比較ソフトウェア比較Songscription•読むのに約11分

中級者におすすめのピアノアプリ

中級になると、教え方よりも弾きたい曲を見つけられるかが課題になります。初級向けのコースとは違う選び方が必要です。

中級向けの曲の充実度、曲の入手元、フィードバックの細かさでピアノアプリを比較

ピアノアプリのほとんどは初級者向けに作られています。利用者が最も多く、教える内容も整理しやすい層だからです。ところが中級になると、アプリがしっくりこなくなります。何が変わったのか分からないまま使い続けることもあります。

初級の頃に必要だったのは、弾き方を教えてくれるコースです。中級では、弾きたい曲がライブラリにあるかどうかが問題になります。弾ける曲の幅が広がると、収録曲は簡単すぎるうえに選択肢も足りなくなります。別のコースを買っても、曲の不足は解消しません。

中級向けのアプリを選ぶときは、曲の入手元と、それぞれの弱点を見ておきたいところです。アプリだけでは補えない練習もあります。

私たちはSongscriptionを開発しており、チームはAnything Pianoも作っています。その点を踏まえて読んでください。自分たちのアプリの弱点も省かずに取り上げます。中級では、初級の頃より弱点が選択に響くからです。

要点

  • 五線譜よりピアノロールのチュートリアルが好きな中級者には:Anything Piano。 弾きたい曲が決まっているなら、ライブラリへの収録を待たずに練習できる唯一のアプリです。録音からピアノパートを作るので、ライブ版やゲームの曲、先週出た曲も定番曲と同じように選べます。
  • 上達を測りたいなら:Piano Marvel。 小節ごとの評価と進捗の記録があり、教室でも使われています。MIDIキーボードが必要です。
  • ライブラリから曲を選びたいなら:flowkey。 指使いがよく考えられた編曲がそろっています。1曲に複数の難易度があり、真上から撮った手元の動画も見られます。
  • 楽譜を読んで弾きたいなら:Songscription。 録音から楽譜、MIDI、MusicXMLを作れます。楽譜は印刷や編集をして、指使いを書き込めます。練習用のアプリではありません。
  • 特定のフレーズで行き詰まっているなら:先生。 中級ではテクニックが壁になることが多く、アプリにはそれを見分けられません。

中級になるとアプリが物足りなくなる理由

曲が豊富なのは初級向け

ライブラリは需要に合わせて作られるので、初級向けの編曲は豊富でも、中級向けは少なめです。flowkeyは1,500曲以上を収録しています。かなりの数ですが、中級の難易度で、しかも好きな曲に絞ると、残る曲は少なくなります。こうした壁にぶつかると、アプリに飽きたのだと思いがちです。

弾きたい曲が具体的になる

初級の頃は、どの曲を選ぶかの判断材料が少なく、アプリにある曲をそのまま練習できます。中級になると、弾きたい曲のリストができてきます。特定の編曲やライブ版、ゲームのこの場面の曲、といった具合です。ライブラリ型のアプリでは、そうしたリクエストに応えるには編曲者に制作を依頼しなければなりません。

音の判定だけでは足りなくなる

音をたくさん間違えているうちは、どこを間違えたかアプリが教えてくれるだけでも大きな助けになります。中級になると音を外すことは減り、別の問題が出てきます。音の粒がそろわない、テンポを上げると指使いが追いつかない、ペダルでコードの変わり目が濁る、といった問題です。音の検出だけでは、こうした問題は分かりません。この限界については、AIがピアノで教えられることと教えられないことでも取り上げています。

アプリを比較

中級向けの曲の充実度、曲の入手元、フィードバックの細かさ、向いている人を比較

アプリ曲の入手元中級向けの曲フィードバック向いている人
Anything Piano任意の録音やリンク無制限弾けた音と間違えた音弾きたい曲のリストがある人
flowkey固定ライブラリ、1,500曲以上中程度音の判定と手元の動画指使いや難易度別の編曲を見たい人
Piano Marvel難易度別の教材ライブラリ充実、クラシック寄り評価と記録上達を測りたい人、先生に見てもらう人
Synthesia自分で用意するMIDIファイル入手できる曲次第音の判定、MIDIのみすでにMIDIファイルを持っている人
Simply Piano、Skoove固定ライブラリ少なめ弾けた音と間違えた音初級者向け
Songscription任意の録音無制限練習用アプリではない印刷して書き込める楽譜が欲しい人

