。読める楽譜が欲しいなら、採譜専用のツールを通します。音が重なるミックスでは採譜の精度が下がるので、手直しの時間を見込んで、できるだけ余計な音のない素材を用意します。権利の問題を解消するには、人による創作を実際に加える必要があります。該当する段階で少し時間を取り、次に渡せる形まで整えます。
よくある質問
2026年のAI音楽制作は、全体としてどんな流れですか?
大きく5段階です。まず、Sunoなどで曲を生成するか、自分の演奏を録音して、アイデアをオーディオにします。次に、そのオーディオをツールから取り出します。オーディオを採譜して楽譜やMIDI、ピアノロールにすると、音符を編集できるようになります。その後、間違いを直したり、移調したり、演奏するメンバーに合わせてアレンジしたりします。最後に、曲を覚えたり、演奏したり、録音し直してリリースしたりします。それぞれの作業に使えるツールは充実していますが、自動で連携するわけではありません。次のツールに渡せる形に整えるところに手間がかかります。
AI音楽生成ツールから楽譜へつなぐには、何が必要ですか?
採譜です。SunoやUdioなどの生成ツールが出力するのはオーディオで、音符などの記号ではありません。楽譜や、そのまま使えるコード譜も作りません。生成した曲を楽譜で読み、編集して演奏するには、専用のツールでオーディオから楽譜とMIDIを作ります。採譜を挟むと、生成ツールが扱うオーディオを、演奏者や楽譜編集ソフト、DAWが扱える音符のデータに変えられます。
AIを使った音楽制作では、どこで作業が止まりやすいですか?
つまずきやすいところは、ある程度決まっています。Udioはストリーミング専用になり、アプリからオーディオを取り出しにくくなりました。一部の生成ツールにはMIDI書き出しがありますが、出てくるのは大まかな下書きで、そのまま読める楽譜ではありません。音が重なり、加工の多いミックスでは採譜の精度も下がるため、結果を手直しする必要があります。権利の問題も残ります。AIだけで生成した曲は、人による創作を実際に加えなければ、著作権登録ができません。
この流れを使うには、楽譜が読める必要がありますか?
楽譜を読めなくても使えます。ピアノロールは、音符をグリッド上の棒で表します。楽譜の読み方を習っていなくても、音の並びを見て把握できます。採譜した曲を再生したり、ピッチを変えずに再生速度を落としたりして、耳と目の両方で覚えられます。楽譜を読むなら、印刷用の楽譜や、MuseScoreなどの編集ソフト向けの書き出しも使えます。
楽譜を読むかどうかにかかわらず、採譜すればアイデアを手元で扱える形にできます。オーディオから楽譜を作るページから始められます。Sunoで作った曲を使う場合は、Sunoの曲を楽譜にする手順で流れを確認できます。
