音楽学校に合う採譜ソフトは、複数の楽器が混ざった合奏の録音から、楽器ごとのパートを取り出せるものです。先生が編集でき、生徒が読める形式で書き出せることも欠かせません。SongscriptionのMulti-Instrumentモードは、ミックス全体を一度に採譜し、聴き取った楽器ごとにパートを分けて複数の譜表にまとめた楽譜と、マルチトラックMIDIを作ります。鍵盤、ギター、ベース、弦楽器、金管楽器、木管楽器、サックス、ボーカル、ドラムなどに対応しています。
学科やプログラムの責任者は、次のチェックリストでSongscriptionを含む採譜ソフトを比較できます。
音楽学校向けの採譜ソフトを選ぶポイント
まず確認したいのは5つです。一つのミックス音源から各パートを取り出せるか、特定のパートをよりきれいに採譜する単一楽器の選択肢があるか、普段の楽譜作成ソフトで開ける形式に書き出せるか、先生が使えるエディターがあるか、そして生徒のレベルに合った設定があるかです。共有方法、教育関係者向けの料金、生徒のデータに関する明確な方針も確認します。多くのツールが備えているのは、このうち1つか2つです。
採譜アプリの多くは、一人の演奏者が一曲を覚えるために作られています。メロディーやピアノのパート一つを採譜するのは得意でも、そこまでです。学校では、12人でのリハーサル録音や、ジャズバンドが来学期に演奏したいポップス、聴音の授業で必要な曲のベースラインなどを扱います。そうした用途を考えて、次の項目を選びました。
比較のためのチェックリスト
ツールを試すときに、この表を使ってください。右の列には、現在Songscriptionでできることを載せています。
| 確認すること | 学校で必要な理由 | Songscription |
|---|---|---|
| ミックス全体から楽器ごとのパートを作成 | 合奏の録音には複数の楽器が入っている | Multi-Instrumentが聴き取った楽器ごとに、一度の採譜でパートを作成 |
| 単一楽器の音を取り出す | 一人の生徒のパートをできるだけきれいに取り出す | ピアノ、ギター、ベース、コントラバス、バイオリン、フルート、トランペット、サックス、ドラム、ボーカルから選択。ほかの音は無視 |
| 楽譜とMusicXMLの書き出し | 先生はすでに楽譜作成ソフトを使っている | PDF、MuseScore・Sibelius・Finale・Dorico用のMusicXML、MIDI、Guitar Pro |
| 編集 | 採譜した楽譜は毎回確認が必要 | 音の高さの修正、音符の移動、タイミングの調整。Annieには言葉で編集を依頼でき、すべて元に戻せる |
| 難易度 | 生徒のレベルがさまざま | ピアノカバーは初級〜中級から上級までの5段階とAdaptive |
| ピアノの指番号 | 初心者のピアノ演奏には指使いが必要 | ピアノの楽譜に自動で追加。表示のオン・オフを切り替え可能 |
| 再生速度 | 生徒は最初にゆっくり練習する | エディターで再生速度を調整可能 |
| 共有 | 印刷せずに生徒にパートを届ける | 採譜した楽譜ごとに公開共有リンクを用意 |
| 教育関係者向け料金 | 予算に限りがある | 教育関係者、生徒、非営利団体向けの割引をhello@songscription.aiで案内 |
| データと学習 | 生徒の録音を扱う | PlusとProではモデルの学習への使用を停止可能 |
最初の2行に対応していないツールは単一楽器向けです。合奏のパートは引き続き先生が耳で聴き取って書くことになります。
ミックス音源から楽器ごとに採譜できる?
Songscriptionには2つの方法があります。Multi-Instrumentは聴き取った楽器を一度にすべて採譜するので、アレンジ全体を見られます。単一楽器モードでは楽器を一つ選び、その音だけをモデルが聴き取ります。ほかの音は無視されます。一つのパートを最もきれいに取り出せる方法です。単一楽器モードはピアノ以外すべてベータ版です。
授業では両方を使い分けられます。まずMulti-Instrumentで録音全体を採譜してアレンジを確認します。次に、たとえばリード奏者が覚えるトランペットソロを、単一楽器モードでもう一度採譜します。全パートを含む楽譜は指導者用に残し、その楽器に絞った楽譜を奏者に渡します。
録音をパートごとに分けた音声データ(ステム)は必須ではありません。スタジオで各セクションを別々のトラックに録音しているなら、トラックごとに採譜すると最もきれいに仕上がります。ミックスから音を取り出す必要がないからです。
バンドやオーケストラの録音にはどこまで対応する?
