この記事はさまざまな楽器の採譜ガイドの一部です。
頭に浮かんだメロディを忘れないように、スマートフォンに歌って録音します。そんなふうに残した音声ファイルが、消すに消せないまま眠っていることもあります。歌った旋律を楽譜にするには、以前なら鍵盤で一音ずつ確かめる必要がありました。今はAIが歌の録音を聴き取り、メロディを譜表に書き起こせます。
歌のメロディを採譜するのが難しい理由
ピアノの場合、鍵盤を押すと一定のピッチで音が始まり、その後は予測しやすい形で減衰します。声はそう単純にはいきません。音を下からすくい上げるように歌ったり、音の終わりを滑らせたりします。ビブラートで意図的にピッチを揺らすこともあります。一つの音節で複数の音を歌うこともあり、これはメリスマと呼ばれます。息継ぎや子音のように、ピッチを持たない音も旋律を区切ります。
音の切れ目を判断するモデルには、表情豊かな歌が、整った音の並びではなく、ピッチが不安定な一続きの音として聴こえることがあります。こうした歌も採譜できますが、ピアノの採譜より少し丁寧に見直し、そうした箇所を確かめます。一音ずつ意識して明瞭に歌うほど、最初の下書きも元の旋律に近づきます。
一本の旋律と、複数の音が重なった複雑な音楽の違いは、どの楽器の採譜にも共通します。単音と複数音の採譜の違いでは、一本の歌の旋律がなぜ扱いやすいのかを説明しています。
ボーカル用モデルが得意なこと
歌のアイデアは、一人が一本の旋律を歌う形が多く、重なったハーモニーを分ける必要がありません。はっきり歌ったメロディなら、旋律の輪郭や伸ばした音のピッチが読み取られ、コーヒーを入れるくらいの時間で譜表に現れます。曲のボーカルメロディを考えている人も、合唱のパートを書き留めたい人も、浮かんだ旋律を楽譜に残せます。
Songscriptionのボーカル用モデルは最も新しく、まだ実験的な機能として表示されています。ピアノ用モデルは最も開発が進んでいます。シンプルで明瞭な歌は採譜しやすく、速くて装飾の多い歌は手直しが多くなります。これはSongscriptionに限らず、どのツールにも当てはまります。
きれいに採譜するための録音
録音するときは、次の点に気をつけると声を聴き取りやすくなります。
- 一音ずつ歌う。 アイデアを録音するときは、音を滑らせたり、下からすくい上げたりせず、ピッチをはっきり分けて歌います。表情は後から加えられます。
- 歌いやすい音節を選ぶ。 ハミングや「アー」「ラ」のように母音を伸ばす歌い方は、歌詞を付けるよりピッチが明瞭です。強い子音が入ると、声が一瞬途切れるためです。
- 残響を抑え、マイクに近づく。 静かで残響の少ない部屋を選び、マイクを適度に近づけると、声が明瞭に録れます。
- テンポを一定に保つ。 足で拍を取ったり、小さなクリック音に合わせたりすると、リズムが読み取られやすくなります。音の長さが不自然に細かく分かれるのを抑えられます。
- 声だけを録音する。 採譜には声だけの録音が最適です。伴奏に声が埋もれているときは、先に声を分離します。
録音からリードシートまで
Songscriptionは録音から一本の旋律を取り出し、ブラウザーで編集できる楽譜に書き起こします。歌やハミングには、ピアノ用とは別のモデルを使います。録音をアップロードし、インストゥルメントにボーカルを選んで採譜を始めます。1〜2分ほどでメロディが譜表に現れます。
歌に伴奏が付いている曲なら、コード検出で譜表の上にコード記号を加えられます。メロディとコードを載せたリードシートは、歌う人やバンドがよく使う形式です。
採譜後は、歌う人に合うキーに移調できます。難しいフレーズは、ピッチを変えずに再生速度を落として確認してください。楽譜ができたら、譜面台に置くためにPDFで書き出せます。MusicXMLで書き出せば、MuseScore、Sibelius、Doricoで編集を続けられます。完成した録音ではなく、スマートフォンにさっと録った音声から始めるときは、ボイスメモを楽譜にする方法も参考にしてください。
採譜の気になるところを直す
よくある間違いを知っておくと、確認する箇所を絞れます。
- スクープとスライド。 音に滑り込むように歌った箇所では、途中のピッチまで音符に書き起こされることがあります。意図した一つの音にまとめます。
- メリスマ。 一つの音節で続けて歌った音は、リズムが大まかにまとめられることがあります。録音を聴き、音の長さを整えます。
- オクターブのずれ。 声の音域によっては、モデルが1〜2個の音符を別のオクターブに書き起こすことがあります。該当する音を見つけて移動します。
- 休符として読まれた息継ぎ。 息継ぎが休符になっていても、たいていは問題ありません。不自然な休符になった箇所は整えます。
自動採譜の結果を見直すときは、こうした箇所を録音と照らし合わせます。AI採譜の間違いを直す方法では、修正の手順を詳しく紹介しています。2分ほどで下書きができるので、鍵盤で一音ずつ探す代わりに、音楽をどう仕上げるかに時間を使えます。
よくある質問
歌の録音をAIで楽譜にできますか?
はい。メロディを楽譜にできます。AIによる採譜では、歌やハミングのピッチとリズムを聴き取り、読んだり編集したりできる楽譜に書き起こします。一本の旋律をはっきり歌った録音は特に採譜しやすく、1〜2分ほどでメロディが譜表に現れます。ボーカル用モデルはピアノ用モデルより新しいため、結果は手直しする前提の下書きとして扱ってください。特にスクープやスライド、細かい音の連なりがある箇所を確認します。
採譜した楽譜に歌詞は含まれますか?
いいえ。採譜では、録音からメロディ、調、リズムを読み取りますが、歌詞は含まれません。譜表の下に歌詞を入れるには、エディターで自分で追加するか、書き出した後に楽譜作成ソフトで追加します。
歌をできるだけ正確に採譜するにはどうすればよいですか?
声だけを録音します。残響の少ない部屋でマイクに近づき、音と音の間を滑らせず、一音ずつはっきり歌ってください。テンポを一定にすると、リズムも読み取られやすくなります。声が伴奏に混ざっているときは、先に声を分離します。採譜後は録音と下書きを聴き比べ、スクープやメリスマでモデルが迷った箇所を直してください。
自分の音域に合わせてキーを変えられますか?
はい。採譜したメロディはエディターで上下に移調し、歌う人に合った音域にしてから書き出し直せます。移調すると表示される音符と再生音の両方が変わるので、聴こえる音と楽譜の音が一致します。
ボイスメモに残したメロディがあるなら、音声から楽譜を作るページでボーカルを選び、楽譜にできます。曲全体からコードを取り出したいときは、曲のコードを調べる方法も参考にしてください。
