音のきれいなピアノのソロ録音をアップロードすると、精度の高い結果が得られます。同じツールにライブのバンド録音を読み込ませると、結果はかなり違うことがあります。この差は、録音の音と、そのAIモデルがどう作られたかという二つの要因から生まれます。
まず精度の目安を知りたいときは、AI採譜の精度について知っておきたいことを読んでみてください。録音を読み取りやすくする音楽上の条件や、同じ音源でもツールによって結果が変わる理由を理解するのに役立ちます。
AIの採譜精度に影響する音楽上の要因
録音には、AIが読み取りやすいものとそうでないものがあります。音源から精度の高い結果が得られるかどうかには、次のような要因が関わります。手順を追って準備したいときは、精度の高いAI採譜を得るためのガイドも参考になります。
標準とは異なるチューニング
多くのAI採譜ツールは、西洋音楽の標準的なチューニングで演奏された音楽を学習しています。全弦を1音下げたギターや、音と音の間隔が異なる伝統音楽などでは、モデルが聞き取った音にぴったり合う音を見つけられず、学習した中で最も近い音に置き換えることがあります。別のチューニングをよく使うなら、アップロード前に音源を標準のチューニングに移調し、出力後に調整すると、より精度の高い結果が得られる傾向があります。
テンポの変化と不安定なタイミング
AIは録音の基礎となる拍を手がかりに、それぞれの音がいつ鳴るかを判断します。演奏のタイミングが揺れていたり、フレーズの途中で自然に速くなったり遅くなったりすると、モデルはより多くのことを判断しなければなりません。たいていは問題なく処理できますが、リズムの揺れが大きい録音では、あとからエディターで軽く修正すれば済むことがほとんどです。
強く加工された音とマイクへの音の回り込み
強く歪ませたギターやエフェクトを多くかけたシンセは、元の音にさまざまな加工が重なるため、AIがピッチを読み取りにくくなることがあります。結果は録音によって大きく変わります。さらに難しいのは、1本のマイクが複数の楽器の音を同時に拾っている場合です。別々のトラックやステムがあるなら、それをアップロードしてください。全体をミックスした録音よりも、採譜しやすくなります。
AIモデル自体も結果を左右する
同じ録音を二つの採譜ツールにかけると、結果が違うことはよくあります。上に挙げた要因はどのモデルにも影響しますが、それぞれにどれだけ対応できるかはツールによってかなり異なります。違いを生むのは、モデルが何を学習したかと、特定の楽器を想定して作られたかの二つです。
モデルが何を学習したか
AI採譜ツールは、大量の既存の音楽から学習します。学習した音楽の範囲が広く、多様であるほど、初めて出会う音源にも対応しやすくなります。多様なスタイルや録音条件で学習したツールは、幅広い音源に対応できます。限られた範囲の音楽で学習したツールは、その範囲内ではよい結果が出ますが、範囲外では精度が落ちます。
ツールが汎用とうたっているときは、この違いを覚えておくと役立ちます。一般的なスタイルには十分対応できるという意味で、あらゆる楽器やジャンルを同じ精度で扱えるとは限りません。扱いたい音楽の種類を学習したツールを使うと、よい結果が得られる傾向があります。
特定の楽器向けに作られたか
特定の楽器に特化したツールは、その楽器について明らかによい結果が出る傾向があります。ピアノ専用に作られたモデルは、ピアノの音や音同士の重なり、サステインのかかり方を学習しています。精度の高い採譜につながる細かな特徴も学んでいます。一方、多くの楽器を扱う汎用ツールは、学習対象のすべての楽器に対応する必要があります。主なツールの違いについては、AI採譜ソフトの比較が参考になります。
どのAI採譜ツールでも結果をよくするには
実際の録音をうまく扱えるように作られたツールなら、アップロードするだけで、たいていはすぐによい結果が得られます。できるだけ精度の高い結果を安定して得たいときは、いくつかの点を押さえておくと役立ちます。
手元にある中で最もよい録音を使います。 非圧縮や可逆圧縮の音声ファイルには、圧縮によって音の情報が失われたファイルよりも、モデルが読み取れる情報が多く含まれます。圧縮ファイルでいつもより修正箇所が多いときは、元の音源に戻って書き出し直すひと手間が役立つこともあります。MP3から楽譜を作るガイドでは、圧縮音声からどの程度の結果を見込めるかを説明しています。
