収録曲から学ぶピアノアプリの中では、flowkeyが最も充実しています。代わりのアプリを探している人も、そのよさはすでに知っていると思います。1曲に複数の難易度があり、真上から撮ったピアニストの手元動画で指の動きを確認できます。人の手で丁寧に作り込まれていますが、そこに制約もあります。どの曲も、教えられるようにするまでに人が編曲しなければなりません。
乗り換え先を選ぶには、flowkeyのどこで行き詰まったかを考えると絞りやすくなります。弾きたい曲が見つからなくなったのなら、別の曲集に移っても、数か月後にはまた同じところで困ります。もっと順序立てて教えてほしかったのなら、選ぶべきアプリも変わります。
収録曲、レッスンの進め方、読譜など、乗り換えたい理由によって、候補になるアプリは違います。どのアプリにも得意なところと弱いところがあり、一律に順位は付けられません。
私たちはSongscriptionを開発しており、同じチームでAnything Pianoも作っています。その立場からのおすすめとして読んでください。それぞれの得意なところと制約は、無料体験を半日ほど使えば確かめられる具体的な点を挙げています。
目的別のおすすめ
機能の数より、乗り換えたい理由で選ぶと候補が絞れます。
- 弾きたい曲が収録されていない。 よくある理由ですが、この一覧の中で、別の曲集型アプリに移っても解決しないのはこれだけです。Anything Pianoは収録曲に縛られません。録音やリンクからピアノパートを作るので、乗り換えのきっかけになった曲を今夜から弾けます。
- 基礎からもっと順序立てて学びたい。 Simply PianoとSkooveは、どちらもflowkeyより細かく基礎の学習順を組んでいます。flowkeyは、ミドル C(鍵盤の中央付近にあるド)の場所くらいは分かることを暗黙の前提にしています。
- 演奏を評価してほしい。 Piano Marvelは弾いた内容を小節ごとに採点し、記録を残します。先生がレッスンの合間の課題に使うのも、このためです。
- 手持ちのMIDIファイルを弾きたい。 Synthesiaはその用途に絞った買い切りのアプリです。
- 特定の1曲を印刷できる楽譜にしたい。 この目的には、学習アプリよりSongscriptionが向いています。録音から楽譜、MIDI、MusicXMLを作り、編集や印刷ができます。
flowkeyから乗り換える理由
乗り換えの理由は、ほとんどが次の三つに分かれます。それぞれに合う選択肢も違います。
弾きたい曲がない
flowkeyは1,500曲以上を収録していると案内しています。編曲チームが手がけた曲数としては多くても、世の中にある録音と比べるとわずかです。抜けやすい曲にも傾向があります。B面曲、映画やゲームの場面で流れる曲、ライブ版、特定の地域で発売された曲、ここ数か月の新曲、友人がスマートフォンで録音した曲などです。リクエストが通ることもありますが、実現するまでには必ず数週間かかります。
人が編曲した曲を集める方式では、どのアプリにも同じ制約があります。Simply Piano、Skoove、Yousicianでも、だいたい同じ種類の曲が抜けます。この点は、ピアノアプリにない曲を練習する方法でも詳しく取り上げています。
思ったほど順序立てて教えてくれない
flowkeyは、学習コースというより、よく作られた曲集に近いアプリです。初心者向けの学習ルートはありますが、何を学ぶかはある程度自分で決める必要があります。先生のいないまったくの初心者だと、何を練習すべきか分からないまま数か月過ごすこともあります。曲を適当に選んで弾いても上達を感じられなかったなら、欲しかったのは学習カリキュラムだったのかもしれません。
楽譜を読めるようになりたかったのに、読めるようにならなかった
flowkeyにも楽譜は表示されるので、これは比較的少ない理由ですが、実際にあります。五線譜を読むより、動画の手の動きをまねるほうが、その部分を弾くだけなら簡単です。ほとんど楽譜を読まないまま、1曲を弾き終えることもできます。読譜が目的なら、読む練習を飛ばせないアプリのほうが向いています。ピアノを弾くのに読譜は必要かも、どこまで読めるようになりたいか考えるときの参考になります。
各アプリの比較
曲の入手元、演奏の検出方法、画面で読むもの、向いている目的でflowkeyと代替アプリを比較しています。
| アプリ | 曲の入手元 | 演奏の検出方法 | 画面で読むもの | 向いている目的 |
|---|---|---|---|---|
| Anything Piano | 任意の録音やリンク | マイク、Bluetooth MIDI、USB MIDI | 指番号付きのピアノロール | どのアプリにもない曲を弾く |
| flowkey | 1,500曲以上の収録曲 | マイクまたはMIDI | 楽譜と手元の動画 | 編曲の質と手元の動画を重視する |
| Simply Piano | 収録曲 | マイクまたはMIDI | 楽譜 | まったく初めてで、順序立てて学びたい |
