チュートリアル採譜Andrew Carlins•読むのに約8分

ピアノの即興演奏を楽譜に仕上げるには

鍵盤に触れているうちに生まれたいいアイデアも、朝には忘れてしまうことがあります。即興演奏を録音し、編集できる楽譜に起こしておけば、読み返したり人に渡したりできます。

ピアノの即興演奏を採譜し、ピアノロールでリズムと声部を整えて楽譜に仕上げる

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いいアイデアは思いがけないときに生まれます。ウォームアップしながら鍵盤を弾いていると、思わず手が止まるようなコード進行に出会います。30秒ほど夢中で弾いていても、電話が鳴ったり、夕食を焦がしたりして、そのまま一日が過ぎていきます。もう一度ピアノに向かったときには、何を弾いたか思い出せません。即興演奏をするピアニストなら覚えのあることです。即興で弾くのは簡単でも、それを残すのは難しいものです。

楽譜に仕上げておけば、そのアイデアを来週読み返したり、先生に渡したり、そこから一曲を作ったりできます。鍵盤で自由に弾いた演奏を読みやすい楽譜にするには、まず録音し、採譜してから整えます。手間のかかる採譜にはAIを使えます。

ステップ1:何より先に録音する

録音せずに即興演奏を覚えておこうとするのは、いちばん避けたいことです。記憶はすぐに書き換わります。1時間後に弾き直しても、おぼろげにしか再現できません。アイデアを印象づけていたボイシングは、たいてい真っ先に失われます。

まずは録音してください。譜面台に置いたスマートフォンのボイスメモでも十分です。電子ピアノなら、MIDIを直接記録する方法をおすすめします。正確な音符データが得られ、よりきれいに採譜できるからです。この段階で必要なのは、音のきれいな録音よりも、演奏を正確に残した録音です。どの音をいつ弾いたかという記録が、その後の作業の素材になります。

ステップ2:録音を楽譜に起こす

以前は、鍵盤の前に座って録音の再生位置を何度も変え、コードを一つずつ聴き取る作業に何時間もかかりました。AI採譜なら、この作業を数分で済ませられます。録音をアップロードしてピアノを選ぶと、編集できる楽譜とピアノロールが得られます。ピアノロールでは、音符がグリッド上のブロックで表示されます。

雑音の少ないピアノソロの録音なら、熟練した採譜者が作るものに近い結果が得られます。私たちが試したところ、特にピッチの検出に強く、弾いた音自体はたいてい再現されます。モデルは演奏を左手と右手のパートにも分け、大譜表に配置します。ピアノの採譜では、録音から楽譜とピアノロールを作れます。AIでピアノ曲を採譜する手順では、きれいな結果を得るためのアップロード設定を紹介しています。

ステップ3:細かいところを整える

即興演奏を厳密な拍に合わせて弾くことは、あまりありません。速いフレーズを少し急いだり、コードを1拍長く伸ばしたり、ひと息ついたりします。そうした自由な表現が演奏を生き生きとさせる一方、最初に採譜した楽譜ではリズムが雑然として見えることもあります。ここからは、耳と目で確かめながら整えます。

  • リズムを直す。 音符の長さを整え、読みやすくします。テンポを自由に揺らして弾いた箇所は、クオンタイズしたり、手で少し動かしたりして、適切なグリッドに合わせます。
  • 音符を確かめる。 ピッチが違って見える音符を探します。特に音の詰まったコードで起こりがちです。ピアノロールなら余分な音符を見つけやすく、ドラッグして正しい位置に移せます。
  • 調と拍子記号を決める。 弾いた内容に合う調を選ぶと、譜表が臨時記号だらけになるのを避けられます。曲の雰囲気に合う拍子も選びます。
  • 左右の手の分け方を決める。 モデルは音符を左右の手に自動で割り当てます。実際に弾いた手とは違う側の譜表に入った音符は、割り当てを直します。

