チュートリアルピアノロールSongscription•読むのに約10分

ワーシップの曲をピアノで弾くための練習方法

火曜日に届いた曲目を、日曜日には歌い手のキーで弾く必要があります。毎週の準備に使えるよう、録音を聴いて弾ける形にする手順を身につけておきます。

ワーシップの曲のピアノ練習。コード譜だけでは分からないボイシングやイントロのフレーズを、実際の録音と比べて示しています

ワーシップでピアノを弾く人は、独特のスケジュールで準備を進めます。火曜日に曲目が届き、その中にはバンドの誰も弾いたことのない曲が入っています。日曜日には、歌い手が歌えるキーで合わせなければなりません。これを年に40回も繰り返すと、録音を聴いて短時間で弾ける形にする手順が身についていきます。

一般的なピアノの練習法が、そのまま当てはまらないのもこのためです。多くの教材は、1か月かけて1曲に取り組むことを想定しています。ワーシップでは、5日間で4曲を準備します。そこで毎回つまずきやすいのが、コード譜と録音の違いです。弾くコードは分かっても、録音でどう弾いているかまでは書かれていません。

コード譜にない部分は録音から覚え、歌い手に合わせてキーを変える準備も必要です。仕事の合間に進めるなら、それぞれを1週間のどこでさらうか決めておくと取り組みやすくなります。

私たちはSongscriptionを開発しており、同じチームでAnything Pianoも作っています。コード譜のサービスを使う方法や、耳コピだけで覚える方法が合うことも多くあります。

ワーシップのピアノならではの条件

次の4つが重なるため、クラシックやポップスのピアノとは違う準備の仕方が必要になります。

  • 準備期間は数日です。日曜日までに4曲を安定して弾けるところまで仕上げ、その後はうち2曲をほとんど忘れてしまうこともあります。1曲をじっくり磨き上げる練習とは進め方が違います。
  • 普段使うのはコード譜やナッシュビルナンバーです。求められたキーへすぐに移せる形で曲を捉えます。キーが固定された楽譜では、その都度読み替えが必要です。
  • 録音のキーより、歌い手に合うキーを優先します。原曲のキーで覚えたあとに、本番では全音下だと分かると、覚え直す時間がかかります。
  • 多くの場合、ほかの楽器と一緒に弾きます。アコースティックギターがいるか、もう1人のキーボード奏者がパッドを弾くか、ピアノだけなのかで、弾く内容が変わります。

コード譜だけでは分からないこと

コード譜は、どのコードをどの順番で弾くかを短くまとめたものです。それだけで曲を通せるので、広く使われています。ただ、録音に入っている音の多くは省かれています。同じコード譜を2人に渡しても、違う曲のように聴こえるほど弾き方が変わります。

曲らしさを感じる部分は、ほとんど載っていません。ボイシングは、コードのどの音を選び、どう重ねるかです。その選び方で、厚みのある響きにも、濁った響きにもなります。転回形とベース音も違いを生みます。コード譜にはFとあっても、録音ではベース音をAにしていれば、Fをそのまま弾くだけでは同じ響きになりません。音域も関わります。同じコードでも1オクターブ下げると、ベースギターの音とぶつかります。

リズムのパターンもコード譜からは分かりません。左手で音を伸ばすのか、8分音符を刻むのか、音を順にばらして弾くのかで、伴奏は変わります。イントロの決め手になるフレーズは、会衆が聴いた瞬間にどの曲か分かる二小節ほどのピアノのリフだったりします。それでも、コード譜にはまったく載っていないことがあります。

音は合っているのに曲らしく聴こえないなら、イントロなどのフレーズを確かめてみてください。録音のピアノパートにある特定のパターンが抜けていることが多いからです。コード譜そのものについては、ワーシップの曲のコード譜とコード記号の読み方で詳しく説明しています。コード譜だけでは分からない弾き方は、録音で確かめます。

チームで使う録音からパートを覚える

ワーシップでは、チームが使う音源がスタジオ録音のシングルとは限らないことにも気をつけます。同じ曲でも、スタジオ録音、ライブアルバム、アコースティック演奏、ラジオ向けの短い版が出回っていて、内容はかなり違います。ライブ版はピアノの出番が多く、イントロも長めです。スタジオ版にはない転調が入っていることもあります。よい教材が見つかっても、別のバージョンを覚えてしまうおそれがあります。