| Skoove | 収録曲 | マイクまたはMIDI | 楽譜 | コースで学びながら早めに曲を弾く |
| Synthesia | 自分で用意したMIDIファイル | MIDIのみ | ピアノロール | 手持ちのMIDIファイルを弾く |
| Piano Marvel | 難易度別の教材曲 | MIDIのみ | 楽譜 | 先生が確認できる演奏評価を受ける |
| Songscription | 任意の録音 | 練習用アプリではありません | 楽譜、MIDI、MusicXML | 特定の1曲を印刷できる楽譜にする |
各アプリの得意なところと制約
Anything Piano
この中で、収録曲を使い切る心配がないのはAnything Pianoだけです。オーディオファイル、YouTube、TikTok、Instagramのリンク、その場で誰かが弾いた録音を渡すと、採譜モデルがオーディオからピアノパートを作ります。それを上から落ちてくる音のバーで表示し、見ながら合わせて弾きます。演奏はマイクでも、BluetoothやUSBによるMIDI接続でも検出します。アップライトピアノ、グランドピアノ、接続したキーボードを、いずれも使えます。鍵盤数が49、61、76、88のどれかを確認するので、画面の鍵盤と手元の鍵盤も対応します。曲は部分ごとに区切って学べて、進み具合も表示されます。指使いの表示を有効にすると、落ちてくる音のバーに推奨の指番号が付きます。録音が見つかれば練習できるので、収録曲数を増やす方式とは選べる曲の範囲が違います。
ただし、表示するのは五線譜ではなくピアノロールです。Anything Pianoが作るのはピアノロール形式の練習用ガイドだけで、楽譜は作りません。
Simply Piano
得意なのは、順序立てた学習です。主要なアプリの中で最もコース形式に近く、まったくの初歩から始まります。最初のレッスンから楽譜を使います。flowkeyで、曲集だけ渡されてあとは自分任せだと感じたなら、Simply Pianoの進め方が合います。
収録曲はflowkeyより少なく、編曲の選択肢も限られます。曲の幅より、学ぶ順序を優先する選び方です。弾きたい曲がないという問題には、flowkeyより早くぶつかります。その段階での選択肢は、Simply Pianoの代替アプリで取り上げています。
Skoove
Skooveは、Simply Pianoとflowkeyの中間に位置します。順序立てたコースがあり、早い段階から楽譜を使います。一般的な教本より早く、知っている曲に取り組めます。マイクとMIDIの両方に対応し、複数のプラットフォームで使えます。Androidで曲集よりコースを重視するなら、この中では最も有力な候補です。
ただし、収録曲は三つの曲集型アプリの中で最も少なくなっています。flowkeyの曲の幅に不満があったなら、その点ではむしろ選べる曲が減ります。
Synthesia
任意のMIDIファイルを再生でき、サブスクリプションではなく買い切りです。上から落ちてくる音の表示も、同種のアプリの中で見やすいものです。すでにMIDIファイルをまとめて持っているなら、それを練習に使う最も安い方法です。
ただし、二つの条件があります。まず、曲ごとにMIDIファイルを用意しなければなりません。あまり知られていない曲だとフォーラムを探し回ることになり、見つかっても音のタイミングがうまく整えられていないファイルがよくあります。もう一つは、弾いた音を検出するためにMIDIキーボードが必要なことです。アコースティックピアノでは、演奏へのフィードバックがありません。Synthesiaの代替アプリでは、この二つの条件のうち、片方または両方が不要な選択肢を紹介しています。
Piano Marvel
得意なのは演奏の評価です。フレーズを音符ごとに採点し、記録を残します。先生がレッスンの合間の課題に使う理由もそこにあります。上達を感覚だけでなく記録で確かめたいなら、この中ではPiano Marvelが抜きん出ています。
演奏の検出はMIDI接続に限られるので、アコースティックピアノは使えません。画面も机に向かって使うことを想定した作りで、スマートフォン向きではありません。収録曲は難易度別の教材曲が中心で、flowkeyに期待していたようなポップスの曲集とは違います。
楽譜がほしいときのSongscription
紙の楽譜がほしいときには、Songscriptionが向いています。練習用アプリとは用途が違います。録音を渡すと、オーディオから楽譜を作り、MIDIとMusicXMLも出力します。印刷したり、MuseScoreやSibeliusで編集したり、生徒に渡したりできます。
ただし、練習中の演奏を聴いて、正しい音を弾いたか判定する機能はありません。学習アプリと併用するためのものです。よくある使い方は、同じ録音から弾くためのピアノロールと読むための楽譜をそれぞれ作ることです。
flowkeyを使い続けるのが向いているとき
弾きたい曲が収録されているなら、flowkeyはほかに替えがたいアプリです。そのまま使い続けるのがよいと思います。1曲に複数の難易度があるのは実用的で、ほかにはほとんどない機能です。真上から撮った手元の動画では、指の動きを確認できます。指使いは独学で最も間違えやすく、ソフトウェアで教えるのが最も難しい部分でもあります。
