チュートリアル採譜Andrew Carlins•読むのに約10分

ギターの採譜ガイド:耳コピからAIの活用まで

ギターの採譜は、聴こえた音をタブ譜や五線譜に書き起こす作業です。耳コピでも、AIを使っても進められます。タブ譜で表せる奏法、耳でパートを聴き取る手順、録音から数分で手直ししやすい下書きを作る方法を紹介します。

タブ譜の読み書き、耳コピ、AIで短時間に下書きを作る方法を扱うギター採譜ガイド

楽器別の採譜ガイドの一つです。

ギターの採譜は、聴こえたパートを、読んで弾ける形に書き起こす作業です。通常はタブ譜か五線譜にします。耳コピで進めれば、音を聴き取る力や演奏に役立つ力が身につきます。録音をAIに読み込ませれば、短時間で下書きを作り、そこから手直しできます。タブ譜と五線譜の違い、残しておきたい奏法、耳コピの手順を押さえると、どちらの方法でも進めやすくなります。録音から使える下書きを作るだけなら、AIで2分ほどです。

タブ譜と五線譜の違い

タブ譜で分かるのは、ギターのどこを押さえるかです。6本の線が6本の弦を表し、数字が押さえるフレットを示します。すぐに読み取れて、五線譜だけでは分からない具体的な指の位置まで伝わります。一方、基本的なタブ譜では、リズムの表記が不十分だったり、まったくなかったりします。

五線譜はピッチとリズムを正確に表し、どの楽器でも同じように読めます。ただ、ギターでは同じ音を出せる場所が複数あります。五線譜だけでは、どの弦のどのフレットを使うかは分かりません。実際には両方を併用したいギタリストも多く、Guitar Proなどのタブ譜ソフトでは、上に五線譜、下にタブ譜を並べて表示できます。こうした楽譜を作るツールは、AIギタータブ譜生成ツールの比較で詳しく取り上げています。

楽譜に残しておきたい奏法

ギターには特有の奏法があり、それを楽譜に書き込まないと、パートの持ち味が伝わりません。ギターの採譜に独自の技術が必要なのは、このためでもあります。聴き取りたいのは、次のような奏法です。

  • チョーキングは、弦を押し上げたり引き下げたりしてピッチを上げる奏法です。半音か全音かなど、どれだけ上げるかも楽譜に記します。
  • スライドは、弦を押さえた指をネックに沿って動かし、弾き直さずに音を上げ下げする奏法です。
  • ハンマリングオンとプルオフは、弦を押さえる側の手だけで音を出す奏法です。ピッキングせずに、滑らかで速いフレーズを弾けます。
  • ビブラートは、ピッチを細かく繰り返し揺らして表情をつける奏法です。採譜では聴き落としやすいところです。
  • パームミュートは、弦を弾く側の手のひらで弦を消音する奏法です。ハーモニクスでは、鐘のように澄んだ倍音を鳴らします。どちらも音色が大きく変わるので、楽譜に残しておきます。

音とリズムは採譜の土台です。ギターでは、こうした奏法まで書き込むと、録音で聴いたパートの表情を再現できます。

ギターを耳コピで採譜する

耳で聴き取って書き起こすには時間がかかります。その作業を通じて、演奏にも役立つ耳が育ちます。次の順で進めると、音を探しやすくなります。

  • まずキーを探します。中心になる音が分かれば、使われそうな音を絞れます。パートの大部分は、そのキーのスケール内に収まります。
  • 再生速度を落とします。ピッチを変えずに再生速度を落とせるプレーヤーで、聴き取っている数秒間を繰り返し再生します。
  • 音を確かめてから、押さえる場所を決めます。何の音が鳴っているかを聴き取り、そのあとでネック上の弾きやすい場所を選びます。同じピッチの音を出せる場所は、一つではありません。
  • 奏法もそのつど書き込みます。チョーキングやスライドが聴こえたら、その場で記します。あとから表情を思い出して付け足すより確実です。