バンド全体の録音の採譜を得意としています。リズムセクション、ボーカル、管楽器、弦楽器がそれぞれのパートとして出力され、鍵盤パートは右手と左手に分かれます。オーケストラへの対応は部分的です。Multi-Instrumentは弦楽器、金管楽器、木管楽器、ハープ、ティンパニを認識しますが、パートは楽器の種類ごとに書き出します。オーケストラ全体の細かな編成に対応するものではありません。合唱は一つのボーカルトラックになります。
編成ごとの目安は次のとおりです。
- ロック、ポップス、ジャズ、ワーシップのバンド: 最も向いています。各パートのたたき台として使える楽譜が得られます。
- 室内楽や弦楽四重奏: 向いています。2つの楽器の音域が重なるところは確認してください。
- 吹奏楽やオーケストラ全体: 大まかな楽譜や一つの楽器群のラインを取り出すのに役立ちます。第1バイオリンと第2バイオリンや、プルトごとのパートは分けられません。音が密集する箇所は修正が多く必要です。
- 合唱: 歌のラインは一つのパートになります。ソプラノ、アルト、テナー、バスには分かれません。
複数の楽器が同じ音域で重なる録音は、譜面台に載せる前に楽譜を注意して確認してください。録音からバンドのパート譜を作る方法では、パートごとの確認手順を紹介しています。
レベルの違う生徒も使える楽譜になる?
先生が少し手を加えれば使えます。特にピアノでは、どんな録音からでも5つのレベル(Adaptive、初級〜中級、中級、中級〜上級、上級)のピアノカバーを作れます。ピアノの楽譜には指番号も自動で付きます。ほかの楽器では、先生がエディターでパートを簡単にするか、エディターのアシスタントAnnieに変更を依頼します。たとえば高いフレーズを1オクターブ下げたり、演奏しやすいキーに移調したりできます。
若い生徒が演奏しにくい音域のパートがあれば、印刷前に移調してください。Annieには「楽譜を全音下げて移調して」と頼めます。すべてのパートが一緒に移調されるので、合奏内の音の高さの関係は保たれます。再生速度を調整して練習に使うのも一つの方法です。自分のパートをゆっくり聴き、次に元の速さで聴くと、リズムを覚えてからリハーサルに臨めます。
教室でのAI採譜では、レベルの異なる生徒がいる授業に先生が採譜をどう取り入れているかを紹介しています。
学校ではどんな場面で使う?
音楽教育の現場では、次の4つの用途がよくあります。それぞれ上のチェックリストにある機能と対応しているので、学科に必要な項目を選ぶときの参考になります。
リハーサルの録音。 通し演奏をスマートフォンで録音し、Multi-Instrumentで採譜すると、合奏で実際に演奏した内容を楽譜に残せます。指導者は、パートがずれた箇所を見つけたり、直すところを生徒に伝えたりするときの資料として使えます。
生徒のバンド向けのポップスの編曲。 生徒が特に演奏したい曲でも、学校向けの編曲が出版されているとは限りません。原曲を採譜すれば、パートごとに編曲する出発点になります。演奏や配布には引き続き権利の確認が必要です。バンドの先生が直面する課題では、権利の扱いが技術に追いついていない理由を説明しています。
聴音。 まず生徒にベースラインや管楽器のリフを耳で聴き取って書いてもらい、その後で採譜した楽譜を答え合わせに使います。曲の中の楽器を一つひとつ聴き取る方法では、この練習と組み合わせやすい聴き方を紹介しています。
評価。 生徒自身の演奏を採譜すると、走ってしまった小節、臨時記号の音を間違えた箇所、付けられなかった強弱などについて、先生と生徒が具体的に話し合えます。採譜した楽譜にも誤りが含まれることがあるので、先生が確認してください。成績を付けるためではなく、話し合いのきっかけとして使ってください。
学校向けの料金とデータの扱いは?