音符ごとの編集には、タイミングとピッチが一目で分かるピアノロールを使います。ピアノロールと楽譜の比較では、それぞれがどんな作業に向いているかを説明しています。大きくずれて見える箇所があれば、採譜の間違いを直す方法で、手で編集するか録音し直すかの判断も確認できます。

ステップ4:曲の形にする

採譜した即興演奏は、そのときの演奏を忠実に記録したものです。楽譜を仕上げるときは、曲をどんな形にするかを決めます。長くなりすぎた中間部分を削ったり、もっと印象づけたいフレーズを繰り返したり、とっさにうまく弾けなかった終わり方を整えたりできます。

整えた楽譜は、完成形ではなく下書きとして扱います。私たちの経験では、即興演奏を聴き返すと、アイデアを探りながら弾いた部分の合間に、すばらしいアイデアが一つ見つかることがよくあります。そのアイデアを見つけ、周りを整えていきます。スケッチを広げて両手のパートを充実させたいときは、曲をピアノ用にアレンジする方法で、伴奏の作り方や弾きやすくまとめる方法を紹介しています。

ステップ5:書き出して残す

楽譜が思いどおりの形になったら、書き出します。譜面台に置くなら、PDFをきれいに印刷できます。MusicXMLはMuseScore、Sibelius、Finale、Doricoで開けるので、楽譜のレイアウトを整えたり、フィンガリングを加えたりできます。ピアノ曲に仕上げる代わりに音源制作へ進むなら、MIDIをDAWで使えます。3つとも同じ採譜結果から書き出せるので、その後の作業に合わせて選べます。音楽の書き出し形式では、それぞれの使い道を紹介しています。

よくある質問

ピアノの即興演奏を楽譜にするにはどうすればいいですか?

まず即興演奏を録音します。スマートフォンでの録音でも、弾いた内容をそのまま残せます。次にAI採譜ツールで録音を楽譜に起こすと、編集できる楽譜とピアノロールが得られます。リズムを整え、抜けている音符を補い、調と拍子記号を選んで、PDFまたはMusicXMLの楽譜として書き出します。録音が残っていれば、演奏を思い出すよりも、曲を形にすることに集中できます。

AIはピアノの即興演奏を正確に採譜できますか?

雑音の少ないピアノソロの録音なら、かなり正確に採譜できます。特にピッチの検出に強いため、弾いた音はおおむね再現されます。一方、リズムや声部は少し手直ししたくなることがあります。一定の拍に合わせず、テンポを自由に揺らして弾いた箇所では特にそうです。出力された楽譜は完成版ではなく、演奏をよく再現した下書きとして整えていきます。

即興演奏を録音するのと採譜するのでは何が違いますか?

録音には音が残り、採譜すると音符が残ります。録音があれば即興演奏をもう一度聴けます。楽譜にすれば、読み返したり、編集や移調をしたり、ほかの演奏者に渡したり、続きを作ったりできます。完成した楽譜の多くは、録音を採譜し、手直しして作られます。

即興演奏を採譜するにはメトロノームに合わせて弾く必要がありますか?

メトロノームに合わせる必要はありません。ただ、テンポが一定だとリズムを読みやすい形で記譜できます。自由に即興演奏した場合もピッチは採譜されるので、あとからピアノロールでリズムをクオンタイズしたり調整したりできます。読みやすい楽譜にしたいと決まっているなら、音量を抑えたクリックに合わせて弾くと、ツールが使う基準の拍がはっきりします。

著者について

Andrew Carlins

著者

Andrew Carlins

Songscription共同創業者・CEO

アンドリューは、弾きたい曲の楽譜が見つからないことにうんざりしていた音楽仲間数人と、スタンフォード大学でSongscriptionを共同創業しました。子どもの頃からピアノとバリトンサクソフォンを演奏し、ミュージカルの舞台にも立っていました。もう何年も舞台には立っていませんが、今も腕は鈍っていないつもりです。録音から音を拾って楽譜にすることについて書いています。

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