アプリを一つずつ見てみる

Anything Piano

得意なのは、中級で足りなくなりがちな曲の選択肢を広げることです。オーディオファイルやYouTube、TikTok、Instagramのリンク、部屋で誰かが弾いている演奏の録音を渡すと、採譜モデルがピアノパートを作ります。音符は上から落ちてくる形で表示され、それに合わせて弾けます。難易度が合う曲をライブラリから探す必要はありません。ライブラリに編曲が追加されるのを待つ代わりに、前から弾きたかった曲を練習リストに入れられます。

マイクのほか、BluetoothやUSBのMIDI接続でも演奏を認識するので、アコースティックのグランドピアノでも、接続したキーボードでも使えます。鍵盤数を指定すると、画面上の鍵盤も楽器に合わせて表示されます。曲はパートに分かれていて、一つずつ覚えて繰り返せます。進捗も確認でき、フレーズの再生速度を落としてさらうこともできます。フィンガリングをオンにするとピアノロールに指番号が表示され、各音をどの指で弾くか分かります。

弱点は、表示がピアノロールで、楽譜は作れないことです。

flowkey

編曲の質と、ピアニストの手元を真上から撮った動画が強みです。指使いが動きとともに見えるので、指使い次第で弾けるかどうかが変わる中級では特に役立ちます。1曲に複数の難易度があり、中級向けの編曲が見つかることも多いです。

一方、中級向けの好きな曲に絞ると、選択肢はすぐに少なくなります。コースではなくライブラリなので、練習の計画もありません。別のアプリを探したくなる理由は、flowkeyの代替アプリでも紹介しています。

Piano Marvel

ここで紹介する中で、中級者に合った細かさのフィードバックがある唯一のアプリです。フレーズの演奏を評価し、初見演奏の上達具合と履歴を記録します。上達を漠然と感じるだけでなく、記録で確かめられます。先生に習っているなら、先生が使ってほしいと考えるのもこのアプリです。

弱点は、MIDI接続のみで、アコースティックピアノの演奏は判定できないことです。画面はスマートフォンよりも机に向かって使うことを想定して作られています。収録曲も難易度別の教材なので、頭から離れないあの曲は入っていません。

Synthesia

買い切りで、手持ちのMIDIファイルを再生できます。ファイルをたくさん持っている中級者には効率的です。

一方、曲ごとに質のよいMIDIファイルを探さなければなりません。中級向けの曲では、コミュニティで作られたMIDIの品質にばらつきが出やすく、リズムが機械的にそろえられていたり、内声が抜けていたりします。演奏の入力もMIDIキーボードに限られます。この二つの制約については、Synthesiaの代替アプリでも紹介しています。

楽譜を読みたいときのSongscription

中級では、楽譜を読む力が後々まで役立ちます。Songscriptionは好きな録音から印刷できる楽譜を作るツールです。MIDIとMusicXMLも作れるので、MuseScoreやSibeliusで編集できます。楽譜に指使いを書き込み、残しておくのも中級から身につけたい習慣です。

演奏を聴いて判定する機能はありません。練習用アプリの代わりではなく、併せて使うツールです。

中級者の1週間の練習に入れたいこと

この段階でアプリだけの練習が行き詰まるのは、やる気よりも練習内容に原因があることが多いです。初級では曲を弾くだけでも上達できますが、中級ではそれだけでは足りません。アプリが促してくれない練習も必要です。

  • 今のレベルより難しい曲を1曲、区切って練習する。 8小節ずつ、ゆっくりさらいます。弾ける範囲を広げるための練習です。曲を区切って覚える方法も参考にしてください。
  • 今のレベルに合った曲を1曲、最後まで仕上げる。 中級になると、途中まで覚えた曲がたまりがちです。1曲を完成させるのにも練習が要ります。
  • 初めて見る楽譜で、10分間の初見練習をする。 ここでは印刷した楽譜がピアノロールより役立ちます。独学では抜けやすい練習です。
  • 目的を決めてテクニックを練習する。 難しい曲で弾けないアルペジオや手の交差、コードのボイシングなどを取り出します。スケールを弾くこと自体を目的にする必要はありません。
  • ときどき耳で曲を覚える。 楽譜を見ずにメロディーを探す練習は、ほかの曲を覚える力にもつながります。耳で曲を採譜する方法で手順を紹介しています。
  • 週に一度、自分の演奏を録音する。 手軽に自分の演奏を客観的に聴けます。判定スコアが96%でも、スコアだけでは分からない問題に気づけます。