先生は誰でも、カード不要の14日間無料トライアルを始められます。無料アカウントでは、Multi-Instrumentを含め、30秒の音源を採譜できます。Plusは月60分まで、1回の採譜は最大15分です。Proは月300分までで、優先サポートが付きます。教育関係者、生徒、音楽関連の非営利団体は、hello@songscription.aiにメールで割引について問い合わせられます。
生徒の演奏をアップロードする前に、データの初期設定を確認してください。Songscriptionはアップロードされたデータをモデルの改善に使用することがあります。PlusとProの加入者は、アカウント設定でいつでも学習への使用を停止できます。採譜した楽譜はアカウントに紐づいており、公開リンクを共有したときだけほかの人に共有されます。規模の大きい音楽教育の現場で一括処理やAPIアクセスが必要な場合は、同じメールアドレスにEnterpriseについて相談できます。APIはセルフサービスでは利用できません。
先生向けの機能は音楽の先生向けページにまとめています。バンドやアンサンブルの指導者にはアンサンブル向けページもあります。
よくある質問
音楽学校で合奏の録音を楽譜にするには、どの採譜ソフトがよいですか?
Songscriptionです。Multi-Instrumentモードでは、複数の楽器が混ざった録音全体を、聴き取った楽器ごとにパートを分けて複数の譜表にまとめた楽譜と、マルチトラックMIDIに変換します。先生はエディターで音符を修正し、PDFやMusicXMLを書き出せます。MusicXMLはMuseScore、Sibelius、Finale、Doricoで使えます。採譜した楽譜はリンクで共有できます。教育関係者向けの割引については、hello@songscription.aiまでメールでお問い合わせください。
複数の楽器が混ざった録音から、一つの楽器だけを取り出して採譜できますか?
はい。Songscriptionでピアノ、ギター、ベース、コントラバス、バイオリン、フルート、トランペット、サックス、ドラム、ボーカルなどから一つを選ぶと、モデルはその楽器だけを聴き取り、混ざっているほかの音を無視します。一人の生徒のパートを取り出すには、この方法が最もきれいに仕上がります。単一楽器モードはピアノ以外すべてベータ版なので、パートを簡単に確認してください。
オーケストラや合唱の録音を正確に採譜できますか?
セクションごとに分けることはできません。Multi-Instrumentは弦楽器、金管楽器、木管楽器、ドラムなど、楽器の種類ごとにパートを書き出すため、室内楽やジャズバンド、ロックバンドに向いています。第1バイオリンと第2バイオリンや、プルトごとのパートは分けられません。合唱もソプラノ、アルト、テナー、バスには分かれず、一つのボーカルトラックになります。
生徒の録音はAIの学習に使われますか?
初期設定では、アップロードしたデータをSongscriptionのモデルの改善に使用することがあります。PlusとProの加入者は、アカウント設定でいつでも学習への使用を停止できます。停止後のデータは学習に使用されません。採譜した楽譜はアカウントに紐づいており、公開リンクを共有したときだけほかの人に共有されます。生徒の演奏をアップロードする前に確認しておいてください。
学校向けの割引や一括利用のプランはありますか?
はい。先生、生徒、音楽関連の非営利団体は、hello@songscription.aiにメールで割引について問い合わせられます。利用量の多い学校は、同じアドレスに一括利用についても相談できます。申し込む前に、カード不要の14日間無料トライアルを始めるか、無料アカウントで30秒の音源を使ってMulti-Instrumentを試せます。
最後に
学校向けの採譜ソフトは、一人のピアニスト向けに選ぶときとは違う基準で試す必要があります。10種類の楽器が入った、音の混ざり合うリハーサル録音を渡して、何が出てくるかを見てください。メロディーだけを採譜するアプリでは一つのラインが得られ、残りは先生が耳で聴き取って書くことになります。Songscriptionでは、聴き取った楽器ごとのパートを作り、特に必要なパートを単一楽器モードでもう一度採譜できます。書き出したファイルは、学科ですでに使っている楽譜作成ソフトで開けます。
オーケストラは楽器の種類ごと、合唱は一つのボーカルトラックとして出力されるという限界もあります。学校でよく扱うバンド、ジャズ、ポップス、室内楽には、この対応範囲で使えます。実際のリハーサル録音を一つ使い、担当する合奏で試して判断してください。Multi-Instrumentで採譜する。