チュートリアル採譜Andrew Carlins•読むのに約8分

AI採譜の精度を上げる手順

AI採譜の精度は、アップロード前にほぼ決まります。録音、ファイル形式、楽器の選択、最後の確認。この順に整えると、そのまま使いやすい楽譜になり、手直しも減らせます。

AI採譜の精度を上げるための録音品質、ファイル形式、楽器の選択、最後の確認

AI採譜の精度は、アップロード前にほぼ決まります。元の音の状態が、採譜の結果に表れます。録音や設定の段階でいくつかの点を押さえておくと、仕上がった楽譜が使いやすくなり、大幅な手直しも減らせます。

特に影響が大きいのは録音環境です。その次に影響するのが、ファイル形式、楽器の選択、書き出し前の確認で、おおむねこの順に影響が小さくなります。

明瞭な音を用意する

Songscriptionは、録音状態が万全でなくても採譜できます。ライブ録音やスマートフォンで録った音など、理想的な条件で録音していなくても、使える楽譜を作れます。採譜するために、以下の手順を必ずすべて済ませる必要はありません。作業を進めやすくし、手直しを減らすための工夫です。元の音が明瞭なほど、採譜後の修正は少なくて済みます。どの程度の仕上がりを期待できるかは、楽器ごとのAI採譜の精度を参照してください。採譜の精度に差が出る理由では、結果を左右する要因を詳しく説明しています。

採譜の精度には、ほかのどの条件よりも録音環境が影響します。同じモデルでも、静かな部屋で明瞭に録った音のほうが、騒音や残響の多い場所で録ったよい演奏より、安定して正確に採譜できます。

部屋の音を整える

できるだけ静かな場所で録音してください。エアコン、車の音、パソコンのファンの音も、採譜モデルには入力音として届きます。硬い壁や床で音が反射すると、音の立ち上がりがぼやけます。どこで一つの音が終わり、次の音が始まるのかを見分けにくくなります。カーペットやカーテン、本棚のある部屋なら、専用の吸音対策をしなくても、この問題をかなり抑えられます。

マイクの位置と録音レベル

アコースティック楽器は、音が出る場所にマイクを近づけて録ります。アンプを使う楽器は、部屋の離れた場所から録るより、スピーカーキャビネットにマイクを向けてください。マイクが近いほど、部屋に響いた音に対して、楽器から直接届く音の割合が高くなります。

入力レベルのメーターを見ながら、最も大きな音でもクリッピングが起きる上限を十分に下回るように調整します。クリッピングでデジタルの歪みが生じると、元の音にはない倍音が加わります。モデルはそれを実際に演奏した音と区別できず、余分な音符として採譜してしまいます。本番を通して録る前に、短く試し録りをしてください。

適したファイル形式を選ぶ

Songscriptionには、MP3、WAV、M4Aをアップロードできます。YouTube、Instagram、TikTokのリンクを直接貼り付ける方法もあります。参考にしている音源から採譜するときに便利です。

形式を選べるなら、WAVが適しています。ロスレス形式には、周波数の細かな情報がそのまま残ります。モデルはその情報を使って、近いピッチの音を聞き分け、音が減衰する様子を正確に捉えます。非可逆圧縮では、その一部が失われます。失われた情報は、あとから元に戻せません。

高ビットレートのMP3も、多くの用途で使えます。ただし、ビットレートが低くなると採譜に支障が出ることがあります。アップロード前にファイルを書き出したり変換したりするなら、容量の小ささより音質を優先してください。圧縮済みのファイルを使うときに期待できる結果は、MP3から楽譜を作るガイドで詳しく説明しています。

録音に合った楽器の種類を選ぶ

Songscriptionは、一つの汎用モデルですべてを採譜するのではなく、楽器ごとの採譜モデルを使います。楽器の種類を間違えて選ぶことは、精度が落ちるよくある原因の一つです。設定を確認すれば防げます。ピアノ向けのモデルと、ギターやボーカル向けのモデルでは、同じ音源でも音の捉え方が根本的に異なります。

現在は、ピアノ、ギター、ベース、ボーカルなど、さまざまな楽器に対応しています。アップロード前に、設定が録音の内容と合っているか確認してください。複数の楽器が入った録音では、最も採譜したいパートに合う設定を選びます。聞き取れた楽器ごとに別のパートが必要なら、複数の楽器を採譜する設定を選んでください。モデルは、各パートをミックスした音源で学習しています。通常は楽器を正しく選ぶだけでそのパートを捉えられるので、先に音を分離する必要はありません。

得意な楽器と確認が必要なところを知る

Songscriptionでは、ピアノの採譜モデルを最も長く開発してきました。録音状態や演奏スタイルがさまざまでも、特に安定した結果が出やすい楽器です。ピアノ音源なら、ほかの楽器より手直しが少なくて済む傾向があります。

バイオリン、フルート、トランペット、サックスのように、単音のメロディーを奏でる楽器も精度よく採譜できます。特に、マイクを近づけて録った音源でよい結果が出ます。ギター、ベース、ボーカルも、元の音が明瞭なら安定して採譜できます。少し手を加えるだけで使える下書きになります。

ドラムは、ほかの楽器より確認の時間を多めに見込んでください。打楽器の音を通常の楽譜に書き起こすのは難しい作業ですが、Songscriptionは実際に使えるドラムパートを作れます。メロディーを奏でる楽器に比べて、少し丁寧に結果を見直す必要があります。