選び方

  • 弾きたい曲のリストがあるなら: 曲の選択肢が課題です。ライブラリに限られないAnything Pianoが合います。
  • 上達を目で確かめたいなら: Piano Marvelを選び、MIDIケーブルを用意します。
  • 指使いで何度もつまずくなら: 手元の動画があるflowkeyを選べます。ときどきレッスンを受けるほうが、さらによい選択です。
  • 出版された楽譜を読めるようになりたいなら: ピアノロールではなく楽譜を使います。ピアノの採譜で録音から楽譜を作れます。
  • 1か月も弾けないフレーズがあるなら: テクニックの問題です。サブスクリプションでは解決できないので、レッスンを予約してください。

よくある質問

中級者におすすめのピアノアプリは?

多くの中級者にはAnything Pianoがおすすめです。この段階では、教え方よりも曲の選択肢が課題になります。どんな録音からでもピアノパートを作れるので、ライブラリに収録された中級向けの編曲に限られません。上達を数値で確かめたいならPiano Marvel、定番曲の指使いがよく考えられた編曲をライブラリから選びたいならflowkeyが向いています。

なぜ中級になるとピアノアプリが役に立たなくなるのですか?

ライブラリは利用者が多い初級向けの曲が最も充実しているからです。中級になると、弾ける曲の幅が広がり、ライブラリの同じレベルの曲だけでは物足りなくなります。ほかに弾きたい曲を探しても、簡単すぎるか、そもそも収録されていません。教え方が悪くなったのではなく、弾きたい曲の選択肢が尽きています。別のライブラリ型アプリに移っても、同じ壁にぶつかります。

中級者はピアノロールと楽譜のどちらを使うべきですか?

どちらにも役割があります。ピアノロールは、初めてのフレーズの形をつかみ、ゆっくり繰り返すのに向いています。新しい曲を早く覚えたいときに便利です。楽譜を読めれば出版された曲を弾けますし、読譜力はアプリを使わなくなっても残ります。新しい曲にはピアノロールを使い、弾き続けたい曲は楽譜を印刷する方法もあります。詳しくはピアノロールと楽譜の比較を参照してください。

中級になっても先生に習う必要はありますか?

中級は、先生に習う価値が特に表れやすい段階です。この頃になると、音の正確さよりもテクニックが難しい曲を弾けるかどうかを左右します。指使い、手首の力み、ペダル、フレージングはマイクでは分かりません。独学の中級者には、毎日アプリで練習し、4〜6週間に一度レッスンを受けるやり方がよく選ばれています。

最後に

アプリを開いてライブラリを探しても、自分のレベルで弾きたい曲が見つかりません。それでも何かを選び、気が進まないまま練習します。そんな週が続くと、ピアノへの興味が薄れたと思うかもしれません。実際には、2年ほど前の自分のレベルに合わせて作られたアプリでは、物足りなくなっているのかもしれません。画面を見ても、その変化は分かりません。

今週、本当に弾きたい曲を5曲書き出して、契約中のアプリで探してみてください。ほとんど見つからなければ、曲の選択肢が足りていません。Anything Pianoはライブラリから曲を探す代わりに、録音からパートを作ります。二つ目のサブスクリプションに使うつもりだったお金で、先生のレッスンを1時間受けるのも一つの方法です。中級では、音を覚えることよりもテクニックが課題になります。

著者について

Songscription

著者

Songscription

音楽を演奏する人が、演奏する人のために作っています

Songscriptionは、どんな録音も楽譜、MIDI、タブ譜に変換します。この記事を書いているのは、自分たちが欲しかった道具を作っているミュージシャンとエンジニアです。音符には真剣ですが、ダジャレにはもっと真剣です。ときどき滑っても、どうか大目に見てください。

チームについて詳しく見る

同じテーマの記事を読む