詳しい手順と、耳コピでどんな力が育つかは、耳コピで採譜する方法で説明しています。

AIでギターを採譜する

早く楽譜が欲しいときや、音が重なって耳では聴き分けにくいときは、AIで下書きを作れます。音声ファイルをアップロードするかYouTubeのリンクを貼り付け、楽器にギターを選ぶと、2分ほどでタブ譜か五線譜ができます。必要に応じて、バンド全体のミックスからギターを分離して処理します。ただし、ギターだけをクリアに録音した音源のほうが、結果もきれいです。

クリアな録音なら、およそ70〜90%の音が正しく採譜されるのが目安です。単音のフレーズやストロークで弾いたコードは採譜しやすく、速いソロや音が重なるフィンガーピッキングは難しくなります。強く歪ませた音では、AIが手がかりにする音の切れ目も曖昧になります。前に挙げたような表情をつける奏法は、特に人が確認して仕上げる必要があります。操作の手順は音声からギターのタブ譜を作る方法で確認できます。Songscriptionのギタータブ譜生成ツールでも試せます。

下書きができたら、エディターで直して精度を上げます。音符を正しいフレットへドラッグし、AIが細かく分けてしまったリズムを直し、一定のピッチとして採譜された音にチョーキングを加えます。仕上がったら、用途に合う形式で書き出します。編集や再生を続けるならGuitar Pro、印刷するならPDF、楽譜編集ソフトで使うならMusicXML、DAWに取り込むならMIDIです。形式の選び方は楽譜と音楽データの書き出し形式にまとめています。

耳コピとAIの使い分け

演奏に役立つ力を育てたいなら、聴き取れそうな曲を選んで耳コピします。音を探して書き起こす作業そのものが練習になります。すぐに使える楽譜が必要なときや、耳だけで採譜するには手間がかかりすぎるパートなら、AIで下書きを作り、修正と仕上げに時間を使えます。取り組みやすい曲は耳の練習に使い、音が多い曲や締め切りがあるときはAIを使うなど、両方を取り入れている人も多くいます。

よくある質問

ギターの採譜とは何ですか?

ギターの採譜は、聴こえたギターパートを、読んで弾ける形に書き起こす作業です。通常はタブ譜か五線譜にします。録音から音やリズム、奏法を聴き取って書き込む方法と、オーディオから下書きを自動で作るAIを使う方法があります。

タブ譜と五線譜はどう違いますか?

タブ譜は、指で押さえる場所を示します。6本の線が弦を、数字がフレットを表します。すぐに読み取れてギターに適していますが、タブ譜だけではリズムがはっきり分かりません。五線譜はピッチとリズムを正確に表し、ほかの楽器でも同じように読めます。ただし、どの弦のどのフレットを使うかは分かりません。両方を併用するギタリストも多く、Guitar Proなどのタブ譜ソフトでは上下に並べて表示できます。

AIでギターを正確に採譜できますか?

ギターだけを録音したクリアな音源なら、AIでおよそ70〜90%の音を正しく採譜できます。手直しの土台として十分に使える精度です。単音のフレーズやストロークで弾いたコードは、速いソロや音が重なるフィンガーピッキングよりも正確に採譜できます。強い歪みやバンド全体のミックスでは精度が下がります。ギターだけの音源や、エフェクトをあまりかけていない音源のほうが、きれいな結果になります。

ギターのどんな奏法を楽譜に残せますか?

タブ譜や五線譜には、チョーキング、スライド、ハンマリングオン、プルオフ、ビブラート、パームミュート、ハーモニクス、使う弦とフレットを書き込めます。ギターの弾き方まで伝えられることが、タブ譜の便利なところです。AIは音とリズムを安定して採譜できますが、微妙なチョーキングやビブラートなどの表情を正確に残すには、特に人の確認と手直しが必要です。

著者について

Andrew Carlins

著者

Andrew Carlins

Songscription共同創業者・CEO

アンドリューは、弾きたい曲の楽譜が見つからないことにうんざりしていた音楽仲間数人と、スタンフォード大学でSongscriptionを共同創業しました。子どもの頃からピアノとバリトンサクソフォンを演奏し、ミュージカルの舞台にも立っていました。もう何年も舞台には立っていませんが、今も腕は鈍っていないつもりです。録音から音を拾って楽譜にすることについて書いています。

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