再生速度を落として耳コピする

昔から使われている方法で、耳を育てる練習としても勧められます。ワーシップのコード進行は、意図的に同じパターンを繰り返す作りになっています。多くはキーの中の音でできていて、使うコードの種類も限られるので、耳コピの練習に向いています。1年続ければ、コード譜に頼らず弾けるようになります。やり方は耳コピの方法とピッチを変えずに再生速度を落とす方法で紹介しています。

ただし、耳コピには時間がかかります。木曜の夜にまだ3曲残っていると、その時間を取れないことも少なくありません。

録音からピアノパートを作る

Anything Pianoは、この準備にも使えます。チームが使う音源そのものを、オーディオファイルかYouTube、TikTok、Instagramのリンクで指定します。採譜モデルが録音からピアノパートを起こし、上から落ちてくる音符に合わせて弾ける形で表示します。指定したバージョンをもとにするので、転調が追加されたライブアルバム版と、スタジオ録音のシングルを別々に練習できます。ワーシップでは、この違いがほかの多くのジャンル以上に演奏に関わります。

イントロのフレーズも、コード譜にはなくても音源には入っています。再生速度を落として二小節だけをさらい、元の速さまで戻せます。指番号の表示をオンにすると、ピアノロール上に番号が出るので、各音をどの指で弾くか分かります。

演奏の音は、BluetoothやUSB MIDI接続のほか、マイクでも拾えます。教会にあるのがアップライトピアノだったり、ケーブルを簡単につなげないステージキーボードだったりしても、譜面台にスマートフォンを置いて使えます。あまり知られていない曲にも対応します。収録曲が決まっているアプリにはワーシップの曲がほとんどなく、セットリストに入ってくるのは新曲であることも多いので、使う録音を指定できる方法が役立ちます。

楽譜が必要な場合には、Anything Pianoは向いていません。表示するのはピアノロールで、楽譜は作りません。

紙の楽譜が欲しいときは、ピアノの採譜で、同じ録音から楽譜、MIDI、MusicXMLを作れます。代わりに弾く人に読んでもらいたいときや、ボイシングを書き残したいときに合う方法です。詳しくはワーシップのピアノを採譜する方法を参照してください。礼拝の中で予定せずに演奏する場面については、即興のワーシップで使うコードと楽譜で取り上げています。

歌い手に合わせたキーと移調

曲を覚え始める前に、演奏するキーを確認してください。ワーシップではキーがよく変わります。低い声に合わせて下げることもあれば、明るい響きにするために上げることもあります。アコースティックギターのカポを5フレットにつけずに済むよう、ギターで弾きやすいキーにすることもあります。

繰り返し使えるのは、コード進行をCやGなどの音名ではなく数字で覚える方法です。サビが「1・5・6・4」だと分かっていれば、その進行の形を移して、どのキーでも弾けます。歌い手が変わるたびに、新しいコード譜を探す必要もなくなります。ナッシュビルナンバーは、そのための仕組みです。ワーシップでは、覚えたことをすぐに活かせます。

コード譜や楽譜を使うなら、リハーサル前に移調しておきます。あるキーで書かれたものを読みながら別のキーで弾くのも、身につけておくと役立つ技術です。ただ、実際に合わせている最中に、その読み替えを練習するのは避けます。楽譜の移調なら、コード譜や楽譜をまとめて移調できます。最初にキーを選ぶ方法は、声に合うキーへの移調で説明しています。

バンドで弾くときと、1人で伴奏するとき

録音では、ピアノパートにほかの楽器の音も重なっています。そのままコピーするのが合わないことも多くあります。実際に何を弾くかは、一緒に演奏するメンバーに合わせて決めます。

  • ベース奏者がいるときは、低音域を空けます。左手で低いオクターブを重ねると、音が濁ります。ピアノは音域を上げて中音域でコードを組み、ルートはベースに任せます。
  • アコースティックギターがいるときは、ストロークと同じリズムを重ねません。リズムはギターが受け持っているので、ピアノは音を長く伸ばして支えるか、ギターでは弾けないメロディーのフレーズを弾きます。
  • もう1人のキーボード奏者がパッドを弾くときは、リズムを受け持ちます。2人とも音を長く伸ばすだけでは、2人で役割を分けられません。
  • 歌い手とピアノだけなら、録音全体の役割を受け持ちます。この編成ではすべてを同時に支えるので、録音のパートに忠実に弾くのが合っています。
  • どの編成でも、イントロの決め手になるフレーズは正確に覚えます。二小節で会衆に曲が伝わる部分なので、録音どおりにさらう価値があります。