二つのアプリを併用するのも、よい選び方です。広告から受ける印象より、実際には併用する人が多いです。定番曲は丁寧に指使いが付けられたflowkeyの編曲で練習し、まだ誰も編曲していない曲には、収録曲に縛られないアプリを使います。用途が違うので、一つのサブスクリプションで両方を満たすのは難しいものです。
乗り換え先の選び方
- 乗り換えたいと思ったきっかけの曲がある。 どの曲集にも見つからないなら、曲集同士の比較を続けても解決しません。収録曲に縛られないAnything Pianoか、自分で採譜する方法が必要です。
- 学ぶ順序が決まっていないと、何を練習すればいいか分からなくなる。 Simply PianoかSkooveが向いています。収録曲が増えても、学ぶ順序は決まりません。
- Androidを使っている。 現時点ではSkooveかSimply Pianoです。Anything PianoはiOS版を先に提供しており、Android版はウェイティングリストへの登録を受け付けています。私たちのアプリを待つために、練習を先延ばしにする必要はありません。
- MIDIキーボードもMIDIファイルもそろっている。 Synthesiaが向いています。一度購入すれば使えます。
- 先生などに進み具合を確認してもらいたい。 Piano Marvelが向いています。MIDI接続が必要です。
- 譜面台に紙の楽譜を置いて弾きたい。 この目的には学習アプリより採譜用のツールが向いています。ピアノの採譜で楽譜を作り、それを見て練習できます。
よくある質問
flowkeyの代わりに使うなら、どのアプリがおすすめですか?
flowkeyから乗り換える人の多くには、Anything Pianoが向いています。収録曲に限らず、録音やYouTube、TikTok、Instagramのリンクからピアノパートを作れるからです。乗り換えのきっかけになった曲を、その日の夜には弾けます。ただし、曲数以外の理由なら選択肢も変わります。基礎から順序立てて学びたいならSimply PianoかSkoove、段階的な評価がほしいならPiano Marvel、印刷できる楽譜がほしいならSongscriptionです。
弾きたい曲がflowkeyにないのはなぜですか?
flowkeyでは、教える曲をすべて人が編曲しています。そのため、収録できるのはチームが編曲を終えた曲までです。世の中の録音は、どんなチームでも扱いきれないほどあります。B面曲、映画やゲームの場面で流れる曲、ライブ版、特定の地域で発売された曲、ここ数か月の新曲、友人が録音した曲などは、どの曲集型アプリでも抜けやすくなります。リクエストが通ることもありますが、実現するまでには必ず数週間かかります。
flowkeyとSimply Pianoはどちらがいいですか?
flowkeyは収録曲が多く、編曲の質でも優れています。1曲に複数の難易度があり、真上から撮った手元の動画で指の動きを確認できます。まったく初めての人が順序立てて学ぶコースは、Simply Pianoのほうが充実しています。ただ、どちらも編曲者が用意した曲だけを教えるので、収録曲の制約は残ります。おすすめのピアノ学習アプリの比較では、この違いを軸に各アプリを比べています。
flowkeyはアコースティックピアノでも使えますか?
はい。flowkeyは端末のマイクで音を聴き取るので、アップライトピアノやグランドピアノならケーブルなしで使えます。電子ピアノではMIDI接続にも対応しています。Anything Piano、Simply Piano、Skooveなど、ほとんどの代替アプリも同様です。例外はSynthesiaとPiano Marvelで、演奏の検出はMIDI接続に限られます。アコースティックピアノでも画面のガイドは見られますが、実際に弾いた音へのフィードバックはありません。詳しくはMIDIキーボードなしでピアノを学ぶ方法を参照してください。
最後に
ピアノ学習アプリの比較では、ほとんどが収録曲数で順位を付けています。ただ、曲数が表すのは、その会社がどれだけ編曲を終えたかです。その点でflowkeyを選ぶ理由は、ほかのどのチームよりも丁寧に編曲していることにあります。その作業にはお金を払う価値があります。けれど、まだ誰も編曲していない曲を弾きたくなった夜には、収録曲が何曲あるかは役に立ちません。どの曲集でも、その曲はまだなく、追加されるかどうかも分からないからです。
別のアプリを契約する前に、弾きたいのが定番曲なのか、曲集にはない録音なのかを確かめてください。定番曲が中心なら、編曲のよいアプリを使い続けるのが向いています。多くの場合、それはflowkeyです。探しているのがライブ版、ゲームのある場面で流れる曲、先週友人が送ってくれた録音なら、来月になっても曲集には載らないはずです。その録音を読み取って練習用にできるアプリが役に立ちます。Anything Pianoを試すのは、そんなときです。