書き出す形式を選ぶ

Songscriptionでは、用途に合わせて書き出す形式を選べます。印刷する楽譜にはPDF、音符をDAWに取り込むときや幅広く使えるデータが必要なときにはMIDIが適しています。楽譜編集ソフトで手を加えるならMusicXML、タブ譜ならGuitar Proがおすすめです。書き出したあとに何をするかに合わせて選んでください。

書き出す前に採譜結果を確認する

どの採譜モデルでも、毎回すべてが正確に仕上がるわけではありません。確認では、楽譜の読み方や演奏に影響する間違いから直していきます。考えられる間違いをすべて探し出そうとする必要はありません。

この作業には、ピアノロールを使うと効率的です。採譜結果と元の音源の波形が並んで表示され、両方を同時に再生できます。音が合っていないところをすぐに見つけられます。余分な音符はピアノロール上で直接削除できるので、書き出す前の確認と修正を同じ画面で済ませられます。曲をいくつかの区間に分けて確認するのがおすすめです。

各パートがミックスされた音源を使う

完成した曲を採譜するには、先に楽器ごとのステムに分ける必要があると思うかもしれません。Songscriptionでは、通常はその作業を省けます。モデルは、ほかのパートが鳴っていても、選んだ楽器の音を捉えるように学習しています。多くの完成音源は、そのままアップロードして楽器を選べば、モデルがそのパートを取り出します。エフェクトや音の重なりが多く、目的の楽器が埋もれているときは、事前に音を加工するよりも、その楽器が聞こえやすい区間や、より明瞭な録音に切り替えるほうが効果的です。

特に正確さが求められるとき

自分用のアイデアを書き留めるだけなら、多少の間違いがあっても困らないことが多いです。生徒向けの教材を作る、リードシートを公開する、ほかの演奏者に楽譜を渡すといった用途では、より正確な採譜が必要です。

こうしたときは、内蔵のピアノロールで丁寧に確認してください。採譜結果と元の音源を同時に再生し、書き出す前に、合っていない音を直します。特に、生徒向けの教材を準備する先生に役立つやり方です。生徒向けに曲から楽譜を作るガイドでは、この流れを最初から最後まで紹介しています。楽譜の難易度を自動調整する機能も使えます。楽譜を読む人に合わせて、難易度や記譜の密度を調整します。

採譜後の確認で直すこと

プロが耳で採譜するときも、書いた内容を見直して修正します。AI採譜後に確認が必要でも、それだけでツールの出来が悪いとは判断できません。AIは、ピッチの検出、リズムを拍に合わせて整えるクオンタイズ、楽譜の体裁の調整など、音符を書き込む作業の大部分を自動で進めます。確認では、そこに残った間違いを直します。この分担で、採譜にかかる時間を短くできます。

元の音源を整え、確認するところを絞って見直せば、使える楽譜に安定して仕上げられます。どちらかを省くと、あとから修正する作業が増えがちです。後の段階になるほど、間違いを直すのに手間も時間もかかります。

最後に

AI採譜が進歩しても、仕上がりは元の音の品質に左右されます。明瞭な音源を用意し、適したファイル形式を使い、アップロード前に楽器を正しく選びます。書き出す前には短時間でも結果を確認します。何を採譜する場合も、出来上がった楽譜を何に使う場合も、この流れは同じです。

録音前にレベルを確かめる、採譜したい楽器が聞こえやすい音源を選ぶ、書き出す前に数分かけて結果を確認する。こうした準備と確認に少し時間を使うと、採譜を速く、安定して進められます。

よくある質問

AI採譜の精度を上げるにはどうすればよいですか?

採譜の仕上がりは、アップロード前にほぼ決まります。精度に最も影響するのは録音環境なので、できるだけ静かな場所で録音してください。次に、音の情報を失わないロスレス形式を使い、録音に合った楽器の種類を選びます。書き出す前には、短時間でも結果を確認します。元の音が明瞭なほど、採譜後の手直しは少なくて済みます。

採譜にはどのファイル形式が適していますか?

形式を選べるなら、WAVが適しています。ロスレス形式には、近いピッチの音を聞き分けたり、音が減衰する様子を捉えたりするための周波数の細かな情報が残ります。高ビットレートのMP3も多くの用途で使えますが、ビットレートが低いと採譜に支障が出ることがあります。ファイルの小ささより音質を優先してください。非可逆圧縮で失われた情報は、あとから元に戻せません。

採譜する前に曲をステムに分ける必要はありますか?

通常は必要ありません。モデルは、ほかのパートが鳴っていても、選んだ楽器の音を捉えるように学習しています。多くの完成音源は、そのままアップロードして楽器を選べば、モデルがそのパートを取り出します。エフェクトや音の重なりが多く、採譜したい楽器が埋もれているときは、事前に音を加工するよりも、その楽器が聞こえやすい区間や別の録音を使うほうが効果的です。

著者について

Andrew Carlins

著者

Andrew Carlins

Songscription共同創業者・CEO

アンドリューは、弾きたい曲の楽譜が見つからないことにうんざりしていた音楽仲間数人と、スタンフォード大学でSongscriptionを共同創業しました。子どもの頃からピアノとバリトンサクソフォンを演奏し、ミュージカルの舞台にも立っていました。もう何年も舞台には立っていませんが、今も腕は鈍っていないつもりです。録音から音を拾って楽譜にすることについて書いています。

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