1週間の練習の流れ

  1. 曲目を受け取る日に、キーも確認します。各曲について、チームが使う録音も確かめます。
  2. ほかのことをせず、一度通して聴きます。曲の構成、転調があればその位置、ピアノが主役なのか背景を支えるのかをメモします。
  3. まずコード進行を数字で覚えます。1曲に10分ずつ使い、大まかにでも4曲すべてを弾けるようにします。1曲だけをきれいに弾けるようにするより、合奏に備えられます。
  4. イントロのフレーズと、その曲らしいボイシングを加えます。ここはコード譜より録音を頼りにする部分です。再生速度を落とし、二小節ずつさらいます。
  5. 各曲を一度、録音に合わせて通します。実際の音源と一緒に弾くと、コード譜では簡単に見える曲のつなぎ目も確かめられます。
  6. いちばん難しい二小節は、土曜日にもう一度さらいます。木曜日に5回目を弾くより、一晩寝てからさらうほうが、フレーズを身につけやすくなります。

よくある質問

ワーシップの曲を短期間でピアノで弾けるようにするには?

まずコード進行を覚え、それから録音のピアノパートをさらいます。コード進行が分かれば、ひとまず曲を通して弾けます。ワーシップの曲の多くは、4つか5つのコードでできています。イントロのフレーズや具体的なボイシングなど、コード譜にない部分は、チームが実際に使う録音を聴いて覚えます。Anything Pianoなら、その音源から演奏に合わせて見られるピアノロールを作り、再生速度を落とせます。コード譜だけで弾き方を推測するより早く練習できます。

コード譜どおりに弾いても録音と違って聴こえるのはなぜですか?

コード譜で分かるのは弾くコードで、ピアノパートの具体的な弾き方はほとんど分からないからです。ワーシップのピアノで耳に残るのは、ボイシング、転回形、音域、リズムのパターン、イントロのリフです。これらはコード譜には書かれていません。同じコード譜でも、弾く人が違えば仕上がりは大きく変わります。弾き方を確かめるには、録音が必要です。

ワーシップのピアノを弾くには楽譜を読める必要がありますか?

楽譜を読めなくても弾けます。ワーシップでピアノを弾く人の多くも、五線譜は読んでいません。曲目が毎週変わり、歌い手に合わせてキーも変わるので、普段使うのは五線譜よりコード譜やナッシュビルナンバーです。もちろん、録音の特定のパートを正確に覚えたいときなど、楽譜を読めると役立ちます。ただ、クラシックピアノのように、始めるのに必須ではありません。

ワーシップの曲を別のキーで弾くには?

コード進行をCやGなどの音名ではなく数字で覚えます。「1・5・6・4」なら、どのキーでも進行の形は同じです。その形を別のキーに移して弾きます。コード譜や楽譜を使う場合は、その場で読み替えず、リハーサル前に新しいキーへ移調しておきます。キーはたいてい歌い手に合わせて変わるので、録音のキーで覚える前に、希望のキーを確認してください。

日曜日に向けた準備

ワーシップのピアノは、コード進行がシンプルなので簡単だと思われがちです。実際、和音の仕組みはシンプルです。それでも、毎週新しい曲を覚え、歌い手に合わせてキーを変える必要があります。使う音源がシングル版とは限らず、リハーサルに集まったメンバーによってアレンジも変わります。こうした条件への対応は、コードをたくさん覚えるだけでは身につきません。

毎週の準備では、コード進行を数字で覚えておくと、キーが変わっても対応できます。細かなピアノパートより先に進行を押さえれば、ピアノの準備が間に合わず曲を外す事態も避けられます。コード譜に書ききれないフレーズは、実際に使う録音で確かめます。

木曜の夜に新曲をさらうときには、Anything Pianoのように、指定した録音からピアノパートを作るアプリも役立ちます。セットリストに加わったばかりの曲は、収録曲が決まっているアプリにはまだないことが多くあります。それでも、日曜日には弾く必要があります。

著者について

Songscription

著者

Songscription

音楽を演奏する人が、演奏する人のために作っています

Songscriptionは、どんな録音も楽譜、MIDI、タブ譜に変換します。この記事を書いているのは、自分たちが欲しかった道具を作っているミュージシャンとエンジニアです。音符には真剣ですが、ダジャレにはもっと真剣です。ときどき滑っても、どうか大目に見てください。

チームについて詳しく見る

同じテーマの記事を読む