採譜したい楽器のトラックが別にあれば、それをアップロードします。 ピアノのソロパートは、バンド全体の録音に埋もれた同じピアノのパートより、精度の高い結果になります。全体のミックスしかないときは、ステム分離ツールで先に楽器の音を取り出す方法があります。取り出したトラックが完璧でなくても、通常は全体のミックスより採譜に向いています。
汎用ツールより、採譜したい楽器向けのツールを使います。 ピアノに特化したツールは鍵盤パートを得意とし、ギター向けのツールはフレットのある楽器を想定して作られています。採譜する楽器に合ったツールを選ぶと、あとからの修正が少なくなる傾向があります。
完成とする前に、ピアノロールでさっと確認します。 よくできた採譜結果でも、画面で一度見れば、少し直したい箇所をすばやく見つけられます。AI採譜の間違いを直すガイドでは、確認する箇所と修正方法を紹介しています。
Songscriptionはこうした課題にどう対応するか
Songscriptionの複数楽器に対応したAIは、さまざまな実際の録音から、精度が高く、そのまま使える採譜結果を作るように設計されています。特にピアノと旋律楽器を得意としています。録音をアップロードすれば、すぐに作業に使える品質の採譜結果が得られます。
モデルは、さまざまな条件で録られた実際の音源を使って学習しています。部屋の響きや適度な背景ノイズ、実際の音楽に含まれる音の乱れにも対応できます。Songscriptionはギター、ベース、ドラムにも対応しているので、ツールを切り替えずに同じセッションの複数のパートを扱えます。ピアノと旋律楽器では特に精度の高い結果が得られやすく、ギターとベースも精度の高い結果が得られます。ただし、録音によっては、少し修正が必要なこともあります。
変更したいときは、ピアノロールエディターを使います。採譜結果を確認し、元の録音と照らし合わせて再生し、同じ画面で編集できます。多くの演奏者にとって、さっと編集することは採譜の流れの一部です。すべてを一つの画面で見ながら作業できます。
まとめ
AI採譜によって、以前は何時間もかかった難しい作業が、数分でできるようになりました。音のきれいなソロ録音と、音が混み合ったライブ録音の結果に差が出るのには、具体的な理由があります。理由を知っていれば、出力結果を見たときに何が起きたのかを理解しやすく、最初からより精度の高い結果を得るための準備もできます。
ほとんどの録音では、よいツールを使えば、すぐに完成に近い結果が得られます。よりきれいな音源と楽器に合ったツールを使い、結果をさっと確認すれば、通常はそのまま使える状態に仕上がります。
よくある質問
AIの採譜精度に差が出るのはなぜですか?
録音の音とAIモデルの作り方、この二つの組み合わせによって精度に差が出ます。音のきれいなピアノのソロ録音なら精度の高い結果が得られますが、音が混み合ったライブのバンド録音では結果がかなり違うこともあります。標準とは異なるチューニング、不安定なタイミング、強い音の加工、マイクへの他の楽器の音の回り込みなどがあると、録音を読み取りにくくなります。
同じ録音でもツールによって結果が違うのはなぜですか?
モデルが何を学習したか、特定の楽器を想定して作られたかによって変わります。多様なスタイルや録音条件で学習したモデルは、幅広い音源に対応できます。限られた範囲で学習したモデルは、その範囲内ではよい結果が出ますが、範囲外では精度が落ちます。特定の楽器に特化したツールは、その楽器については汎用ツールより明らかによい結果が出る傾向があります。
AI採譜ツールで精度を上げるにはどうすればよいですか?
まず、手元にある中で最もよい録音を使います。非圧縮や可逆圧縮のファイルには、圧縮によって音の情報が失われたファイルよりも、モデルが読み取れる情報が多く含まれます。採譜したい楽器のトラックが別にあれば、それをアップロードしてください。バンド全体の録音に埋もれたパートより、単独のパートのほうが精度の高い結果になります。その楽器向けに作られたツールを使い、完成とする前にピアノロールでさっと確認します。
